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聖戦士ラピス・ラズリ

大男かッ!?大男なのかッ!?

 大男の名はラピス・ラズリ。

 生まれ持った聖なるオーラが体内より常に発生している為、あらゆる攻撃を受け付けないと言う伝説のナイトだった。

 普通どのクラスになるかは、本人が決めて行くものなのだが、ナイトは生まれ持ったこの特殊な体質がなければ絶対になる事は出来ない。


 古い文献には、百年に1人程しか誕生しないと記されていた。

 だが、この数百年間は全く現れる事がなく、今ではすっかり伝説的なものとなっている。


「ラズベリーって言ったっけ?」


「ラピス・ラズリだ」


 ルビーはわざと間違えてるな。


「あんたって伝説の勇者クラスなのに、

 あたしとか今まで全ッ然! そんな噂聞かなかったんだけど

 これっておかしくないか?」


 言われてみればそうだ、ルビーはそういう所にやたらよく気が付く。

 わたし達魔法使いだけでなく、戦士や他のクラスであっても仕事を受ける為には、全て共通の組合に登録しなければならない。

 組合には定期刊行物があり、それに登録者名簿が付属されて発刊されるので、その都度わたしは全てのクラスの人員を一通り目を通すのだがナイトなどと言うクラスは存在していなかった。

 登録者名簿と言ってもそれ程多い訳ではなく、現在たったの100人にも満たない。

 危険度が非常に高い仕事なので、高額な報酬が貰えるものの平和な生活を求め引退していく者や、命を落とす者も多く出入りが激しい。

 そして名簿は上級クラスから載る。

 もし、ナイトというクラスが登録されていたとしたら間違いなく一枚目のページに載る事だろう。


 どうでもいい事だが、わたしのクラスである科学魔導士は組合にさほど認められていない為、一番最後のページに寄せ集められてしまっている。

 それは小細工魔法士のルビーも同じ扱いだ、わたし達の共通点は他に自分と同じクラスがいない事だった。

 負け惜しみになるが過去に例のないクラスである為に期待値が低いのと、個体数の少なさのせいで等級が上がりにくいらしい。

 逆にヒーラークラスは個体数は多くはないが需要が異常に高い為、たとえ初回の掲載でも等級は上位になる。


 そんな境遇だからだろうか、ルビーとわたしは1番最初の仕事でペアを組んでいたのだ。

 その時のルビーの口調が「んにゃん」だったのだけど、行き着く先でとにかく不評だったな。


「こらそこ! おかしいの意味が違うぞ!」

 当時を思い出し、にやけるわたしをすかさずルビーが注意した。

「あぁ、そらしょうがないな

 だってオレ組合入ってないし」

「ハァ!? なにそのFA宣言!」

「今回はさ、何かしつこく頼まれてちゃってなぁ……

 何度も断ったんだけど……」

「頼まれたってーッ!?

 やっぱり勇者さまともなるとオファーが来るもんなんだなッ!!

 そんで誰に頼まれたのさッ!」

「誰って、、マトラ王だけど?」

「ちょッ! 王様の依頼を断るなよッ!

 あんた何様のつもりッ? 勇者さまですかそうですか!」

「なんかさ、オレが行かないと間違いなく2人の女が死ぬって言われちゃぁなぁ?

 ……ってまさかあんたらの事かい?」

「ゲーーーーッ!

 なにそれ! あたし達もナメられたもんだよなッ! ペッペッ!」

『あなたがここに来た理由は分かりました

 時間も限られてますし、今回わたしが仕事内容を説明させてもらってもよろしいですか?』

「あぁ頼む」

「よろッ!」


 わたしは今回の依頼内容を2人に説明した、もちろんこの2人も依頼内容は把握しているはずだが、パーティーを組む場合は誰か1人が改めて説明する事が決まっている。

 説明した者がリーダーとなるが、今回の面子で言うと組合に所属していない者はリーダーになる事は出来ない為、高ランクだがラピス・ラズリは除外される。

 後は同ランクのわたしかルビーしかしないのだが、ルビーはリーダーをやらない子なので、わたしがするしかないと言う事になる。


 さて、今回の依頼はこうだ。


 事は、10年前の首都であるこのマトラ旧市街で起こった事件からはじまる。

 このマトラ旧市街は、当時王の命により魔導が盛んに研究開発されていたらしい。

 具体的には新しい魔導を開発し、マトラはそれを流行させて収益にしていたのだ。

 その魔導は初歩的なものが多かったが、それはあくまで表向きのビジネスの為だけであり、実際は高位の魔導にまで磨かれ国力を蓄えていた。

 その中の1つの魔導が、想定外の結果をもたらしてしまった。

 全てを理解していたつもりで、見逃していたある事の為に起こったというオチだ。

 その魔導の効果は「昼と夜では全く違っていた」のだった。

 公務の時間は昼なので、当然その魔導の実験も昼行われていたのだろう。

 だが、実際に使われる時が夜だったのだ。

 その魔導は昼は聖なる光の影響を与えるが、夜は闇の影響を受け結果的に人を人でなくしてしまう恐ろしい魔導だった。

 人でなくなった者は、昼は地面の下に吸い込まれて消えているが、夜になるとその姿を現し街を徘徊する。

 10年経ってもそれがずっと続いているのだな。

 そして、わたしたちの任務は夜にしか現れない、この事件を引き起こした魔導士を倒す事だ。


「なんか楽そうな仕事なのに何で10年も放っといたんだろ」

『放ってなんかいませんよ?』

「そか、まぁ王国なら金あるしな」

『名簿の人数が100人にも満たなくなった理由の1つはここにもあるんですよ』

「なんでさ」

『ここは本当は上級ランク向けの仕事なのですが、上級ランクは経験も長いですからここの危険性を 理解していてやりたがらないんです

 そうなると必然的に低ランクかつ未熟な者がここにやって来る事になります』

「オーマイガーーーッ! オーマイガーーーッ! 新人潰しのトラップか!

 あんたはハマったのかッ!? あんたにハメられたのかッ!?」

『明らかに組合側の難易度の設定ミスですね

 そして誰かが成功しない限りずっとこの仕事はあり続けます』


 ずっと静観していたラピス・ラズリが口を開いた。


「ふーん、じゃぁ今回でこの仕事もなくなる訳か」

「でたーッ! 勇者さまっぽいキメ台詞!

 誰か生き残れば後世に名言として残せそうだなッ!」


 そして日はゆっくりと傾きはじめる。


ルビーさんのキャラ設定がやっと把握出来て来ました。

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