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「満月の夜、僕は学校で一番の美少女に拳銃を突き付けられた。~クラスで隣の席に座るアノ子は、超絶凄腕エージェント~」  作者: GOM
第2部 ボーイ・ファイト・ウイズ・ガンガール

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第48話(累計 第95話) 魔の塔攻略戦その十一:必殺、無刀取り! センパイを撃破。だが……

「グギャァァ!」


 奇声を上げて高周波長剣を振り回すM3。

 中には、僕が以前戦って倒した「高天原(たかまがはら)月光学院」の運動系特別クラス、剣道部の先輩が乗っていて、精神と身体を操る薬物で暴走状態になっている。


「危ないなぁ、先輩。そんな力任せに振るっても、パワードスーツは追従しませんよ?」


 まだ、パワードスーツに乗り慣れていないと思われるセンパイ。

 薬物の力で強くなり素早く剣を振っているつもりなのだが、既に旧型になるM3ではオペレーターのマスターアームの動きに追従できない。

 また、足さばきも今一つ再現不能。

 動きがどこかぎこちなくなる。


 その上、剣を振るのみでパワードスーツの他機能をまったく使っていない。


 ……パワードスーツ独特の機能を生かせなきゃ、ダメだねぇ。M3じゃなくて、僕のXM5なら機体の追従性がもうちょい良いんだけど。


 力任せに手足を振り回してくる先輩。

 ぶうんぶんと、青く輝く高周波長剣。

 僕は、バックローラーダッシュとスラスターを駆使して、センパイの剣を躱す。

 また躱しきれない場合は、前腕部についているソードストッパーで剣先を弾く。


 ……指先もソードストッパー部分もタングステンカーバイドにボラゾン焼き付けだから、少々の剣戟なら弾いちゃうんだよ。


「センパイ。力任せに振っても機体が追従しないですよ? しょうがないですねぇ。さあ、僕は止まって見せますから、僕を斬ってみてくださいね」


 僕はバックジャンプしてセンパイから七メートルほど離れる。

 大体一足一刀の間合い。


 そこで僕は右足を前にして身体を開く。

 ライフルを地面に投げ捨てる。

 背中を丸め、両手をぶらんとさせた。

 これぞ、「柳生新陰流 一円の構え」。


 そして、センパイを挑発するように徐々に近づいていった。


「ぐ??」


「あれ、僕が怖いんですか? ほら、ライフルも捨てて手ぶらですよ、センパイ?」


 僕が妙な動きで挑発するから、動きを止めて困惑するセンパイ。


 ……よし、上手く術中にハマってるね。


「では、こっちから攻めます! はぁ!」


 僕は、最大級の殺気をセンパイに向けて飛ばす。

 その殺気に釣られたのか、センパイは上段の構えから高周波(ブレード)を振り下ろしてきた。


 ……ここだ!


 僕は一気にブースト踏み込みをして、センパイにほぼ密着するまで接近した。


 振り下ろさせてくる剣。

 が、完全に振りきる前に、その柄頭を僕は左手で下から抑える。

 続いて、逆手にした右手で柄中、センパイの剣を持つ右手と左手の間を掴んだ。


 ……よいしょ!


 後は剣を握ったまま向かって右前に踏み込んでいく事で、センパイは自らの勢いで勝手にふっとんでいった。


「これでフィニッシュ!」


 僕は奪い取った高周波剣で、倒れていたセンパイの機体の両腕、両足を切断。

 トドメに電源部分も刺して破壊した。


「一体、今の技は何かい? 普通、剣に無手が勝てる筈無いよ?」


「そうだねぇ。技の名前くらいは教えてあげるよ、ミハイル。今の技は『柳生新陰流 無刀取り』。それの僕バージョンかな?」


 座り込んだまま、機体の機械腕で器用にパチパチと拍手をするミハイル。

 僕は一切油断もせずに、彼に剣を付きつけつつ技の名を告げた。


「流石はマモルくんね。こっちも片付いたわ。一応、死んでないとは思うけど?」


「ち、ちきしょぉ! 小娘めぇぇ! 植杉くんとしっぽり遊ぶのを邪魔しないでぇ」


 アーシャちゃんは、敵パワードスーツを踏みつけてドヤっぽいポーズ。

 足元の機体は、腹ばいに転がされていて腰部分から煙と火花を出している。


 ……僕、貞操の危機だったんだねぇ。アーシャちゃん、ありがと。


「アーシャちゃん相手じゃ、時間稼ぎにもならないんだ。随分とパワードスーツの操縦、上手くなったんだ。でも、甘くないかい? 二人とも殺さずなんて?」


「だって、手加減アリアリで倒せるくらい弱いんだもの。でも、貴方相手なら違うの。わたしは殺す気で戦うわ」


「アーシャちゃん、先に僕が戦うよ。こんな最低なヤツ、アーシャちゃんの手を汚すことも無いからね」


 ゆらりと立ち上がりながら、パチパチとパワードスーツの手を叩くミハイル。

 そんな彼に、アーシャちゃんも僕も挑発する。


 ……僕の事を甘く見てくれたら良いけど、前回負けたのを根に持っている風だし。本気で殺す気でいくのはしょうがない。だって、コイツを倒さなきゃ東京は危ないんだもの。


「ははは! ここまでボクを侮辱したのはキミらが始めてだ。そして敗北を与えてくれたのもキミらが初めて。だから、ボクは手段は択ばない。さあ、やってください、我が主よ!」


 顔になる頭部センサーを上にあげつつ、それを機械腕で覆うミハイル。

 まるで舞台俳優のようなしぐさをした後、腕を下げ大型ライフルを腰から外す。

 そして、一気に殺気を膨らませた。


「アーシャちゃん、気を付けて!」

「うん!」


 僕は急いでバックダッシュ、左機械手でライフルを拾いミハイルに銃口を向けた。


「マモル殿、アーシャ殿! 罠でござる! それはミハイルじゃ……」


 一瞬画面が歪んだような感覚がしたのだが、構わず僕が引き金を引こうとした瞬間、ユウマくんが通信越しに叫んだ。


 ……ん? なんだ。妙な違和感が? 目まいも? あ、まさか!


 僕は銃口を下げて、急いでミハイルから距離を取った。


「うわ!」


 距離を取ったはずなのに、僕は背後(・・)から銃撃を受けた。


 ……どうして? 正面モニターにはミハイルが居るのに背後から? ん、あれ、ミハイルの動きがどっかで見たような?


 正面モニターに映るミハイル。

 どこか女性的な動きを見せ、銃口が定まっていない。


「まさかハッキング?」


 僕はモニターに映った「ミハイル」に背を向けながら、ランダムステップをした。


「へぇぇ。一瞬でそこまで判断できるのかい? マモル、オマエはバケモノじゃないか! こんな奴、生かしておけないや」


 ミハイルの声がするが、別の方向から殺気が迫る。

 僕はしゃがんで、殺気の方向からくる攻撃を躱した。


「マモルくん! 一体どうなっているの? ん?何、この音は?」


 アーシャちゃんが僕を呼ぶが、その声の陰から聞こえる妙な音が変な感じを僕に与える。


 ……これ、音もハッキング! 催眠効果物語ある音が混ぜられてる!?


 僕は急ぎ、モニター上では「ミハイル」に見える機体に体当たりをした。


「きゃ!」

「アーシャちゃん! 映像と音声はハッキングされてる。急いでコクピットを開いて!」


 僕はコクピットを戦闘中にも関わらず強制解放、大声でアーシャちゃんに叫んだ。


 ……アーシャちゃんが躊躇してくれてて良かったよ。じゃなきゃ、体当たり時に攻撃喰らってたからね。


「え、マモルくんなの?」


 同じくコクピットを開いたところから顔を出したアーシャちゃん。

 びっくり(まなこ)な灰蒼の瞳で僕を見た。


「同士撃ちしてくれたら、簡単で良かったのにねぇ。この手で警察隊や自衛隊は全滅できたのに、マモル。オマエは一体何者だ!?」


「僕は只の高校生だよ。ただアーシャちゃんを守る騎士でありたいと思うだけの男の子さ」


 天候が急に崩れ、雷と共に大粒の雨が降り出した中。

 コクピットを解放したままの僕は立ち上がる。

 そして疑問の声を上げるミハイルに剣を突き付けて宣言をした。


「ここで僕がオマエを倒す!」


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 随時募集しています。

 戦いもクライマックス、今後ともよろしくお願い致します!

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