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詠(うた)いたい詩(うた)があるんだ
「詠いたい詩があるんだ」
放課後の教室で、彼はそう言った。
私が振り向くと、机の上には真っ白なノートと、きれいな万年筆。
「どんな詩?」
「まだ形にはなってないけど、心にだけあるんだ」
窓の外、夕焼けが教室をオレンジ色に染める。
彼はペンを握りしめたまま、しばらく動かない。
「詩って、苦しいね。心にあるのに、出てこない」
一行目、二行目、三行目…
気づけば、教室の空気までが詩のリズムを刻んでいるみたいだった。
「読んでほしい」
その言葉に、なぜか胸が少し熱くなった。
教室にはまだ見ぬ未来の詩が、そっと息づいていた──。
「月はとても眩しい、されど触れていたい……」




