作戦開始
いよいよ作戦開始です。
わたし達はいよいよマトラ旧市街攻略の作戦を開始する。
『それじゃ、ルビーさんお願いします』
「まかしときー!」
ルビーが軽くステップを踏むと、周囲の建物がバリバリと豪快な音を立てて解体され、この建物の前に資材が次々と飛んできた。
「おぉ!? こりゃ小細工どころかちょっとした建築だな」
「あたしの小細工魔法があれば建築で食べていけるなッ!」
「だがこれは……まさか」
ルビーが作り上げたのは巨大なカボチャの馬車だった。
ご大層にそのカボチャを引く為の巨大な木馬が二頭も付いている。
「うぇッ! このメルヘンチックなのにオレは乗るのか?」
「勇者さまには一番お似合いだろッ!?
まさかあたしの力作に文句でもあるのか?」
「……じゃぁオレ行くわ」
ラピスは部屋の窓からトンとジャンプして、カボチャの上に飛び乗った。
『では合流地点で会いましょう』
ラピスはとても嫌そうな顔で頷き、わたし達に軽く手を振った。
「ハイヨォーッ!」
ルビーが掛け声をかけると小細工魔法で作られた馬が嘶きを上げ、カボチャの馬車は石畳の街道を快音を発して走り出した。
『それじゃ、わたしたちも行きましょうか』
「そうだなッ!」
ルビーとわたしはラピスと合流する地点へと向かう為、次の準備をはじめた。
――その頃ラピスは
カボチャの馬車の上から聖なるオーラを使い、人の形をした物体を次々と引いていた。
「おぉ?
コイツら仲間にも反応して追いかけて来るのか、こりゃー楽でいいな」
ラピスの乗ったカボチャの馬車の後ろからは、既におびただしい数の物体がズルズルと追いかけて来ていた。
「おっと、スゲェ数だな
そういやぁ、奴らはここにも来るかもしれないんだったよな」
そう独り言を言った矢先、物体が目の前に生えてきた。
「言った側から早速来たか、
ルビーの作った馬車からは降りてもらわないと怒られるんでな」
生えて来た物体は「ふぁ」と聞き取れる音を漏らした。
「ん? おまえ何かしてるな?」
ラピスの体の所々がプチプチと点滅している。
「出血でもさせようって思ってるのか?
残念だがオレには効果がない様だな」
そう言ってラピスは物体にゆっくり近づくと、大きな足で物体を馬車から蹴り落とした。
蹴り落とされた物体が石畳の地面に落ちると、空気の抜けたボールの様に間抜けな音を発して転がった。
だが、次が背後に別の物体が生えて来ており、更に左右にも生えかけて来ていた。
「片っ端から叩き落してやる」
その後、馬車からは引っ切りなしに人の形をした物体が転げ落ち間抜けな音をさせた。
「キリがねぇ……ゴールはまだか?」
その後も休む事を許さないかの様に、物体は馬車に生え続けていた。
流石のラピスにも少し疲れが見えて来ていた。
息を切らせ、そして全身を光らせながらラピスは物体を落とし続ける。
そして、馬車は最終目的地である魔導士の居る場所へと向かって行った。
馬車は街の中央に位置する広場に入った。
「くッ……どうやら着いた様……だ……な……」
ラピスが苦しそうな声を出した理由、それはあの物体がカボチャの上に山盛りに生えていたからだった。
ラピスはその塊達に囲まれ、動くに動けないまでになっている。
「スッゲェー! ほら見てみるのだッ!
ラピスの奴おしくら饅頭してるみたいだぞッ!」
『あんなに乗ってよく馬車が壊れなかったですね』
「そりゃ100人乗っても大丈夫ッ! って程丈夫に作ったからさッ!」
カボチャの馬車は、大きな木の前でゆっくりと停止した。
その物体は、木の様に見えるが木にしては少し不自然に見える。
広場に続々と物体達が集まって来た。
「大分集まったナァー!
でもアレが全部ラピスに来たら長くもちそうにないなッ!」
『えぇ、いくらナイトと言っても限界がありますからね
ラピスさんも大分衰弱して来ています、
聖なるオーラを使い果たしたら、その時はひとたまりもないでしょう』
「だよなッ!
勇者さまだからって完全無敵が永遠に続くなんて言うのは
超ツマラナイ設定だもんなッ!」
馬車が止まった所で、ラピスは自分により固まった物体達を一気に跳ね除けた。
すると、物体達はまるで雪崩の様に馬車から転げ落ちて行った。
「おぉーッ! 勇者さまはまだ元気そうだぞッ!
焼却の準備は出来たのか?」
『えぇ、後はラピスさんに渡せばいいだけにしてあります』
「おぉーいぃっ! 着いたぞぉーーーッ!!
この後どうすりゃいいんだぁーーーー!?」
ラピスが叫んでいる。
「流石勇者さまは別格だなッ! あんなのにも大人気だッ!」
『ラピスさんッ! そこにある大きな木に向かって下さいッ!』
「木ぃ?」
不思議そうな顔をしたラピスだったが、さっきの物体がまた馬車に登ってきたのを見ると、急いで馬車から飛び降りると巨大な木に向かって走った。
マトラ旧市街の中央広場には、巨大な大木が生えていた。




