第45話 エピローグ1:公開ラブシーンは恥ずかしいよね。
「マモルくん、本当に怪我とかしていない?」
「大きな怪我は無いと思うよ。それよりアーシャちゃんの方が大変だよ。早く怪我の手当てしなきゃ、跡が残っちゃう。警察隊の方、救急車もお願いします」
無事、敵を撃破した僕。
逢いたかったアーシャちゃんを胸の中に抱き、今は一安心している。
周囲は警察や自衛隊の人でいっぱい。
自衛隊のパワードスーツも学校内に入り、僕ら二人の周囲で警戒をしてくれている。
「そうね。わたしは大丈夫だけれども、中には怪我人や死にかけた人も多いはずね。皆さん、救護を早くお願いします」
「そうでござるぅ。某、ピンチでござるよぉ」
「え? ユウマくん? あ、大丈夫? さっきまで銃撃戦やってたはずだけど?」
突然スマホが鳴り、スピーカーモードにするとユウマくんからの電話。
先程までの通信妨害が終わったのだろう。
「マモル殿が敵ボスと戦っている間、某も襲ってくる残党と戦っていたでござるよ。なんとか機材を駆使して、全員下敷きにしたでござるよ。多分、死んではいないと思うでござる。ただ、某も無傷では……」
「ユウマくん! ユウマくん、しっかり! 救護隊の方、早く駐車場の方へ。そこに要救助者が……」
ユウマくんからの通話が途切れそうになるので僕は焦った。
「ユウマくん。気をしっかり! 撃たれたの? 聞こえる? 答えてよぉ!」
「……煩いでござる。安心するでござる、マモル殿。某も一緒に機材に埋まっただけでござる。少々、骨折はしてるかもでござるが、多分命に別状はないでござるよ? マモル殿は、あわてんぼうでござるなぁ。通信障害も、戦闘中に機材を壊して解除しておいたでござる」
どうやら、敵をおびき寄せて自分ごと機材に埋もれたユウマくん。
銃撃戦で勝てない彼なりの戦い方に僕は感心した。
「もう心配させないでよね。でもね、凄いや、ユウマくん」
「そうよね。わたしには思いつかないわ」
「それをいうならマモル殿の方が凄いでござる。いきなり操ったパワードスーツでプロ戦士を倒したでござるから。今になれば話すでござるが、正直一か八かの賭けでござった」
「そうよね、わたしも不思議だったもの。マモルくんの動きはプロ以上だったわ!」
僕とアーシャちゃんがユウマくんを賞賛すると、ユウマくんは妙な事をいう。
彼が僕をパワードスーツに乗せたのに、勝つ見込みがそこまで無かったのような言葉に。
「え? 僕に勝算があるって言ってたの、ユウマくんじゃないの? まさか?」
「今言ったとおり半ば賭けでござった。もちろん勝算はゼロではござらん。射撃戦にならないから、まだ勝てると思ったでござるし、事実マモル殿は敵機二機をボス共々撃破。結果が全てでござる。あ、こちらでござる! 救護隊が来たので、また後に連絡するでござる」
「ユウマくん! おーい、聞こえる? あ、切れちゃった」
「まったく困った人ね、ユウマくんも。マモルくんを危険に晒すんだもの。でも、正解だったわ。わたしだけじゃヤーコフに勝てなかったものね。ありがとう、マモルくん」
「それをいうならアーシャちゃんこそ、ありがとう。君が戦ってくれたから、僕やユウマくんが動けたんだ」
逃げるように電話を切ったユウマくん。
無事そうなので、後からゆっくりと問い詰めようと僕は思った。
「マモルくん……」
キラキラとした灰蒼の眼で僕を見上げてくれるアーシャちゃん。
背伸びをして、ピンクな唇を前に出す。
そして眼を閉じた。
「アーシャちゃん……」
僕も眼を閉じ、アーシャちゃんに口づけをしようとした。
……ん? なにか視線が?
僕は気になって周囲を見た。
「マモルくん、そノまま」
「おほん、マモル。据え膳食わぬは、だぞ」
いつのまにか、僕たちの側まで来ていたアレクサンドルさんと父さん。
少々赤い顔をして、僕たちをじっと見ている。
「ほ、本官は何も見ないです。そのままどうぞ!」
「自分も何も見ないです。愛する者を邪魔しません!」
僕たちの周囲を警戒したり、敵兵を捕縛している自衛官や警察のお兄さん方。
急いで僕たちから視線を外す。
「あー、良いなぁ。私も可愛い男の子見つけようかなぁ」
「いいですね。今度、自衛隊と警察で合コンしませんか?」
遠くにいる婦警さんと女性自衛官さんも僕たちを見ながらキャイキャイと恋バナモード。
「……マモルくん? どうしたの」
「あのね、アーシャちゃん。皆が僕たちを見ているんだ」
僕がいつまでもキスしないので、不思議そうに眼を開いたアーシャちゃん。
僕の言葉で周囲を見回し、驚く。
そして耳どころか全身真っ赤になった。
「ま、まさか。さっきまでの……」
「うん。僕たちのラブシーンは全部見られていたんだ。今も……」
ギギギと首を回すアーシャちゃん。
じばし絶句したのち、
「きゃー! どうして皆言ってくれないの。全部見てるって!? 恥ずかしいよぉ。わたし、わたし。マモルくんも気が付いたら早く言ってよぉ」
「ごめん、アーシャちゃん。でもね、僕が気が付いたのも今なんだ。痛い、痛いからぽかぽか叩かないでよぉ。あ、胸が……」
僕は、恥ずかしがるアーシャちゃんに胸をぽかぽか叩かれた。
そしてパワードスーツ戦で痛めていた肋骨にクリーンヒットして悶絶した。
「ぐはぁ!」
「あ、ごめんなさい。マモルくん? マモルくん、大丈夫? え、どうしたの? え? え? 衛生兵! はやくきて―!マモルくんが、マモルくんが死んじゃう!」
僕は胸の痛みに声も出せず、アーシャちゃんが取り乱すのを聞くことしかできなかった。
「マモルくん、死んじゃいやー! 誰か、助けて―!」




