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第24話(累計 第71話) 学院の闇その四:僕、無双! アーシャちゃんも無双する。

「おお。じゃあ、そこのチビガキからいくぜ。なんだ、震えているのかい? 可愛い顔しやがって、まるで女みたいだな。でも、俺は手加減しないぜ。ふっとべや!」


 僕よりも一回り大柄な男子生徒が、僕に向かって腰の入ったストレートパンチを撃ってくる。

 おそらくミドル級以上の体格。

 僕よりも十キロ以上は体重も重く、手足も長いだろう。

 もちろん、マトモに喰らったら一撃でノックアウトだ。


「じゃあ、お手柔らかに」


 しかし、僕は怖がらずに殴りつけてくる相手に、自分から踏み込んでいった。


「よいしょ!」


 相手の右ストレートに対し、向かって右斜め前に踏み込む僕。

 姿勢を低く踏み込んでパンチを避けた僕は、戻しが遅い敵右手肘を逆関節に固める。


「ぎゃ、い、痛てぇぇ!」


 そのまま体勢を崩して相手を引っ転がす僕。

 背中を地面で打って動きを止めた敵の顎を軽く蹴り飛ばしてノックダウンさせた。


「ほい、一人目」


 僕は念のために水月(みぞおち)に蹴りを入れておいて、残る敵の方を見る。


「な、なんだ? オマエは……?」


「さあ? 敵に種明かしする馬鹿はいないよね。どうしますか? 今なら撤退しても見逃しますよ?」


「マモルくん、優しいのね。でも、こいつらには手加減いらないわ。わたしを裸にするなんて嫌らしい奴らなんだもん」


 僕が簡単にボクシング部らしい先輩を一瞬で倒したので、驚愕している敵たち。

 そんな相手を、更に挑発するアーシャちゃん。

 実に攻撃的で宜しい。


 ……まあ、公園の周囲には既に警察やマトリなどが隠れて取り囲んでいるんだけどね。ここで一網打尽して医者送りから薬物検査まで持ち込もう。


「くそぉ。柔道部先輩、お願いします」

「うす!」


 まるで壁のような先輩が僕に迫る。

 たぶん体重は百キロ越えくらいか。

 餃子みたいになっている柔道耳から、寝技が得意なのが分かる。


「お前には恨みはねぇが、面白れぇ。勝負だぁ!」


 僕の襟をぎゅっと取りに来る敵。

 無理やり抑え込みに来るので、僕の詰襟制服のボタンが何個か吹き飛ぶ。


「ふぅ!」

「ぐぅぅ!」


 僕は掴みこんできた敵の手首のツボを押す。

 そして痛がって力を緩めた手を「小手返し」から投げる形に持ち込む。


「ちゃんと投げられないと腕壊れますよ、センパイ。よいしょ!」

「ぐはぁ!」


 少し関節に力が入った感じになってしまったが、どすんと転げる柔道部先輩。

 痛めた腕関節を抑えて激しく苦しむ。


 ……まあ、追撃は要らんよね。肘関節壊れちゃったら、可哀そうだもん。


「な、なんで……。お、おい。ボクともう一人で女の方を襲う。男はラグビー部と剣道部、野球部で倒せ!」


「アーシャちゃん。大丈夫? 無理なら全部僕で仕留めるけど?」


 僕は向かってくるラグビー部三人からタックルを避けつつ、腰から特殊警棒を抜いた。

 背後にはバット持った二人と木刀持った一人が居る。

 彼らは、僕らを逃がさないように公園の出口に動く。


 ……お爺ちゃんに十手術も習って良かったよ。足止めずに一人ずつ撃破するしか無いよね。


「大丈夫よ、マモルくん。ただのガリ勉くんなら拳銃無しでも楽勝ね」


「なら、そっちは任すね。あらよ!」


 僕はひょいと足を残してタックルを避け、タックルしてきた敵を一人転ばした。


「よいしょ!」

「が!」


 背中の腎臓位置に、体重をかけてどすんと警棒を突き刺して撃破。

 急いで敵から離れる。

 全ての敵の動きを把握しつつ、攻撃を見切る。


「おい! 前後から挟み込め」

「おう!」


 ごつい二人が僕を挟み込む。

 タックルで挟み込んで、倒しにくるつもりだろう。


「なら、これで良いかな!」


 僕は、いきなりバットを持つ敵に向かってダッシュした。


「お、おい!」


 いきなり想定外の行動をされた事で驚く野球部先輩さん。

 僕に向かって振り上げたバットを叩きつけに来るが、狙いが甘い。


 ……後ろから二人追いかけてきてるのね、ラグビー部さん。でも一直線なら、撃破も楽さ。


 僕は迫りくるバットに対し、斜め前に踏み込みつつ側面から警棒を当てる。


「ぐはぁ」


 僕が攻撃を逸らせたバットは後から追いかけてきたラグビー部の鎖骨に当たった。


「あら、可哀そうに」


 明らかに鎖骨が折れたラグビー部を横目に見つつ、僕はさらに踏み込んで野球部先輩の脇腹に左ひじを撃ち込み、そのまま「徹し」で撃破した。


「ぐほ!」


 肋骨が砕けた感触が左ひじに感じたが、相手は多勢に無勢。

 手加減なんてしてる暇は無い。

 殺されないだけ、マシと思ってて欲しいものだ。


 ……マジ、爺ちゃん直伝の技はえぐいなぁ。ここまで僕でも強くなれるんだもん。母さんや爺ちゃんは、何処まで強いんだろうね?


 あっという間に撃破している僕を見て躊躇したラグビー部。

 僕は動きが止まったのを見て背後に回りつつ、足払いから転がして体重載せた肘撃ちを水月に叩き込んで倒した。


「後、二人。アーシャちゃん。そっちどう?」


「もう終わったわ。二人ともノしたの。お爺様の技ってすごいわね。わたし、相手を殺さずに無力化出来たわ」


 ちらりとアーシャちゃんの方を見ると、ひょろっとした眼鏡男子と少し小柄な少年が股間を抑え悶絶している。

 おそらく無刀金的打あたりの技で倒したに違いない。


「さて、どうしますか? 既に雇い主は倒れました。目撃者も居て警察には通報されているかと。今なら凶器準備罪だけで許してくれますよ?」


「お、俺は知らんぞ。しらんぞー」


 バットを持った野球部先輩は叫びながら逃走をする。

 しかし、周囲に隠れていた警察が逃してはくれないだろう。


「一年の植杉とか言ったな。今回の事はすまん。まさか、女子生徒に学業で負けた腹いせに暴行を企てていたとは思わなかった。なんでもとても強いボディガードが送り迎えしているから、そいつを抑えてくれとだけ言われていたのさ」


 ……それって父さんの事かな? 現役警官はボディガードには違いないね。


 剣道部の先輩は、僕とアーシャちゃんに頭を下げた。

 しかし、僕は彼からは視線を外さない。

 なぜなら、彼は丁寧に謝罪しながらも殺気を抑えていないからだ。


「それとは別。俺は強い相手とは戦いたい。植杉、俺と戦ってはくれないか? お前は強い。多分、俺が出会った中で最強だ」


「お褒め頂きありがとうございます、センパイ。そうですねぇ、殺し合いじゃないというのなら試合をお受けいたしますよ」


 僕は先輩の殺気を受け流し、戦いを承諾した。

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