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呪い屋本舗3 (魔導具屋に転職する)  作者: ぽしょなれ


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35.メディの薬屋に弟子入り(2) 甘味処アルガロイ

閉店までにはまだ時間がある。冒険者の帰り客や、明日の準備をする客などが居るので、日が落ちてもまだしばらくは開けている。閉店は日没後1時間ぐらいとアバウトだ。


特にあてもなく街中を見て歩くことにした。

どれどれ他の薬屋とかは、あっあった、なになに『メディの薬屋2号店』。

そういえば、自分の店を買ったとか言ってたな、

また薬屋だ、『メディの薬屋3号店』。何店舗あるんだろ?

よく見たら2号店は一般人向け、3号店は貴族向けみたいだ、お互い気を使わず入りやすそうだね。

近くにあると思ったらそういう考えか。思い出してみれば1号店は冒険者向けみたいだ。

客層で分けるのは正解かもしれない。やるなメディ。


次は魔道具屋を探してみる。ん?メディさんの薬屋の隣は全て魔道具屋だ、しかもそれぞれ『ドラゴンズ・ロイ帝都2号店』、『ドラゴンズ・ロイ帝都3号店』、聞いてないよ。同様に客層に合わせた物を置いている。

どうやらタイアップしているようだ、営業を任せておいたらこんな事になっている。

そうだな、よく相談して薬屋の役に立つ魔道具を中心に作れと言っておいたな。間違ってはいない。


さて、小腹がすいた、飲食店を探そう、チャイ帝国でも過去勇者召喚が行われて、なぜか日本人ばかり召喚される。その影響で日本文化が一部入り込んでいる。だから第十三皇女の和菓子とお茶も受けがよい。

あった、あれはきっと皇女の店だ、『アルガ茶屋』皇族の名前は勝手に使えないので間違いないだろう、様子を見に入ってみよう。んーーなんか入口から人が多いと思ったら順番待ちの列か、入れそうにないな。まあ流行っているみたいだから良いか。メニューだけ確認していこう。

店のメニュー看板には

・抹茶セットA(どら焼きと抹茶) 3000ゼニ

・抹茶セットB(きんつばと抹茶) 3000ゼニ

・煎茶セット(おかきと煎茶) 1500ゼニ

とある。

ゼニと円がほぼ同じ価値観である事を考えるとかなり高めだが、この世界で高級品である砂糖を使っているので、比較的安いと言える。刑務所村の安い労働力でサトウキビ栽培をしているので、この価格でも採算が取れる価格に出来たのだろう。

客はこの価格で甘味が楽しめるという事でこの様な行列になってしまったのだろう。

メニュー看板の下の方に姉妹店『高級甘味処アルガロイ』もよろしく、とある。

おい、ロイって勝手に使ってるなぁ。文句言いに行かなくては。


簡単な地図も描いてあったので行ってみることにする。

あった、こちらは高級という表記が一般客を退け、客層が異なる様だ。並んでは居ない。

店の看板を見ると、要予約とある。なるほど。

中に入って受付を見ると、見知った顔だ、たしかアルガの従者だ。

「いらっしゃいませ、ロイ様」

「いや、予約取ってないよ」

「ロイ様の席は常にキープしてあります」

恐ろしい、来ないといけないってことかな?

「店名なんだけど?」

「はい、アルガ様が恩人の名前を入れるべきだと言われまして、アルガロイとしております。それに、この名前にしておけばロイ様の目にとまるだろうと」

ん、そんなこと言われたら怒れなくなった。

「それじゃあ、頼む」

「今日はアルガ様も来ておりますのでお呼びしてもよろしいですか」

「もちろん、お願いします」

「では、こちらにどうぞ」

案内されて奥に進むと、全席半個室でプライベート空間が保たれている。個室もいくつかある様だ。そんな中の一室、表札は『ロイ様専用個室』とあった、本当にあったの専用個室ってまさにVIP待遇だ。


中に入ると数人が座れる椅子とテーブルが備えられていて、調度品どれも高級感あふれるものだった。

「メニューはこちらになります」

・抹茶セットA(どら焼きと抹茶)

・抹茶セットB(きんつばと抹茶)

・煎茶セット(おかきと煎茶)

内容は同じだが金額が書いてない。

「えっこれって価格は?」

「必要ありません、ロイ様専用のメニューです」

なにそれ、只って事?逆に来づらい。

「じゃあチップで」

小金貨1枚を渡す。

「あっ、ありがとうございます、でもチップ制では無いですよ」

「なにか払わないと来づらいからね。抹茶セットAを頼む」

「承知しました」


しばらくすると、アルガがやってきた。

「お久しぶりです、申し訳ありませんお気を使わせたみたいで」

「おう、いいさ、流行っているみたいだな」

「おかげさまで、お茶文化と和菓子文化の発信源になる事ができて『お茶姫』という称号ももらいました」

それ、称号なの?

「まあ上手くいって良かった」

お互い仕事に忙しくてなかなか会えなかったが、一段落して落ち着いたみたいだ。

こちらは無理やり休まされているだけだけど。

どら焼きは、完璧であった。俺が作ったサンプルを元に専属料理人とともに完成度を上げた様だ。

時間があればこの店に来ているらしい、お茶姫目当ての貴族も居るので愛想振り撒く必要があるそうだ、そういう地道な努力がなければ称号はもらえないのだろう。

いろいろな土産話があったので、かなり話し込んでしまった。まあ専用ルームらしいので、時間は気にしなくても良さそうだけど、メディとの約束がある。

また来る。と告げ、店を去りメディの薬屋に向かった。








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