39.メディの薬屋に弟子入り(6) 薬箱
宅配便はやらないけれど、薬に関しては元いた世界に『置き薬』という販売方法があった。
各家庭毎に置くのは無理だが、開拓村とかの僻地の村単位では出来ないだろうか。村長とかの所に置き薬をして、村で使ってもらう。村々を回る業者を雇い使用した薬の代金をもらい、薬を補充していく。ボランティアみたいな仕事だ。もちろん大儲けは出来ない。村で急な薬の需要が発生した場合、街まで買いに行っても到底間に合わない。薬屋を開業しても元は採れないので当然薬師は来ない。
そういうところが改善できないか
ビジネスとして成り立つかメディに相談してみよう。
「鉄道駅がある付近であれば可能でしょう、薬の保存期限が短いものは難しいですね」
「保管期間を伸ばせればよいのですね」
「どうやって?」
「例えばですけど、劣化する原因はおよそ次に示す内容ですよね
1.空気に触れることで酸化する
2.紫外線に当たり変質する
3.薬の内部で化学反応が進み変質する
「1.」は、密閉技術(空気を抜く)、入れ物の素材(空気を通さない)、「2.」は入れ物の素材(光を通さない)、「3.」は例えば2液に分けて使う直前に混ぜて使うとか。
そういうアプローチは出来ないかなと思って」
「そうですね、例えば1と2は少しコストアップになるけど、スライムパックで解決できると思います。3に関しては、薬の種類にもよりますね。」
「なるほど、とりあえずどの様な薬が必要か調べてからだね」
一番やりやすい亜人国で試験運用を考えてみよう。
獣人国と龍人族と鳥人族と魔人国の管理している少数部族を対象に考えてみよう。
魔人国には薬師がいるから、魔人国で作ったものを龍人族と鳥人族に送りそこから配送。
獣人国向けは獣人国内または帝都で作り配送する。
どの様な時に必要になるのか、熱を出した時、腹痛、嘔吐、頭痛、怪我(浅い切り傷、打ち身)
それ以外は医療機関が必要だろう。
軽い怪我や打ち身などは、スライムパックが使えて、これは現地調達出来るので不要だろう。
解熱鎮痛剤と胃腸薬かな。胃腸薬は黒龍丸をスライムカプセルに密封したものを作れば良さそうだ。
解熱鎮痛剤は回復ポーションが良いだろう、光を通さない密閉容器色ガラス瓶を加熱処理したあと空気が入らないように入れてスライムパッキンを入れてロウで封印してみよう。
この世界には加速試験する設備は無いので、アイテムボックスの時間経過制御機能を使ってみる。
実験した結果、スライムカプセル黒龍丸は半年ぐらい保った、ポーションは3ヶ月ぐらいだった。
判断方法は、鑑定で状態に劣化の文字が付くまでと判断した。
甘いものは劣化しにくいので、ポーションに砂糖をたっぷり入れてみたら、1年保った。
黒龍丸も糖衣にしてみたら1年保った。
こうして、僻地にも医薬品を持ち込む製品の開発に成功した。更新や回収は旅商人に委託する。
都市での売値の1.5倍ほどの価格で元が取れるだろう。ただ、期限切れによる商品ロスも多いので、儲けはほぼ0だ。
鉄道の開通と共に普及させよう。




