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科学と魔導

Blogに思いつきのまま書いたものです。

余り得意ではないですが、暇つぶしになれば幸いです^^

『諦めて下さい、逃げられませんよ』

「くっ……何故だ! 何故俺は追いつめられている!?」


 追いつめられた男は、ここではかなり知名度のある大魔法使いらしい。

 ただし、それは本人の評価であり、わたしの見解ではそんな実力は持っていない様だ。


「こんな……ありえない!

 だってそうだろ? 何かがおかしいぞ!」


 雑多が散乱した床にへたりこんだその男は、現状を把握出来ていない様だ。


『おかしくないですよ、それじゃ……』


 わたしがそっと手をかざす仕草をすると、


「わぁーーーッ! 待った!!

 クッ……大体なんで武器がないんだ!!」


 男はまだ現状把握を行っていた。


『武器は最初にわたしが破壊したからです

 忘れたのですか?』

「くそッ、、武器があればこんな事には……

 こんな納得がいかない事には」

『武器を破壊しなくても同じだったと思います

 わたしはあなたが納得しようがしまいがどちらでもいいのですが』

「待った!

 あれだ、あれだけ教えてくれ!」


 この男、1秒でも時間稼ぎがしたいのだろうか。


『なんですか?』

「何でお前には俺の魔法が通用しなかった?」

『そんな事は簡単な事です

 ちゃんと科学を勉強してさえいれば』

「カガク? なんだそれは!?」

『あなたが使おうとした炎の魔法は、

 酸素の濃度を変えてやるだけで無意味になります

 ただそれだけです』

「何を言っている?

 魔法にそんなもの関係ある訳がないだろ!!!」

『ありますよ

 そういえば氷の魔法も使おうとしましたね、それは空気中の……』

「アァァァ!! ウルセェ~ッ!! そんな事聞いたこともない!

 呪文唱えれば出るんだよッ! 精霊と契約してればッッ!」

『それは間違いではないですが、

 ほんの少しでも条件が変わるだけで出来なくなるんです』

「じゃぁ雷の魔法もか?」

『電気は湿気を変えてやるだけで出せなくなります』

「何言ってる!?

 雨の日だって関係なく出てるだろうがッ!!」

『それは雨雲の上で作られたものだからです』

「ハァァ!? 意味わからねぇ! おまえ絶対頭おかしいだろ!?

 カガクってどんな魔法なんだよッ!」

『科学は魔法じゃありません

 もういいですか?』


 わたしは男の向かって手をかざした。


「ギャァァァーーーッ!! 待った!! ウワァァウワァァ~~~!!!!」


 わたしは待たなかった。


「ウガァァァァァァ!!」


 男が声を出したせいだろうか、放ったプラズマの狙いが外れ、床に大穴を開けた。

 しかし、足を少しかすめた為、男の足から血が吹き出していた。


「イテェェ!!! イテェェヨォォ!!!」


 男は大声を上げながら隣の部屋に這って逃げて行った。

 引きずった血の跡が線になって続いている。


「くっそ! バカヒーラーさっさと回復しろよッ!!」

「は……はい」


 あの男の怒鳴り声とは別の女の声がした。

 そうか、もう一人ヒーラーと呼ばれる魔法使いがいるらしいな、ターゲットはこの男一人だけなのだが。


「あ……あのッ……」

「なんだ!! 早くしろッ!!!」

「……出来ない……」

「あッ!? 何が!!」

「回復魔法が出ないんです!! ワァァァァッ!」


 ヒーラーと呼ばれる魔法使いの女は、泣き声の様な声をあげパニックを起こしていた。


「バカな!! いつもやってるじゃ……ハッ!?」


『出来ませんよ』


 この部屋の入り口から見える光景。

 倉庫らしき薄暗い部屋には、どう集めたのかわからない程の金品が大量に置かれている。

 その一番奥に足を削られ血を流しながら這う男と、うずくまって場の恐怖に震える女。

 床には男の血の跡が1本。


『それじゃ』


 と言った瞬間床が抜けた様な衝撃を感じ、わたしは地面に崩れ落ちた。


「ヒャッハァァーッ!!」


 床に叩きつかれるのと同時にあの男が歓喜をあげているのが聞こえた。


「魔法の力ナメんな!! このカスッ!!」


 起き上がろうとして、何が起こったのかが分かった。


『……足が……?』


 足が焼けるように熱い。


「ギャハハハハハァァーーーッ!! ねぇよバァカ!!」


 どうやら入り口の床の下に、トラップ魔法が仕掛けられていた様だ。

 部屋中に血のしぶきが飛び、あの男の顔にもかかっていた。


 手で足の状態を確認してみると、ぬるっと言う感触がして膝の上辺りから下がなくなっていた。


「それじゃ」


 さっきわたしが言った台詞を、男は恍惚の表情で言った。



~~~~~~


『それじゃ……』

 わたしは誰もいなくなった部屋で独り言を言うと、次の目的地に向かった。


次回からお笑いに転向します。

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