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「高熱と恋心は比例する!? 風邪ひき悪役令嬢、王子と魔導師に翻弄されるの巻」

『風邪ひいたら二人のイケメンがベッドサイドでガチ口論し始めた件について』


 私の名前はエレノア・ヴァレンティーヌ。元・悪役令嬢。現・婚約破棄されて無双モード中。


 だけど、無双でも健康でもなかった。


「……はっくしゅん!! うぅ……のど痛……さむ……」


 気づけば、部屋の天蓋ベッドの中でくるまっていた。

体は熱いのに寒気がする。風邪? まさかね……って思いたいけど、喉の痛みと鼻声がすべてを物語っていた。


「エレノア様っ!? ご無事ですか!?」


 ドアがバーン!と開いて、突っ込んできたのは忠義のメイド・マリーベル。


「マリーベル……ごめん、ちょっと……ダルい……」


「うわああん、風邪ですね!? お薬、お白湯、熱冷まし、毛布、あ! 看病係も呼びますね!!」


「看病係って何よ……」


 


――そして、30分後。


「俺が看病する」


「それは僕の役目だ」


「お前は薬草を育ててろ」


「君は料理に塩を入れすぎるだろう」


「は? それ関係ある!? 今関係ある!?」


 


 ベッドサイドで、魔導師セリウスと元婚約者王子アランが仁王立ちしていた。


 しかも、私のベッドを左右で挟み込む形で。


「……これって、修羅場?」


「違います! 看病バトルです!」(マリーベル談)


 


 看病バトルその1:水分補給編

「エレノア、スープを飲め。これは僕が調合した、栄養価と水分バランスを考慮した特製の――」


「ダメだ! エレノアはトマト嫌いなんだよ、セリウス!」


「……っ」


「俺が代わりにポカリっぽいやつ持ってきた! 魔法で薄味にしてるから飲みやすいはず!」


「薄すぎて意味ないのでは?」


「お前は“濃い味=愛情”とか勘違いしてるタイプだよな!? そういうとこだぞ!?」


「熱のせいか、話がよく分からないけど、なんでスープで言い合ってるの?」


 


 看病バトルその2:おでこ冷やし編

「さ、冷えピタを。僕が貼ろう」


「待てセリウス! 額に触れるのは男としてどうかと思うぞ!」


「そう言いながらタオル持ってきたのは君だろう?」


「おでこはデリケートなんだぞ!? 初手で行くには距離感が!」


「熱を下げるための合理的行為だ」


「ロマンがない!!!」


 


「ロマンって何よ!? 風邪ひいてる時にロマンとか求めてないわよ!?」


「いや、でも乙女としては――」(マリーベルが謎の発言)


「マリーベル!? ちょっと!?」


 


 ツンデレエレノア発動

「べ、別に、誰かに看病されたいとか思ってないし……っ」


「でも、顔真っ赤だぞ?」


「それは! 熱よっ! 熱のせいよっ! まったくもう……っ」


(※心の声:どっちかに頭撫でられたら即昇天しそうなのは秘密)


 


「とりあえず、二人とも座ってくれない? ベッドの前でずっと言い合ってるから、落ち着かないの」


「わかった。じゃあ、ここに座る」


「俺も」


「いやだから両側に来ないでええええええええええええええ!!!」


 


 深夜。静かになったはずの部屋で…

「……眠れない」


汗をかいて、体の火照りも残ってる。ぼんやりと天井を見上げていたら――


「……エレノア、起きてる?」


「アラン……?」


「部屋の前で寝てたら、なんか……エレノアの寝息変わった気がして」


「……心配してくれてるの?」


「当たり前だろ……俺、お前のこと、バカみたいに好きなんだよ」


 


 と、言った直後――窓が開いた。


「エレノア、体温がまた上がっている。まさか、恋愛的意味で?」


「セリウス!? 今度はどこから入ってきたの!?」


「テレポートだ。扉の前でアランが寝ていて、通れなかった」


「いや!! 空間魔法で忍び込むのやめて!! 私のプライバシー返して!!」


 


「それよりエレノア、君に一つだけ言いたいことがある」


「な、なによ……?」


「看病のためだけに、寝ていない時間を調整して、資料を三十冊読んだ。……そのくらい、君が心配だった」


 


(どっちも重い!!! でも悪くない!!!)


 


「うぅぅ、もう、全然寝られないじゃないの……! もう知らないっ、二人とも出ていって……って言いたいけど、行かないで……」


「かわいい」


「ツンデレ発動だな」


「もうやだこの状況!!!」

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