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第32話 新学期始まる。しかし、悪意は刻々と僕たちに迫りくる!

「おはよう、アーシャちゃん!」

「ええ、おはよう。マモルくん」


 9月となり、学園は新学期を迎えた。

 夏休みの間に更に親密になれた僕とアーシャちゃん。

 駅で出会った二人、手をつないで登校をする。


 ……夏服のアーシャちゃん、やっぱり可愛いよぉ。


 まるで太陽光を弾くようなアラバスタな手足。

 白桃のような頬には満面の笑みが浮かぶ。

 僕の大事なアーシャちゃん。


「二人での登校にも随分と慣れたね」

「ええ。もう大手を振って一緒に登校出来るんですもの」


 つい夏休みまでは、警戒してバレない様にしていたつもりだったアーシャちゃん。

 もはや全校生徒に僕との関係がバレてしまったので、公然とイチャコラしているのだ。


 ……でも、手をつないでの登校は恥ずかしいなぁ。それに、まだ周囲の目が怖いもん。こと、男の子達からの嫉妬の目線が痛いよぉ。


(それがし)の存在を忘れてはおらぬか、お二人とも? 朝っぱらからのイチャコラは、独り者には致死量ですぞ?」


 前言撤回。

 いや、もう一人。

 僕の親友、ユウマくんも一緒の登校だ。


「もー、ユウマくんったらぁ」


「痛いでござるよ、アリサ殿。それで、先日の『事件』の詳細情報が入ったでござるが、二人とも聞くでござるか?」


 恥ずかしさから、パチンとユウマくんの背中を女の子叩きするアーシャちゃん。

 痛そうに見えないけど、冗談半分に痛がりながら笑顔で話すユウマくんである。


「うん。教えてくれない、ユウマくん。アーシャちゃんも良いよね」

「ええ。一応周囲を気を付けて話してね」


「では、話すでござる。犯人でござるが、ネット掲示板やSNS荒らしをしていた二十代の男。ネットで犯罪予告を幾度もしておったが、この間の事件『以外』は嘘でござった」


 ユウマくん情報だと、犯人はニートしていて自分を受け入れてくれない社会へ勝手に不満を持ち、ネット上で犯行予告をしては憂さを晴らしていたそうだ。


「で、例の『あの方』へ接触して、とうとう武器やら爆弾を手に入れてしまったでござる。『あの方』のシンパは軍関係者にも多く、そこからC-4などが流れてきたとの事。そして武器を入手してから、歯止めも無くし両親の殺害、爆破と犯行に移ったようでござる。なお、協力者もいたらしいでござった」


「確かに駐車場に止めていた二台の爆弾車は、犯人が運転してきたには見えなかったものね。特にA重油満載のトレーラーなんてアイツには運転出来ないよね」


「どう見ても大型自動車運転免許は持ってなさそう。というか、わたしが公安経由で聞いたのじゃ、犯人は普通運転免許も持ってなかったそうなの」


 ……つまり、まだまだ共犯者が多数いるって事だよね。コンビニ強盗はナイフくらいしか武器を持っていなかったけど、アレも『あの方』関係の事件らしいし。


 僕たちは、ひそひそ声で事件の事を話し合う。

 ある程度の情報はニュースで流れたとはいえ、僕たちが話し合う内容には一般人には知られていない情報も多々ある訳だから。


「前のコンビニ強盗犯は、まだ『可愛い』範囲だった訳ね。でも、ユウマくん。貴方、何処からそんな詳しい情報を聞いてきているの? わたしが知らない部分もあるんだけど?」


「それこそナイショでござる。(それがし)にも秘密の情報筋があるでござる。アリサ殿とは違う情報筋でござるから、クロスチェックが出来るでござるよ」


 えっへんとドヤ顔で瓶底眼鏡を上げるユウマくん。

 前から不思議ではあるが、その情報網と知識は僕たちの役に立っているので、僕は追及するつもりはない。


「まあ良いわ。わたしの方にも『上』から、更にテロが起きる可能性があるって情報が来ているの。また『仕事』で学校を休むかもしれないけど、絶対にマモルくんのところに帰ってくるからね」


「うん。無事に帰ってきてね、アーシャちゃん」


 僕は、アーシャちゃんの小さな手をぎゅっと握る。

 僕の思いが、アーシャちゃんを守る様に祈って。


「マモル殿。少しは手加減願えぬか? もはや致死量レベルで済まぬイチャコラでござるぅ!」


 顔を真っ赤にして悶えるユウマくんであった。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「さっきからパトカーが沢山動いているね」


「未確認情報では、米軍基地にテロをした馬鹿が居る様でござるね。まさか、こちらまでは来ぬとは思うのでござるが」


 始業式に向かうために体育館へと向かう僕たち。

 妙に学園の周囲ではパトカーや救急車らしきサイレンが煩く響く。


 ……アーシャちゃんは、勝手に動かないよね。僕たちの目の前で事件が起こった訳じゃないし、学校で正体を見せる訳にもいかないもの。


 僕は気になって、横に歩くアーシャちゃんの顔を見た。


「マモルくん。さっきから嫌な感じがするの。この感じ、施設時代の……。でもアイツは、わたしが殺したはずなのに?」


 元々白い顔が真っ青になっているアーシャちゃん。

 何かに怯えていて、ぶるぶると震えていた。


「アーシャちゃん。僕が必ず君を守るよ!」

「マモルくん」


 僕はぎゅっとアーシャちゃんの手を握った。


「皆さん、周囲が騒がしいようですが、落ち着いて待機してくださね。ここに居れば大丈夫ですよ」


 教頭先生が体育館に集まった、まだ幼い中学部の子達に声を掛け、安心させるようにしている。

 僕たち高等部の子らも周囲の騒音が気になるも、慌てず静かに待機していた。


「え! どうして運動場にロボットが!」


 そんな時、中学生の子が轟音がした運動場の方を見て驚く。


「あれは、米軍のM3! 戦闘証明済み(コンバットプルーフ)強化装甲(ハイパーアーマード)外骨格(スケルトン)でござる!!」


 門扉を破壊して突っ込んできたトレーラー。

 荷物を覆っていた布を取り払い、数機の四本腕ロボ。

 いやパワードスーツを立ち上がらせる。

 そして、パワードスーツは機械腕に持つライフルの引き金を引いた。


「きゃぁぁあ!」

「どうして!?」


 女の子達の悲鳴、そして誰かの疑問の声が上がる。


 ……なんで学校が戦場になるんだよぉ!?


 バリバリと火を噴くライフル。

 その弾丸は門の向こうに来ていたパトカーを貫き、爆発させる。

 爆発の衝撃は体育館の窓に向かい、せっかく交換したばかりの強化ガラスが砕けた。


「アーシャちゃん!」


 強化ガラスの破片が、僕たちに迫る。

 僕はアーシャちゃんを破片から庇うために、思わず彼女を抱きしめた。

 ここから第一章、最後の戦いが始まります。

 アーシャんちゃんとマモルくんの戦いと恋の行方をどうぞお楽しみくださいませ。

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