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私、ブラック企業で魂が抜けたので、悪役令嬢に転生しました〜っていうかスキル盛られすぎてる件〜

「……あの、すみません、それ今週中ですか?」


「当たり前でしょ? 社会人なんだから、責任持ってやり遂げて?」


「は、はい……」


(……社会人って名乗るだけで人を殺せるのか?)


 某広告代理店で働く私は、今月だけで三度、睡眠時間が一日1時間以下になった。

 今朝も、深夜3時に送られてきた「急ぎで企画案3本よろしく☆」という上司からのLINEを見て絶望しながら目を覚まし、クマで真っ黒な目をこすりながら仮眠室から出社した。


 名前は早乙女あやめ(27)、自他ともに認める“社畜の華”。


 もちろん、恋愛なんてこの5年、一切ない。

 むしろ久々に手をつないだのが会社の玄関ドア。

 電車の人身事故すら羨ましく感じる、末期。


 そんな日々の中で、私の唯一の癒しは――

 乙女ゲーム『薔薇と処刑のロンド』をプレイすることだった。


 いや、正確には「プレイ実況を観ること」。


 現実では味わえない、煌びやかな貴族社会。

 イケメンだらけの婚約者候補。

 甘いセリフとキラキラしたイベントCG――


 そしてその裏で、理不尽に退場させられる美貌の悪役令嬢、エレノア・フォン・シュタイン。


 誰より礼儀正しく、誰より努力しているのに、「ヒロインに意地悪したから」という理由で、最後は婚約破棄&国外追放コース。


……見てるとね、胸が痛くなるのよ。


「……なんか、私みたいだよね……」


 仮眠室で、冷えたカップうどんをすすりながら私はボソッと呟いた。


「頑張っても認められなくてさ、報われなくて……。ほんと、私があの子だったら、ざまぁしてやるのになぁ……」


 そう、つい口に出してしまった。


――その瞬間だった。


《魂の転生申請、確認》


「えっ?」


 スマホの画面が真っ白になり、文字が次々に表示されていく。


《転生判定ログ》

 希望者ID:早乙女あやめ(人間)


 所属世界:地球・日本・過労死未遂地帯


 状態:意識あり、魂離脱中


 特徴:ブラック耐性S、恋愛経験E、努力報われない属性SSS


 死亡判定:グレーゾーン(※魂が数分間離脱したため「仮転生対象」に該当)


 自発転生ワード:「転生したい」「ざまぁしてやる」=認識済み


「ちょ、ちょっと待って!? え、私まだ死んでませんけど!? これって選べないの!?」


《選択肢はありません。現実社会からの“保護”として、転生を開始します》


「やめろおおおおおお!! 今日中に企画案仕上げなきゃなんだってばあああああ!!!」


《大丈夫です、もうあなたがその地獄に戻ることはありません。ようこそ、異世界へ》


 あなたの新しいステータス:

 転生先:乙女ゲーム世界『薔薇と処刑のロンド』

 配役:悪役令嬢 エレノア・フォン・シュタイン(16歳)


 付与スキル(自動付与+願望補正によるチート強化あり)

▷【現代知識(応用展開型)】

 現代社会の常識・法律・科学・ビジネス論・メンタルヘルス・SNS活用術を異世界でも活用可能。

→例:農業革命を起こす、マーケティングで平民商会を支配する、自己啓発で王族を洗脳する等。


▷【社畜スキル・鉄の精神】

 ・過労ストレス耐性+999

 ・無茶振り命令に自動反応(最適解で処理)

 ・パワハラ耐性完全無効(逆に相手の精神を削る)

 ・YESの笑顔”で“NOを叩きつける能力

→エレノアは王族に命令されても「ごきげんよう(お断りです)」で押し通す。


【空気を読まずに正論ぶつける力(EX)】

どんな場でも“痛いところ”を突く発言ができ、対象に精神ダメージ。

 ・例:「なぜ庶民の恋愛を応援しろと?それ、貴族制度否定してません?」

→周囲に真理を叩きつけて“ざまぁ”を引き起こす。


【スカッとリベンジ特化】

 理不尽な相手に対し、条件を満たすと自動的に“反撃イベント”が発生。

 ・条件:信頼を裏切られた/公共の場で侮辱された/涙を流した

 ・効果:反撃ボーナス×10、周囲の好感度上昇、イベントCG発生、シナリオ分岐が“あやめルート”へ


【美貌バフ:社畜補正入り】

 社畜時代の“くすみ肌・クマ・疲労オーラ”が完全リセット。

→もとのエレノアを超える美貌に。

 化粧・香水不要、朝起きた瞬間から“美麗ドリル姫”。


【裏ボイス・実況モード】

 心の中で現状を“実況解説”する癖がそのままスキルに。

→状況を冷静かつ客観的に分析しながら、笑えるツッコミを入れる。


《以上のスキルが付与されました。なお、婚約破棄イベントは本日午後3時に発生予定です》


「…………えっ」


《それでは、どうぞ素敵な転生ライフを♡》


――目が覚めたとき、私の目の前には、

フリルたっぷりのドレスを着た完璧すぎる“私”が鏡に映っていた。


「…………ドリル、でかッ」


 この瞬間、私、早乙女あやめ改め“エレノア・フォン・シュタイン”は――


「ざまぁ上等、フラグ粉砕、スカッと成り上がり無双モード」に突入したのであった。




 登場人物紹介

―『悪役令嬢に転生したので婚約破棄されたら無双モード入りました。~ついでに王子も攻略対象ですか?~』より―


 エレノア・フォン・シュタイン(CV:あなた)

元社畜OL(27)→悪役令嬢に転生した、今世では最強で自由な女王候補。


 本作の主人公。お飾りの悪役令嬢どころか、証拠・法律・礼儀・魔法すべてを武器にする超実力派。

転生特典で得たチートスキル群(詳細は後述)を駆使し、婚約破棄イベントを逆手に無双街道を爆走中。

たまに口が悪いけど、根は努力家で情に厚い。人の見る目がなく、モブだと思ってた男たちにやたら惚れられるのが最近の悩み。


「はあ……また恋愛フラグ? そんなのより社交界の経営改革の方が百倍楽しいわよ?」


 アラン・グランツハイン王子

「婚約破棄する!」→「……好きかもしれない」→「踏まれて喜んでる」←今ここ。


 王国の第一王子で、元・婚約者。

断罪イベントで主人公に恥をかかされたものの、それ以降なぜか彼女が気になって仕方ない。

王族としてのプライドは高いが、意外と真面目で、怒られて成長するタイプ。

恋心と敗北感の区別がついてない自称ツンデレ貴族男子。


「な、なんで他の男と笑ってるんだ……いや、別に嫉妬とかじゃないぞ!? 本当だぞ!!」


 クラリッサ・エミリオ(平民系ヒロイン)

乙女ゲームの正ヒロイン枠。令嬢転生界隈では“お約束の自爆キャラ”。


 地味顔で健気系アピールが上手い転入生。平民出身ながら魔力を持ち、“天から選ばれし聖女”と持ち上げられる。

だが中身は計算高くてプライドも高く、エレノアの転生知識と証拠固めにより、初期でざまぁされる。

その後もあの手この手で主人公に張り合おうとするが、ことごとく逆転返しされてしまう哀れな常連。


「エレノア様にいじめられたんですぅ……(って言えば男どもチョロいチョロい♡)」


 セシル・ディア=ノヴァーク

クールな騎士団副団長。無表情で毒舌、実は大型犬。


 剣も魔法も天才級だが、人との距離感がバグっている。

何かとエレノアに付きまとい「護衛です」と言い張っては、口説いてるような発言を平然とぶち込んでくる。

王子とは犬猿の仲(物理)で、よく言い合いになるが、実は一緒にエレノアの“笑顔”を奪い合ってる状態。


「あなたの“命令”なら、従う。それが“愛の形”でもいいのなら。」


 ライナルト・ミーデル=ヴァレンティーナ

 文官系インテリ貴族。腹黒&超有能。エレノア命。


 政務を仕切る宰相の息子で、王宮最年少の魔導研究顧問。

一見温厚で品があるが、実はエレノアに転生の匂いを感じており、全力で“推し活”中。

何かあるたび「エレノア様に損はさせませんのでご安心を」などと脅しかけてくる、裏の顔は“笑顔の毒蛇”。


「貴女の未来に、私の居場所はありますか?――他の男は消しておきますので」


 リリィ(主人公の侍女)

唯一まともな癒しポジション。裏では情報屋の才あり。


もともとモブ使用人だったが、エレノアの転生後にその優しさと改革ぶりに惚れ、忠誠を誓った超有能侍女。

見た目はちょっとぽやぽやしてるが、スキル【観察眼】【情報収集】【メイド業LvMAX】を持つ。

実は貴族社会の裏情報網を仕切る中心人物という噂も……


「リリィ、今日もお茶の用意を……あと、あの男の素行調査もしておきました♡」


 転生特典:主人公のスキル一覧(抜粋)

【社畜の証拠保存癖:Lv.999】


【空気を読まずに正論をぶつける力:EX】


【魔力変換:怒り→魔力】


【ざまぁ演出強化】


【経営・交渉・営業:現代スキル換算可能】


【断罪耐性/社交回避/毒舌魅了Lv5】


【フラグクラッシャー、体質(ただし好感度だけは上がる)】



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