6.魔王国(5) 錬金精霊の里 呪玉の秘密(3)
さて、俺は器用な方ではない、なので、道具を作ることにする。
職人の様に感と経験で、安定して同じ品質の物を作るなんて芸当は出来ない。無理だ。
呪玉の一通りの作り方を見たので、俺でも安定して作れるように考えてみる。あの、地下世界の精霊の使っていた機械の様にぽんぽんとは出来ないけど。
・素材の選別(ムーンストーン、魔石、隔離材)
・素材の加工(ムーンストーン及び魔石の円筒形加工、ムーンストーンのリング加工、ミスリル薄板)
・龍脈計の開発
・ムーンストーンの分極
・リングの調整
やることは多い。
まずムーンストーンだ、今回初めて見た、というか知らない物の方が多いんだけど。見たところ結晶のようだ、当然ヒビなど無い方が良いだろう。加熱、再結晶化で純度を上げてみるか。幸いなことに素材はこの付近では結構豊富に取れるらしいので実験には困らない。
鑑定出来るのかな、
ナビくんお願い
ーー鑑定結果、純度90%、均一度80%のムーンストーン原石です。この世界の鑑定師と呼ばれる者であれば、鑑定可能と思われます。
ありがとう。
加熱再結晶化をやってから再度鑑定してもらう
ーー鑑定結果、純度95%、均一度90%のムーンストーン再結晶品です。
もう一度
ーー鑑定結果、純度98%、均一度93%のムーンストーン再結晶品です。
もう一度
ーー鑑定結果、純度99%、均一度95%のムーンストーン再結晶品です。
この程度にしてみるか。
再結晶化の時にある程度形を整えてきたので最後に大きさを揃えるために旋盤を作って削ろう。
素材を回転させ砥石でシャーーーと削って長い円筒形を作って
パン、パンッと輪切りにしていく、うまく円筒型に割れた。割れた面は平らだけど、接触面を密にするために研磨する事にする。回転テーブルに研磨剤を流し、面を平らに平行にしていく。
ちなみに基本加工機は俺がぽんって、謎能力で作ったので、この世界の人には作れないけど。
次に魔石だ
空にしないといけないので、まずなんか効率の悪そうな魔道具を動かして空にする。
ーー鑑定結果、純度80%、均一度80%、魔力0%魔石です。
これも同じ様に結晶の様だ、数回加熱再結晶化を繰り返すと
ーー鑑定結果、純度99%、均一度95%、魔力0%魔石です。
このぐらいにしてみよう。
これも同じ様に円筒形のパーツに加工する。
次にミスリル箔だ
ミスリルはアイテムボックス大量に保有しているので問題ない
製錬して純度と均一性を上げた
加熱しながら圧延してアルミホイルの様にしていく。
隔離剤として樹脂が使えるそうだ。これも精製して不純物を減らして均一化した。
これは液状にしてミスリル箔に塗ってしまおう。
通常の呪玉の5倍ぐらいの長さで巻けた。
あと流量計だが数値化が難しいのでとりあえずインジケータ方式にした。
龍脈の流れによって物を浮かせる能力のある魔道具があったので、その高さで判断する事にした。ムーンストーンに流す気を、同時にその魔道具に流す事で浮いた量で判断する。正式には基準化が必要だろうが、今回は最大値を得るためだけなのでなんとかなる。
そして、ムーンストーンは気を流した状態で割っていたが、2つを合わせた状態で気を流し、魔石を差し込む方式にしてみた。
ぱりん!
魔石が割れてしまった。ひょっとしてムーンストーンの効率が良くなりすぎた?
ムーンストーンを薄く、魔石を厚く加工し直して再度実験だ
ぎゅるるるるーー。魔石は割れなかったが、なんか怖い状態だ。
マイワールドで『爆弾処理場』をクリエイトし、放り込む。
しばらくして覗いてみると大爆発の跡があった。やばい。
結局いくつか試作実験を繰り返した結果、ムーンストーンはぺらぺらな薄板になってしまった。逆に魔石は厚くなり、結果としてサイズは、従来の呪玉のパーツと同じぐらいになった。
純度を上げればコンパクトに出来るわけじゃないんだな。
大出力の効果を得たい場合には使えるかもしれない。その場合魔石の部分を魔道具にして消費すれば良いのかな。
んーーーーひょっとして。サンマル遺跡の大爆発ってこんな事が起こっていたとか。