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第3話(累計 第50話) お嬢様、襲来! ますます騒がしくなる僕の周辺。

 沖縄の米軍北部訓練場で訓練中の僕ら。

 今日からは、同じ訓練場で海兵隊のお兄さん達が訓練を始める。

 また、僕たちと同じ歳の子が仲間に加わった。


 ……で、なんで女の子なんだろうねぇ。僕たちみたいな例は少ないと思うけど。それに、どー見ても外国生まれの子なのは?


My name is(わたしの名前は)|Lina Colemanリナ・コールマンです.

 Nice to meet you!!」


 はきはきとした英語で海兵隊の人達や僕たちに挨拶をする彼女。

 身長は、僕と同じくらい。

 金に近い栗色の豊かな髪、ヘイゼルな瞳にソバカスも無い白い肌。

 腰の位置が高く、メリハリのある白人(コーカソイド)体形の美少女だ。


 ……目鼻立ちはパッチリだけど、やや幼めで可愛い感じだね。


 自信たっぷりな表情からして、かなりの腕自慢に見える。


 ……僕たちの存在に海兵隊のお兄さん方もざわついていたよ。どうして日本の子供がこんなところで訓練をしてるかってね。その上、女の子が二人だもの。


「さて、ここからはガキ共同士で仲良くな。今日のところは、顔合わせにしておこうか。後で座学をするぜ」


 勉強をする部屋に入った僕たち。

 ミストロット教官から、僕らに日本語で今日の訓練内容について説明がある。


「すいません。コールマンさんは日本語が分からないのでは無いでしょうか? 失礼ながら、どう見ても日本語をお話できるように見えないのですが?」


 僕は、教官にコールマンさんの事を聞いてみた。

 先程、僕たちに向かっての挨拶も英語。

 その上、如何にもヨーロピアンな外見からして、どう見ても日本語を会話できる雰囲気が無い。


 ……アーシャちゃんはロシアハーフだけど、眼の色以外は純和風美少女だものね。


「それはな、本人から聞けよ。じゃあ、俺はしばらく別の仕事してくるから、ケンカするんじゃないぞ」


 とっとと退場する教官。

 僕は、途方にくれてしまった。


「教官! あー、どうしよう。僕、英会話はそんなにできないから」


「わたしが通訳するわ」

(それがし)、英検、TOEIC共々こなしているでござる」


 僕が英会話に自信が無いと言うと、ドヤ顔のアーシャちゃん、自信たっぷりのユウマくんが大丈夫という。

 実に頼りになる仲間である。


 ……でも仲間になる以上、ちゃんとお話したいな。アーシャちゃんとはタイプが違うけど綺麗な子だからね。


 浮気な気持ちは最初から僕には無いものの、綺麗な子を見るのは気分が良いのは男の性だろう。


「では、How……」


 アーシャちゃんが英語で話しかけた時、急にコールマンさんは破顔し、ぷっと吹き出した。


「あ、あははは! 可笑しいやん。あー、おもろいわ。ごめんな、ウチ、日本語話せるねん。黙っててごめんや。っていうか、ウチの母国語は日本語なんや!」


「え、関西弁!?」

「なに?」

「びっくりでござるぞ!?」


 いきなり栗毛ヨーロピアン美少女が関西弁を話し出したので、僕らはびっくりした。


「あの、コールマンさん?」


「リナでエエで、マモルはん。アリサはん、ユウマはん。ウチの事、宜しゅうな!」


 ドヤ顔で豊かな胸を張るリナさん。

 また賑やかな面子が仲間になったのだった。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「つまり、リナさんは僕たちを襲ったヤーコフ達と先に戦っていたんだ」


「そうなんや、マモルはん。ウチがお母ちゃんに会いに米軍基地に行ってた時に、アイツらが攻めてきてパワードスーツを奪っていこうとしたんや。お母ちゃんがアイツらに殺されそうになってな。ウチ頭んきて、やってしもうたんや」


 リナさん、お父さんが日本人で米軍基地に出入りする土木会社の社長さん。

 お母さんがイギリス系アメリカ人で基地内の営繕関係をしているそうだ。

 生まれも育ちも日本国内だから完全に日本国籍。


 ……顔立ちが幼めに感じたのも日本人の血を継ぐからかな。あっちの子は早く大人になるからね。


 お母さんがテロリストに襲われて、ピンチの場に出くわしたリナさん。

 お父さんの仕事で乗り慣れていた作業用のパワードスーツに乗り込み、敵機を一機撃破しちゃったそうなのだ。


 ……お父さんが関西出身の人で、家の中の会話は英語少々の関西弁なんだって。だからリナさんの日本語は関西なまりなんだとか。あと、日本名は【正木 里奈】だって。


「ウチ、無我夢中で敵を掴んで振り回して投げたんや。そしたら敵は動かなくなってしもうて、他の奴らは急いで逃げたんや。お父ちゃんが仕事でパワードスーツ使うんで、乗せてもろうたんで扱えたんや」


「なるほどでござる。マモル殿とは別の事情でござるが、未成年が戦ってしまったのは同じ。それで、リナ殿の身を守るために(それがし)らと同じ立場になったでござるね」


「事情は分かったわ。で、先に言っておくけど、マモルくんはわたしの彼氏。貴方には絶対に譲らないから!」


 ……アーシャちゃん、彼女アピールするからって腕組みしつつ胸を押し付けるのはダメだよぉ。


 後から聞いた話では、僕たちを襲撃したヤーコフ達。

 米軍基地に勤務する「同志」を利用してパワードスーツを五機盗み出す算段だったらしい。

 しかし、基地内でリナさんに一台撃破されちゃったのは予定外だったのだろう。


 ……あらかじめ他のスーツ乗りが居ないタイミングを狙って強奪したのに、女子高生に撃破されるなんて。ヤーコフって運が悪いというか、僕たち子供相手に弱い者イジメしたのが最初から間違いだったのかな?


「へぇ。アリサはんは、マモルはんが好きなんや。女の子みたいに可愛い顔してはるからかいな? ウチは、もう少しシャープな男前が好みやから、アリサはんからは取らんで」


「た、確かにマモルくんは女顔でとっても可愛いけど、それだけじゃないもん! わたしを守るためにヤーコフと戦って勝ったんだもん! カッコいいんだよ!」


 いつのまにか僕をめぐって女同士の争いが勃発しそうな雰囲気。

 今までも女顔とは言われたことがあるけれども、タイプの違う美少女二人から可愛いと言われるのは、男としてどうなのだろうか?


「マモル殿。またまた大変でござるね」


「ユウマくん! 笑ってないで二人を止めてよぉ!」


「マモルはんは、アリサはんみたいなツルペタがお好みなんかいな? 男は大体、ウチみたいなナイスバディに惚れるって聞いたんやけど?」


「マモルくんは、わたしの身体で満足しているもん! お腹の触りっこも、キスもしたんだもん!」


 豊満な胸の下で腕組みしてバストを強調しつつ、ドヤ顔のリナさん。

 触発されてますますエスカレート、恥ずかしい事までしゃべりだすアーシャちゃん。


「リナさん、煽らないでください。アーシャちゃんも落ち着いて!」


「マモルくん! マモルくんは、わたしの事が好きなのよね? わたしの小さな胸でも良いのよね?」


「ちょ、ストップしてよぉ!」


「マモル殿、女難の相が出ているでござらんか?」


 その後、教官が来るまで僕たちは大騒ぎをしてしまった。

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