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第42話 敵ボスとの邂逅。僕、アーシャちゃんを絶対に守る!

「とりあえず、これで敵スーツの無力化に成功だね。あ、警察の人に連絡しなきゃ!」


「マモル殿、外部スピーカーで警察と話すと良いでござる。後は屋上にいるであろう狙撃兵に注意でござるよ」


 僕は敵のスーツを格闘戦で倒したのに安堵してしまったが、まだ敵兵は残っている。

 ユウマくんに言われて「残心」を忘れていたことに気が付き、外部スピーカーをオンにしつつ、屋上からの射線が通らないように校舎の側に隠れた。


 ……敵を倒した瞬間が一番の油断。武道を知っている僕がユウマくんに言われて気が付くんじゃダメだよね。


「警察の方、聞こえますか? 屋上に敵の狙撃兵がいるそうなので注意して下さい。あ、あと僕は学園の生徒です。勝手に敵のパワードスーツを奪って戦ったのはごめんなさい。中で戦っている子が居ます。子供たちは体育館に全員無事にいます。先生に犠牲者あり。早く助けに入ってください!」


 僕は早口になりながらも、学校を取り囲んでいる警察の人達に状況を説明した。


「そこの君。どうやって君が話している事を信じれば良いのだ? 確かにキミは我々の目の前でテロリストを倒した。しかし、君がテロリストの一員であって、自分の罪を逃れる為にでたらめを言ってるかもしれんのだぞ?」


 ……警官隊の指揮官さん、頭が硬いなぁ。例え、それでも後から僕を捕まえれば良いだけじゃん。アーシャちゃんの事は言えないけど、信用させるために僕の事なら言っても良いかな?


「では、僕の素性を言います。父、県警の【植杉 和也】警部補を呼んで頂けますか? それで僕の身元保証は出来るかと思います」


「では、君は……。おい、警部補。何を? マイクを返せ!」

「マモル! お前か、それに乗っているのは?」


「うん! そうだよ、父さん」


 警官隊の指揮官から無理やりマイクを奪ったらしい父さんが興奮気味に僕に問いかける。

 僕は、父さんが助けに来てくれていたのに嬉しくなってしまった。


 ……父さん、交通課なのに無理言って来ちゃったんだろうな。アーシャちゃんの事情も知っているし。


「マモル。よくぞ、頑張った。でも、ここから先はお前が戦う事は無い。俺達オトナに任せて……。警視、しばらく俺に話させてください!」


 父さん、話すのを邪魔する指揮官の人を抑え込んでマイクを離さない。

 多分、母さんやミワと一緒に、僕らの事を心配してくれていたんだろう。


「でもね、後一台。敵のボスらしい人がパワードスーツに乗って、あの子と戦いに行ったみたいなんだ。だから、僕。まだ、戦うよ! あの子を守りたいから」


「……そうか、分かった。く! 警視、最後まで俺に話させてください! え、勝手に子供を戦場に出すなって? マモルは俺の自慢の息子です! こんな事くらいじゃ絶対に負けません。マモル、だからな」


 まだ指揮官の人とマイクを奪い合う父さん。

 僕の意見を聞き入れてくれるのは良い。

 しかし、親馬鹿して僕の事を自慢してくれるのは、少し恥ずかしい。


「うん、父さん」


「あの子と一緒に必ず生きて帰ってきなさい! 父さんも母さんもミワも、御馳走準備して待っているからな!」


「分かったよ。あ、ユウマくんも一緒で良いでしょ?」


「当然!」


 ……僕、絶対に負けないよ!


「く! うわ。マモル殿、(それがし)の事もありがとうでござる」


「ユウマくん、そっち大丈夫? マイクに銃撃音が聞こえるけど?」


 一見のん気そうに自分も含めて貰ったことを喜ぶユウマくん。

 でも、彼の声に交じってスピーカーから銃撃音がするのが気になる。


「先程から、襲撃を受けているでござる。なに、某も銃を撃つくらいは出来るでござる。時間稼ぎはするでござるから、救援早めでお願いするでござる」


「うん。分かった。父さん、早く中に警察隊を……。え!?」


 僕はユウマくん達を救援するための警察隊突入を急かした。

 そんな時、体育館とは反対側。

 武道館の方から爆発音が響き、そこから何かが飛び出してきた。


「アーシャちゃん!」


 アーシャちゃんは、転げまわる様にして走る。

 そして背後方向に向かってM4カービン銃を撃つ。


 彼女が纏う制服は、血糊と煤で汚れている。

 アーシャちゃんの表情も厳しいが、しかしとても美しい。

 月明かりに照らされる美しき死の女神(ヘカテー)


 僕は狙撃を忘れ、アーシャちゃんの方へ飛び出した。


「アリーサ。умрешь(死ねよぉ)!」


 アーシャちゃんの背後、銃撃を受けながらも破壊された校舎の瓦礫から飛び出すパワードスーツ。

 おそらくロシア語らしき言葉を叫びながらアーシャちゃんに迫る。


「きゃ!」


 瓦礫に足を取られて転んでしまうアーシャちゃん。

 その足に血が流れているのを見て、僕は激情する。

 狙撃なんて気にせずに、腰部スラスターを全開にした、


умрешь(ウムルッシュ)!」


 ヤーコフが乗っているだろうパワードスーツの銃口がアーシャちゃんを狙う。

 僕の目にはパワードスーツの右手人差し指が大型ライフルの引き金を引き絞ろうとしているのが見えた。


「辞めろぉぉ!」


 僕は転がっていたスーツの腕を拾い上げ、ヤーコフの機体に突撃した。

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