1.魔導具屋に転職する
ロイは考えた。
呪い屋本舗の幹部になったけど、これから先も続けるのか。この世界に転生してから呪い屋本舗とは関わりながらも、冒険に商売ばかりだった。世界をめぐり世界の真実を知り一区切り着いた感がある。家庭を持ったものの、あまり振り返ってはいないが、まあいいだろう。好きにやれって言われた。放任主義はありがたい。まあ『屋敷』で毎日顔を合わせているからね。
そろそろ違うことに取り組んでも良いのでは無いだろうか。
とりあえず、自らが投資した薬屋と魔道具屋がらみで考えてみよう。
薬屋は結構関わったかな、まあ、エリクサー作れるんだし。メディも元気そうだ。前回、地下世界から薬草を大量に調達出来た彼女は、他の店との差別化が出来たため利益を大幅に上げている。他の店も地下世界産の野草を入手できるようにはなってきたが、輸送費がかなりかかり商品価格を上げなければ採算が取れなくなって来ている。その点、メディの薬屋は世間レベルよりも安くしかも利益率を高く保っている。
ただし、需要に供給が追いついてきたため価格は安定してきている。
また、地下世界へ買い出しに行きたいとせがまれている。新たな発見もあるかもしれないし、自分の利益にもなるのでまた行こう。
一方魔道具屋は始めたばかりで現在準備中、まだ売るものがないからだ。
よしっ!オーナー兼平社員で取り組んでみるかな。
トントン!
「こんにちは」
「おっ、オーナーか」
「雇ってください」
「駄目だ」
断られてしまった。悲しい。
「なんで?」
「オーナーがいたらやりにくいに決まっている」
そうか、まあ、そうかな。自分だったら嫌だ。
「仕方ない。じゃあ部門を分けよう
・魔道具部門 一般に普及させる物の開発
・オーナーの自由研究部門
」
「じゃあお互い口出ししないな」
「オーケー。決まりだ。」
相談はするけどね。
しまった、まだ準備段階だけどギルドに申請する店の名前を保留にしていたんだった。
面倒だから簡単な名前にしておこう。
魔導具屋『ドラゴンズ・ロイ』でいいか。
龍化出来るんだからおかしくは無い。はずだ。ドラゴンの友達多いし。
ドラファが「ドラファ&ロイ」がいいと言ってたけどなんで自分の名前が先にくるかなあ?
どうせなら「&ロイド」とか、あーこれは駄目だな。
こうしてロイは、魔導具屋『ドラゴンズ・ロイ』に無事に就職できました。