4.魔王国(3) 錬金精霊の里 呪玉の秘密(1)
翌朝、念珠さんは見違えるように復活していた。
さすがエリクサーと極新鮮粉末健康野菜!
こうやって書くとエリクサーよりも力強く見える。漢字9文字の威力! でも日本語だからそう見えるだけ
「おぅ、ありがとな、復活したぜぃ」 こんなノリだったかな?生まれ変わった?
「いえ、たまたまこのタイミングで来てよかったです」
「ところでなにか用か?」
「はい、実は魔道具屋『ドラゴンズ・ロイ』をはじめまして、参考までに呪玉の作り方を教えてもらえないかなと思いまして」
「ああ、普通なら秘密だが、エリクサーももらっちゃったしな、精霊から聞いたんだが、実はかなり危い状態だったらしい。
だから教えてやるよ。だが他には絶対に漏らすなよ」
「ありがとうございます先輩! もちろん秘密にします」
「まず、材料だが、この里で採れるムーンストーンと呼ばれる鉱石を使う。
もちろん地球で言うムーンストーンとは異なるものだ」
「精霊は龍脈の気が継続的に流れる事で存在している。つまり気の流れが停まる場所に精霊は居ない。
呪玉は一種の人工精霊石だ、石の中に気の流れがないと精霊は存在できない様に、気だけ込められても何も起きないが、気の流れがある場所では魔力が生まれ現象が起きる。その気の流れを生じさせるのにこのムーンストーンが使われる」
なるほど
「電気で言う所の電源と考えればわかりやすいだろう、電源が切れれば揮発メモリーの内容は消える、
つまりプログラムが消える。呪は気の流れの上で動くプログラムのような物と考えれば良い」
「じゃあ解呪ってその気の流れを止める事?」
「そう、それは解呪の方法の一つだ、プログラムを書き換える方法もあるし、強引に引き剥がす方法もある。通常の呪の場合多くは術者の気の流れで呪のプログラムを維持しているので強引に引き剥がした場合に術者側に効果が出てしまうんだ。」
疑似精霊石は気が蓄えられて更に、気の流れを維持する仕組みがあり、そこにムーンストーンが使われると。なるほどね。電池と電気回路とプログラムの様な感じね。
「ただ、流れがあっただけだと気の蓄えが無くなると消えてしまうので、空気中の気を吸い取って循環させる。この吸い取りつつ流れを維持するのにムーンストーンが使われる。
強いて言えばブラックホールみたいなものだ。ブラックホールほど強烈ではないが性質は似ている。
気を吸い込むことで流れを作り、その一部を維持する力に変えている。
」
ふむふむ
「気の流れのバランスが崩れても通常は安全装置があるので大丈夫だが、その安全装置が壊れれば周りの気を吸い尽くしてしまう。君が言っていた呪の黒い霧のようなものはその暴走の結果、周囲の魔力が使い果たされた結果、魔力枯渇状態になったのだろう。妖精は気や魔力を吸い取られて危ない状態になったのだろうと思う。
気を吸う能力にも限界があるので大惨事になる事はないが、精霊や妖精にとっては危険なものとなる。
君の解呪は一気に強大な気を与えて、気を飽和させて流れを停止させてしまうものなのかもしれないな」
そーだったのか
少しだけ分かった気になった。
「そして、もう一つ、気を吸い続けるだけだといつか飽和してしまうので、ホワイトホールみたいな物、といっても同じものの極性を変えだだけのものとセットで使うことになる。」
「んー磁石のS極とN極みたいな?」
「そうだな、磁力とブラックホール・ホワイトホールを合わせたようなものと考えれば良い」
座学で挫けそうだ
呪玉の秘密はどこにも漏らさないでください。
謎科学なので真剣に考えてはいけません。




