表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/12

『聖女と呼ばれし少女、登場。そして私の理性は崩壊寸前。』

 風邪が治ってから数日。

 私はようやく日常を取り戻し――なんとか恋愛修羅場も落ち着いた(ことにして)いた。


 しかし。


 平穏とは、嵐の前触れだった。


 


「ご報告申し上げます。

 魔神封印の地にて“新たなる聖女”の兆候を持つ少女が確認されました」


 


「…………は?」


 


 唐突すぎるその報告に、王宮会議室は騒然とした。

 魔導師長であるセリウスと、第一王子であるアラン、そして私・エレノアもその場に同席していた。


 


「名はミレイユ・クレア嬢。公爵令嬢で、癒しの魔法と光属性の加護を持ち――」


「それって、完全に“聖女テンプレ”じゃない」


 私が思わずつぶやくと、セリウスが静かに頷いた。


「ただの光魔法ではなく、“浄化の息吹”という特殊なスキルを確認している」


「はあああ……またややこしい展開……」


 


 そしてその日。

 ミレイユ嬢は王宮へ、公式に招かれた。


 


 運命の出会い(という名の戦場)

「はじめまして、皆さま。……ミレイユ・クレアと申します」


 


 やってきた彼女は、絵に描いたような“癒し系ヒロイン”。


 ふんわりとした桃色の髪。潤んだ瞳。うっすら微笑んだまま話す、柔らかな物腰。

 そして――


「アラン様……お噂はかねがね。どうか、よろしくお願いいたしますね?」


「……ああ、こちらこそ」


 王子の隣で、自然な仕草で距離を詰めるその様子に、


私の胸が――モヤッ……からの、ギリッ……!! となった。


 


(……なんかイライラするっ!!)


 


 私、別にアランのことをどうこうってわけじゃ――

 ないはずだった。


 だけど。


 


「アラン様の剣さばき、本当に凛々しいですのね……」


「今度、わたくしにもご指南いただけませんか?」


「…………」


(なにその「男の腕を借りる」系天然小悪魔!!!)


 


 セリウスが冷静に見守っているかと思えば、


「ミレイユ嬢、貴女の力は“本物”かもしれない。ただし、我々の聖女とは異なるようだ」


「まあ……ご丁寧にありがとうございます、セリウス様」


(妙に女の武器を感じる言い方したー!!)


 


 私は――私、エレノア・グランディールは――


 この時、ようやく認めたのだった。


「私、嫉妬してる」と!!


 


 乙女ゲーム的修羅場・勃発!

 そして数日後。

 ミレイユ嬢が“王宮魔法院”の視察に来た時、事件は起きた。


 


「アラン様……お手を取っても、よろしいですか?」


「……ああ、構わないが……」

 

「ちょっと待ったァ!!」


 私が叫びながら飛び込んでいた。


「その手、私のじゃないけど勝手に取らないでくださらない!?」


「まぁ……エレノア様、何かご不満でも?」


「ご不満も何も!! “公共の場で距離が近すぎる女”に文句を言うのは常識です!!」


 


 アランは焦って私を制止し、セリウスは後ろで腕を組んで観察モード。


 ミレイユはくすくすと笑って、こう言った。


「では……私の笑顔、アラン様の心を奪ってしまいました?」


(やばいこいつ、ただの天然じゃなくて確信犯系だ!!)


 


 


 エレノア・暴走モードON

 その夜。


「エレノア、落ち着け」


「落ち着いてるわよ!? これが私のデフォルトよ!!」


「いや、さっき椅子を真っ二つにしてたじゃないか」


「それは筋力スキルのせいですっ!!」


 


 アランが焦ったように私を追ってくる。


「……まさか、嫉妬してくれてたのか?」


「はぁ!? そんなわけ――ないでしょバカ王子!!」


 


 セリウスもやってきて、静かに囁く。


「エレノア。君の嫉妬、正直……可愛かった」


「うるさいうるさいうるさい!! 近づくな全員!!!」



 登場人物詳細

【ミレイユ・クレア】

第二聖女候補。公爵家の令嬢。17歳。

ふんわり系の外見と天然を装った“確信犯あざと系”。しかし、内面はかなりしたたかで野心家。


 プロフィール

 髪色:桜色がかった明るいピンク。腰まで届くロングヘアを緩く結んでいる。


 瞳:金と銀のグラデーションが混じる珍しい「聖女の虹彩」と呼ばれるもの。


 服装:聖女の清廉さを意識した白と水色のドレス、ふわっと広がるスカートで「庶民的可憐さ」を演出。


 声:高めでやわらかい。語尾に「ですわ」「~していただけますか?」など丁寧で上品な言葉遣い。


 スキル・魔法

 スキル名効果説明


 浄化の息吹クレア・ブレス傷・毒・呪いを清める上級聖属性魔法。発動時、周囲に桜色の光が舞い、癒し効果あり。

 光環結界ホーリーシェル聖域を作り、物理・魔力攻撃を無効化する。数秒だけだが、大規模な攻撃も防ぐ。

 微笑みの恩寵周囲の人間に安心感を与えるバフスキル。効果範囲内の異性の判断力をほんの少し鈍らせる(隠し効果)。

 天使のパッシブ涙を流すと、自動的に“かわいそう”判定が発動。周囲の人物が「守らなきゃ」という感情に。


※ なお、魔導師セリウスは「この最後の2つ、明らかにバグってる」と分析しているが、王族側は“運命の乙女”として重宝している。


 性格・本質

 表面:控えめ・優しげ・おっとり・ちょっと天然。誰にでも好かれるタイプの完璧なお嬢様。

内面:冷静で計算高い。貴族社会の権力構造をよく理解しており、「自分が王妃になる未来」を当然視している。


 特徴的な性格:

 自分の価値をわかっていて、意図的に“守ってあげたくなる空気”を醸し出す天才。


 ライバルを直接否定しないが、相対的に“自分の方が上”だと感じさせる会話術を持つ。


 目標は“王妃としての座”。アラン王子に向けて着実に攻略を進めてくる。


 恋愛傾向とライバル視

 エレノアに対して:

 直接的に攻撃せず、“清楚・品格・癒し”という真逆のベクトルからマウントを取りにくる。

「あら、エレノア様は強くて素敵ですね。わたくし、そういうのに憧れちゃいます」など、褒めてるようで対立軸を印象づける発言が多い。


 アランに対して:

「幼い頃、父上に“王妃になりなさい”と育てられてきましたの」

→王子の隣に立つのが当然と考えているが、乙女ゲーム系恋愛知識がゼロなので若干ズレている。

→しかし“天然のような無防備さ”と“計算された距離感”で、男たちをじわじわ落としていく。


 セリウスに対して:

「貴方のような方が、わたくしに興味を持つとは……まさか運命かしら」

→一度無視されてもめげない。逆に興味を持たれないほど燃えるタイプ。

セリウスから「まるでバグのような女」と呼ばれる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ