正義には
サキが廊下でロイに対してヒール魔術を施している間にサクリファイス隊の他メンバー達が会議ルーム前に集まっていた。
「はぁ、これどうするんですか課長?」そうレオンに告げたのはサクリファイス隊で一番の年長であるカイだ。カイはサクリファイス隊の中一番頭の回転が速く現場では皆の前を張りながら状況を的確に分析している。そんなカイの視線の先には、先の一撃でボロボロになった床や壁が広がっていた。
「まぁしょうがない正義には犠牲がつきものだ。」そう言いレオンは、がはがはと豪快に笑っていた。
(まぁ、床とかは、後で直すからいいとしてそれより)
「サキ、ロイの状態はどうだ?そのさっきから反応ないけど」
「ロイが死んだら俺が次のリーダーなw」とロイを煽っているのはサクリファイス隊最年少のエンサだ。エンサは18歳という若さにしてその素晴らしい才能を認められサクリファイス隊に入隊したが、まだ子供心捨てきれておらず実働課に迷惑をかけている。
「おいエンサこら笑い事じゃないぞ。で状況は?」
「あぁまぁその血は止まったんすけど、ただ血の流れ過ぎで足らないんすよねぇ。A型かAB型の人いません?」
「いやぁ俺は違うなぁ」
「僕も」
「俺も」
「はぁ、どうしよ医療ルームはこっから遠いしな~」
サキが輸血の事で悩んでいると、廊下の奥からこちらに近づく足音が二つ聞こえてきた。
「どーしたのみんな会議ルームの前に集まって?」
「マイっちにエフィ先!いやぁ課長が指輪使ったロイに対して鉄拳かましたんすよ」
「へぇーだからこんな惨状なんだー」
「そいえばマイっちって何型?」
「A型だけど、ってなになに皆こっち見て?」
次の瞬間、サキはマイの腕をに管を刺しその管をロイの腕と繋げた。
「え!?え!?なになにこれどういう状況!?」
「輸血だねマイっち」
「いやいや輸血ってこんな簡素な道具でいいのサキ?」
「マイっち。この管はね私お手製のやつでね、現地で迅速に治療が出来るように開発したんだよ。まずはこの形状を見て欲しいんだけど、、、」
サキがお手製の管について1時間程説明している間に輸血が終わり、ロイの目が開く。
「ん~、はっ!!あれ?今死んだはずのじいちゃんが手振って」
「朝っぱらから何やってんだか」
「がははは、ロイが目ぇ覚ました事だし朝礼やるか」
「課長その前に」
そう言いマイはポケットからスマホを取り出し計算機のアプリを開いた。計算が終わりレオンにスマホの画面を見せる。画面には500万と表示されている。
「これはなんだねマイ」
「わからないんですか?こ・れ・は課長が今さっきご自分で破壊した床と壁の修理代です」
「これを私に見せてどうしたんだ?」
「そりゃーもちろん課長に支払ってもらおうかと」
「あ、いやこれはさっきも説明したがロイが指輪を使ったからで」
「もしかして修理代をロイに支払わせようとしてるんですか?」
「いや、あの」
「課長!」
「なに急に大声出して」
「もしこの修理代出さなかった今の上層部に部下へのパワハラ、基地内での指輪の使用これらをまとめて報告します」
「マイやめてそれされると私の出世が」
「正義には犠牲がつきものですもんね。さぁ、課長の貯金と出世どっちに犠牲になってもらいましょうかねぇ?」
マイは不敵な笑みを浮かべ、レオンは目に涙を浮かべている。一連の流れを見てここにいる一同はマイには逆らわないようにしようと心に誓った。