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第11話(累計 第58話) 基地強襲 その二:襲い来るテロリスト達。

「く! どうして、ここでも撃ち合いになるのよぉ」

「アーシャちゃん、援護するね!」


 基地中央区画への移動中、僕らは完全武装の敵兵集団に遭遇。

 銃撃戦になってしまった。


 遮蔽物に隠れながらの銃撃戦。

 僕にとっては初めてだけれども、教官に教えてもらった事を思い出しながら、アーシャちゃんが敵から奪ってくれた小銃を牽制気味に撃つ。

 教官も、痛みに苦しみながらも援護射撃をしてくれた。


「ぐは!」

「ぎゃ!」


 アーシャちゃんの射撃により、敵は的確に撃ち倒される。

 しかし、ひっきりなしに迫る敵に、僕らはピンチだ。


 一旦は掃討し、少しづつは前に進むことが出来た僕ら。

 しかし物陰から敵兵が出てきて、突如アーシャちゃんを襲いかかってきた。


「危ない、アーシャちゃん!」


 なんとか一人の敵兵を、ナイフで倒したアーシャちゃん。

 しかし、彼女の背後から敵が迫るのが、僕に見えた。


「やぁぁー!」


 担いでいた教官を放り出し、アーシャちゃんに飛び掛かる僕。


 びっくり顔のアーシャちゃんを軽く突き飛ばし、アーシャちゃんの背中にナイフを突き立てようとしていた敵兵の鳩尾(みぞおち)に、渾身の肘撃ち体当たりを仕掛けた。

 敵兵の身体に肘が食い込んだのを感じた僕は、そこから肘を更に上にかち上げた。


「ぐはぁぁ!」


 ……アーシャちゃんを襲うなんて許せない! 死ねぇぇ!


 僕の一撃で吹き飛び、壁にぶつかる敵兵。

 ナイフを取り落とした敵兵だが、僕は怒りの感情のまま追撃を敢行する。


「お前ら、許さない!」


 斜め下への右フック掌底こめかみ撃ち込み。

 からの、右肘の顎への撃ち上げ。

 左掌底薙ぎ払い人中(じんちゅう)撃ち。

 トドメの右手による鳩尾「徹し」。


「げは!」


 敵兵は壁に押し付けられたまま、僕の連打を受けた。

 そして、大量の鼻血と血混じりの胃液を吐き出しながら、ずるずると崩れ落ちる。


「ふぅふぅ。ま、まだかぁ!」


 床に倒れるもまだ動いている敵兵。

 トドメに頭を踏みつぶそう、そう僕が行動しようとした瞬間。


「マモルくん! もう敵は動けないわ。これ以上はマモルくんが人を殺してしまうの。それは……、わたし嫌なの」


「あ……。ごめん、アーシャちゃん。僕、暴走しちゃった」


 顔がボロボロになっていて血まみれ、ぴくぴくとしか動けない敵兵。

 僕の両手も、彼からの返り血で真っ赤に染まっている。


 そんな僕の手をそっと握り、悲し気な笑顔で僕を静止してくれたアーシャちゃんだった。


「マモル殿、一体今のコンボは何でござる? あれは瞬獄殺レベル、どういうコマンドで出すのでござるか? あ、もちろん冗談でござる。落ち着いていくでござるよ?」


「そうや、マモルはん。ウチみたいに固まってしもうても、怒りに身を燃やしてもあかんのや。教官はんも言ってたやろ、平常心が大事なのや!」


「足手まといの俺が言うのもなんだが、お前らは良いチームだな。そんなお前らの教官を出来たのは幸せだぞ。まあ、怪我は勘弁だがな」


 皆、冗談を交えながら暴走した僕を慰めてくれている。


「あ、ありがと、皆んな。僕、もっと強くなるね」


 僕は目尻に浮かんだ涙をぬぐい、アーシャちゃんの小さな手をぎゅっと握り返した。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「曹長、それに君たち! よく無事だったな」


「教官の教えがあったから、僕たち生き残れました。司令、教官の手当てをお願い致します」


 僕たちは、幾度かの銃撃戦を行った後、基地の中央区画、戦闘指揮所に逃げ込むことに成功した。

 そこでは基地司令と数十名の人が立てこもっていて、基地内や外部との情報集約・指揮をしていた。


「司令殿、もうここまで来たら(それがし)らも一連托生。どういう状況なのか、詳しく教えてはくださらんか? 先程、捕まえた敵兵を尋問したでござるが、敵は海上の潜水艦からの強襲を行ったとの事。無人型パワードスーツを複数機も投入しての行動。この基地を狙う理由は何でござるか?」


 僕がノックアウトした敵。

 短い時間ながら彼を尋問したときに聞けたのだが、彼も以前の学園襲撃事件同様に闇バイトとして雇われていた。

 海外拠点まで移動、そこで戦闘訓練を受け、「あの方」に忠誠を誓う様に教えられ、いっぱしのテロリストになったとの事。


 ……多額の賞金、徴発・略奪し放題、婦女暴行、犯し放題のテロ行為。闇バイトにひっかかりそうな馬鹿なら飛びつく内容。昔の宗教テロリストも、同じ様な手口で愚かな若者を集められていたっけ?


 なお、敵兵。

 完全に敵意を無くし、恐怖に顔を歪めて殺さないでくれと懇願していたので、そこいらのロープで引っ括ってその場に放置した。


 ……僕、少しやり過ぎたかなぁ。でも、女子供も皆殺しって行動しているんだから、手加減いらないよ!


「……君たち、本当にまだ高校生なのかい? 我々米軍が知っている情報を既に上回っているぞ。敵は数機の有人型、多数の無人型パワードスーツを潜水艦からSLBMにて射出展開。潜水艦搭載型の強襲揚陸艇から十数名の歩兵が基地内に潜入、破壊活動をしているんだ」



 基地司令からの情報は、既に僕たちが入手している情報と大きく違わない。

 しかし、いくら訓練基地とはいえ、敵兵が簡単に基地内で暴れすぎている気がする。


「なるほど、この基地内にも『あの方』のシンパが居て、隙を狙われたでござるな。で、戦況はどうでござるか? 歩兵は半数程はアリサ殿が倒したでござるが?」


「あ、ああ。残念ながらその通り。裏切者が居て警備兵が先にやられてしまった。先ほどまで苦戦していたが、君たちの活躍で敵兵の大半は無力化に成功している。ただ、パワードスーツにまだ手こずっていて、訓練中だったフォスター少尉らにも出動してもらっている」


「え、ダニー兄ちゃんが戦っているの? まさか、兄ちゃんは?」


 どうやら敵は、最初からこの基地を襲う事自体が目的。

 あらかじめ「(スパイ)」を仕込まれていて、警備兵を無力化したうえで圧倒的な戦力で制圧するつもりだったのだろう。


 ……『あの方』からみの話だと、やっぱりターゲットはアーシャちゃん?


 僕は、ふとアーシャちゃんの顔を見てしまう。

 アーシャちゃんは僕の視線に気が付いたのか、無理やり笑顔を作ろうとした。


 ……アーシャちゃん、無理に笑わなくても良いんだよ。そんな悲しい顔は僕、嫌だよ。


 アーシャちゃんも、敵が自分を襲いに来て無関係な基地の人々を巻き込んでしまった事に気が付き、悲しんでいるのだろう。


「そうか、君は少尉の従妹だったな。今のところ少尉は無事だ。ただ、他の僚機は撃破された。オペレーターは全員脱出に成功したものの重傷だ」


「じゃあ、少尉は今一人で戦われているのですか?」


「……ああ、そうだ」


 僕の問いかけに司令の苦し気な答え。


「ダニー兄ちゃん……」


 リナさんは少尉を心配し、顔を手で覆い悲しむ。

 僕は、リナさんやアーシャちゃんの悲しむ顔を見て決心した。


「司令、僕にパワードスーツを使わせて頂けませんか? 少尉を助けに行きたいんです!」

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