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第18話(累計 第65話) 驚きの連続! 僕らの新たなる出発。

「今日は、何処に行くのですか、先生?」

「うふふ。それはついてからのお楽しみね」


 僕とアーシャちゃん、ユウマくんは先生の運転する自動車に揺られている。

 リナさんは、現地集合との事。


「でも、先生には驚きましたよ。まさか……」

「お姉ちゃんには、皆の事は話で聞いてたからね」


 宗方(むなかた)先生は、運転席で可愛く微笑んだ。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「皆さん、お静かに」


 スクリーニングの日、僕たちは教室で息をのんだ。

 だって教壇には、凶弾に倒れ最期を看取ったはずの宗方先生が居たのだから。


「せ、先生?」


「はい? どうしましたか? 皆、鳩が豆鉄砲を喰らったみたいな顔をしちゃって。わたし、ちゃんと脚はありますよ?」


 ニコニコと笑うその顔、僕の記憶の中の宗方先生よりも柔らかい気がするが、どうみてもヤーコフに殺された宗方先生にしか見えない。


「む、宗方先生なの?」


「はい。そうですよ、柊アリサさん? どうしました。あ、泣いちゃダメです。み、皆も泣かないでください? ご、ごめんなさい。わたし、お姉ちゃん、亜澄(あずみ)じゃないんですぅ」


 教室は、大パニックになった。


「ウチ、よー分からんのだけど? なにがあったん? みんな泣いてはるけど?」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ユウマくんも最初から知っているのなら、教えてくれても良いと思うんだけど? 僕、わけわからなくなったんだよ」


「わたしもそうよ。妹さんの事は先生に聞いてなかったし」


(それがし)。宗方先生のお葬式の時に、実は妹先生殿にお会いしていたでござる。元々、先生の個人情報を調査していて、妹君がいらっしゃるのは知っていたでござるが。お葬式の際、皆の前に顔を出すとパニックになると、真雪(まゆき)先生は裏にいたでござる」


「お姉ちゃんとわたしは一卵性の双子ね。まったく同じ顔だから、お葬式では裏でお姉ちゃんとお別れしたわ」


 僕たちの前に出てきた宗方先生、それは亜澄先生の双子の妹さん、【宗方 真雪】先生。

 僕では見分けが付かないレベルでそっくりなので、お葬式で見たらパニックしていた自信がある。


 ……落ち着いて見たら軍事教練も受けてた亜澄先生と一般人の真雪先生じゃ、歩き方や重心運び、姿勢が微妙に違うのに気がついたんだけどね。


「そうか。お骨拾いの時に黒いベールを深く被っていた女性が先生だったんですね」


「ええ。お姉ちゃんの骨くらいは拾ってあげたかったし」


 ……僕の記憶に中には黒いベールをかぶり、顔を見せない妙齢の女性がいたけど、それが真雪先生だったんだ。


 クラスは先生のお茶目なイタズラで大騒ぎになったのだが、先生が真実を話す事で落ち着き、それでも皆は泣いたのだった。


「お姉ちゃんが皆、特にアリサちゃんの面倒を見ていたのは聞いていたの。あ、守秘義務に引っかかりそうな事案までは聞いていないわ。可哀そうな女の子の面倒を見ているんだって」


「可哀そうなんて、わたし今も思ってません。学園に通えて、そこでマモルくんに出会って、わたしは幸せです。もちろん、わたしの運命に巻き込まれてしまった人々、亜澄先生には悪い事をしてしまい……」


「あ、泣いちゃダメよ。アリサちゃん。お姉ちゃんは納得ずくで仕事してたの。わたしにも良く言ってたの。仕事柄何があるか分からないって。お父さんもお母さんも公安や自衛隊に居たから、任務の大変さは理解はしてたわ……」


 いくら任務の重要性を理解していたとはいえ、娘を若くして失った先生のご両親はとても悲しみ苦しんだだろう。

 葬儀で見た二人は、とっても小さく見えたから。


 ……僕もまだ死ねないや。父さんや母さん、爺ちゃん、祖母ちゃんの先に死んだら親不孝どころじゃないもん。


「それで先生の事は、理解したでござる。姉君先生の跡を継いで(それがし)らの担当になられたのは、どうしてでござるか?」


「それはね。お姉ちゃんに貴方達の事を聞いていたこともあるんだけど、お姉ちゃんが何に命を懸けていたのかを見たかったからかな?」


 中学の教職過程は取っていた真雪先生。

 しかし、先生はやらずに自衛隊の地方協力本部で働いていたそう。

 亜澄先生の悲報を受け公安に事の真相を聞いた真雪先生は、ご両親の反対を説得し僕たちの担当になった。


 ……極秘任務で亡くなった工作員や兵士は、亡くなった状況を教えてもらえない場合が多いけど、今回はニュースにもなった事件での被害だから、ある程度は教えてくれたのかな?


「そういう事だから、これからはビシビシ行くよ。と言っても、お姉ちゃんと違ってわたしは公安や軍事関係の知識が少ないから、そこは逆に教えてね」


「はい! それで、僕たちは山の方に向かってますが、何処に行くのですか?」


「もう良いかしらね。リナさんのお家に向かっているの」


「はい??」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ようこそ、ウチの家へ!」


 僕たちが来たのは奥多摩、米軍横田基地から更に山に入ったあたり。


 ……そういえば、ヤーコフがパワードスーツを奪ったのが横田基地からだったよね。空軍基地だったから、型落ちのM3しかなかったのは納得だね。


 広大な敷地には大きな倉庫、駐車場には数々の工事用重機が迫力満点に並ぶ。

 中には装甲はないものの、人が中に入って動かせるパワードスーツもある。


「これは民生型パワードスーツ、『ローランド』でござるぅ。なるほど、これに乗っていたのでリナ殿はお母上を助ける事が出来たでござるね」


「ご名答。リナ、この子が貴方の仲間達なの?」


「うん、お母ちゃん!」


 リナさんの横に長身の白人女性がいて、綺麗な日本語を話す。


「わたしはリナの母、【ソフィア・正木・コールマン】、アメリカ空軍 技術大尉です。ようこそ、株式会社 正木工務店へ。そして、貴方達の新たなる部署『警察庁警備局公安課第一機動強襲室第五係』へ!」


「はい??」


 僕は情報が多すぎて、脳みそがパンクしそうになった。

 ここより第二部、後半戦。

 応援の程、宜しくお願い致します。

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