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第47話(累計 第94話) 魔の塔攻略戦その十:屋上決戦! 絶対に僕とアーシャちゃんは負けない。

「ミハイル、来てあげたわ。どう、マモルくんの強さは凄いでしょ? 流石はわたしのカレシね」


「アーシャちゃんってば。こんなとこでドヤ顔して僕を褒めても、ミハイルには見えないよ?」


「……マモル。お前は絶対に殺す。殺してやる! 僕からアーシャちゃんを奪って、すっかりダメにしてしまったオマエの存在が許せない!」


 屋上のヘリポートに来た僕ら。

 中央には陸自の汎用ヘリ(UH-60JA)がローターをゆっくり回して待機中。

 ヘリの横に、偉そうに腕を組んだミハイルのYK-102(パラディン)

 また周囲には三機のM3がいる。

 そのうち一機は、珍しくライフルではなく長剣を持っていた。


「学院長さん、あの尖ったのがマモルくんの機体よね。もし生け捕りに出来たら、(わたくし)にちょうだいな。ああ、可愛い顔を快楽で歪ませてあげたいわぁ」


「それなら、女の方はボクに任せて。大丈夫、殺さないようにして学院長に渡すよ。(ひいらぎ)、お前にやられた痛みは忘れていないぞ!」


「うはははは、植杉ぃ。お前ともう一度殺し合いをするぞー!」


 ……あれ? 一人以外は声を聴いたことが? 確か、襲ってきた?


「あらあら、そっちの坊やはわたしに股間を蹴り潰された子ね。長剣の方は、マモルくんと戦った剣道部の先輩。なら、最後の方は特別クラスの先生?」


「ご名答、アーシャちゃん。さあ、君らはどうする? 彼らはボク自ら更に薬物強化をしている。強いよ? でも、君らは殺せないだろ? 同じ学校だったものね。ははは!」


 アーシャちゃんの指摘の答え合わせをするミハイル。

 僕らでは殺さずに倒せないだろう敵を出してきて、殺させて心を傷つける。

 もしくは倒せずに負けるのを狙っているのだろう。


「はぁ。バッカだよね、ミハイル。これ、僕らが容赦なく殺せたら只の無駄じゃないの?」


「それならそれで、知り過ぎたモルモットを処分できるから問題無いよ。ボクは見守ってあげるから、さっさと戦いな」


 ミハイルは、後ろに居た汎用ヘリにパワードスーツのまま乗り込む。

 そして、汎用ヘリのローター回転速度があがった。


「ミハイル、逃がしはしないぞ!」


 僕は右手ロケットアンカーをメインローター目がけて撃つ。

 メインローター前にはワイヤーカッターがあるので、前からのワイヤー攻撃は効きにくい。


 ……真横からワイヤーを撃ちだすのは想定外だろ!


「く! 僕の方を余所見をしている暇があるのかい、マモル?」


 ワイヤーをローターに巻き込み、失速するヘリからヘリポートに飛び降りるミハイル。

 僕は急ぎ、右手アンカーをパージ。

 バックステップとスラスターで剣を前に突撃してきたM3を回避した。


「ああ、そのくらいはハンデさ! まずは、そこの特別クラス生!」


「え!? ぼ、ボクの相手は柊じゃ。あ、え。うわぁぁ!」


 僕は敵を減らすため、最初のターゲットを一番弱いだろう学業での特別クラス生を狙った。

 アーシャちゃんを狙うと言っていたのが気に入らないのもあるが、それ以上にアーシャちゃんに色目を向けるのが許せない。


「植杉ぃ! 俺と戦え。ん! 柊、男の戦いに手を出すなぁ」


「あらん、柊さんってば、大胆ねぇ」


「戦いに男も女も無いの。油断した貴方たちが悪いわ」


 僕に対し突撃をしようとした剣道部先輩と先生を、射撃で牽制してくれるアーシャちゃんに感謝である。


 ……ミハイルは着地で体勢が崩れているし、狙うなら僕を相手するに違いない。だったら、今は速攻でコイツを倒す!


 慌てたのか、デタラメにライフルを撃ってくるM3。

 僕は螺旋機動を機体にさせて接敵を狙う。


「もらった!」


「わわわ、なんてね。死ねよぉ、邪魔者!」


 僕が格闘技を使える間合いまで近づいた時。

 急に優等生くんは態度を変え、ライフルを捨てて腕からパイルを出しながら僕を殴って来た。


 ……殺気で動きはお見通し!


「はいな!」


 僕は床に脚部パイルを打ち込んで、急停止しながら回転。

 体当たり気味のパイルパンチをヒラリと避けて、一気に背中に回り込む。


「よいしょ!」


 背中側、腰部分に回転膝蹴りをかましつつ、膝からのパイルを逆に叩き込む。


「ぐはぁぁ!」


 トドメと装甲の薄い背中から掌底「徹し」をぶち込んで、優等生くんの駆るM3をふっとばした。


「さあ、一機目。次は誰が来る?」


 背後から、ヘリが墜落した爆風が僕らを襲う。

 そんな中、倒したM3を背中から踏みつける僕。

 上にした掌をクイクイと動かして敵を挑発した。


 ……ヘリのパイロットは無事逃げ出せた様だね。まだ低空だったから、ヨシヨシ。


「ち、ちきしょぉ!」


 足元の優等生くん。

 気絶もせずに叫ぶが、彼の駆るM3。

 バッテリや電源部、バランサーを僕が破壊した。

 その上、コクピットハッチは前側からしか開かないので、腹ばいに倒れていては何も出来ない。


「あらぁ、すっごく強いのねぇ。サカキくん、私に植杉クンを譲ってくれないかしら。ああ、ふっとい私のモノを叩き込んであげたいのぉ」


「如何な先生でも、それは出来ぬ! 俺は、ヲレは、オレはウエスギに勝つんダァ!」


 錯乱気味に剣道部センパイの機体が突っ込んできた。

 先日まで警察病院で隔離されてた筈なのに、動きが早い。


 ……さては、都内のゴタゴタの時に警察病院を襲って手ごまにしたんだねぇ。嫌らしいミハイルっぽい手だよ。しっかし、先生の言葉はゾクっと来ちゃう。僕、差別はしないけど男性に犯されて喜ぶ趣味は無いんだぞー!


「アーシャちゃん、ミハイルと先生の相手をお願い!」


「分かったわ! 先生、一手ご教授ねがいますの」


「ははは! 先生、アーシャちゃんと戦ってあげてください。ボク、アーシャちゃんのバトルスーツでの戦いは知らないから、偵察させてね」


「残念ねぇ。まあ、美少女をイジメるのも面白いわ」


 僕は視界の端で、ミハイルが機体を座り込ませるのを見る。

 おそらく、しばらくは様子見をするのだろう。

 ヘリという逃亡手段を失った以上、ミハイルは僕らを人質にして逃げるしか脱出手段は無いだろうから。

 僕らを消耗をさせてから、美味しいところを貰うつもりに違いない。


「先輩、ここで決着を付けます!」


「ウ、ウエ、ウエスギィィ!」


 錯乱具合がますます酷くなる先輩を相手に、僕は勇気をもって間合いに踏み込んだ。


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