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「新キャラ参戦!? 王子、嫉妬で理性崩壊5秒前」 〜クール系魔導師 vs 元婚約者、ツンデレ令嬢争奪戦〜

~私、悪役令嬢。……まさかのモテ期は修羅場つきでした。~


 


──事の始まりは、王立魔導学院から送られてきた一本の推薦状だった。


 


『諸侯が注目する“ノルド侯爵家”の跡取りにして、魔導理論における第一人者。

政務にも興味を持ち、貴国の改革案に強い関心を抱いております。』


 


 そして実際にやってきたその男――セリウス・ノルドは、

 まさに氷の彫像から抜け出してきたような美貌の持ち主だった。


 


「……エレノア殿下。お噂はかねがね。

 貴女の改革と、その気概に、私は心より敬意を表します」


 


──ど、どうしてこう、最近の男って全員初手から好感度MAXで来るの!?

こっちはツンデレなんだから調整してよね!!


 


「そ、そんなに褒めても……何も出ないんだからっ!?」


「欲しいのは物ではなく、貴女の隣だ」


「なっ……!! な、なに口説き入れてんのよいきなりっ!?!」


「事実を言ったまでだ。僕は誠実で、効率を重んじる。回りくどい手は苦手でね」


(で、出たわ……直球系クール男子……!!)


 


 


──とまあ、この男、とんでもなく有能かつズレてる。


 私の教育改革案に対して、数日で改善提案を出してくるわ、

 そのついでに「参考にしてほしい」と本を10冊ほど手渡してくるわ、しかも全部趣味ドンピシャ。


 しかも毎日、無駄に麗しい差し入れ(紅茶・本・猫モチーフの文具など)を持ってくる。


 そのくせ、淡々とした口調でさらっと言うのだ。


 


「僕は、貴女のすべてに価値を見出している」


 


(ちょっと待って!? 今までの人生でそんなセリフ聞いたことない!!)


 


 しかも!!


 それを陰から見ていた元婚約者、アラン王子が、ついに我慢の限界に達したのだった。


 


「エレノア!! 今日こそ言わせてくれ!」


「え、ちょ、何!? なんの前触れもなく叫ばないで!」


「俺は……君が、セリウスと話してると、胸がぐちゃぐちゃする! 心がバグる! 嫉妬で魔力が暴走しそうだ!!!」


「なにそのポエム!?!」


「つまり俺は君が好きで好きで好きすぎて、もはや正気を保つのがギリギリなんだ!!」


「だから落ち着け!!!」


 


──恋愛バトルロイヤル、開幕。


 ただし私は、賞品ではなく、審査員かつ主役ですからね!!?



「私の誕生日が、涙と爆笑と魔力大暴発になるなんて誰が予想したか」


──さて。


 そんな波乱含みの三角関係の中で、ついに私の誕生日がやってきた。


 王家主催の「エレノア殿下感謝祭」と称して、舞踏会まで開かれるという大騒ぎっぷり。

ちなみに本人、そんなに祝われたいわけじゃない。


 でも、なんかもう流れが止まらなかったの。


 


「誕生日、おめでとう、エレノア」


 と、まず声をかけてきたのはセリウス。


 差し出されたのは、薄青色に輝く小瓶――中には、動く絵本のような魔道映像が記録されていた。


 


「これは……?」


「僕が記録してきた、“君が平民たちと過ごした日々”の断片だ。

 彼らがどれほど君を慕い、君の言葉に救われたか……伝えたくてね」


(……やだ、もう、なんか泣きそう)


 


 だがそこへ、我が人生最大の“地雷男”が、ドカーンと登場した。


 


「……エレノア、俺の番だ。これを受け取ってほしい」


 そう言ってアラン王子が差し出したのは、古びた懐中時計型のペンダント。


 


「なによ、これ……?」


「記憶封印魔法をかけた。“あの日の俺”の記憶を、そのまま閉じ込めてる。

 ……君に、伝えたいことがあるんだ」


 

 

その瞬間、私の視界が白く染まり、目の前に幻影が映し出された。


 


 


──断罪のあの夜、王宮の廊下。


 一人、崩れ落ちた王子が、静かに泣いていた。


 誰もいない空間で、何度も私の名を呼び、ただ後悔に震えていた。


 


「エレノア……俺は、君の輝きに怯えて、手放した……

本当に、取り返しのつかないことをした……」


 


 私の胸に、何かが突き刺さる。


……なんでよ。今さら、こんな。


 


「そ、そんなの……今さら見せたって、許さないんだからね……!」


「許されなくていい。ただ、君に伝えたくて……」


 


「~~っっ! ……な、泣かないわよ!泣かないってば!!!」


(泣いたら負けなのにぃぃぃっ!!!)


 


 


──そしてその夜。


 私はついに、魔力が不安定に爆発し、部屋中に猫型の光魔法をばら撒いた(※威力はゼロ)。


 


「にゃああああっっ!? な、なんで猫が!?!?!」


「うわあっ!? 襲われてる!? 愛の呪いか!? これが誕生日の祝福かっ!?」


「違うわよぉぉぉぉぉ!!! 魔力がツンとデレで混線したのよぉぉぉ!!!!!」


 


 


──こうして、私の誕生日は。


 魔導師の愛、王子の涙、猫まみれの祝福に包まれながら、

恋とツンデレの修羅場的に、最も忘れられない一日となったのであった。


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