表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「満月の夜、僕は学校で一番の美少女に拳銃を突き付けられた。~クラスで隣の席に座るアノ子は、超絶凄腕エージェント~」  作者: GOM
第1部 ボーイ・ミーツ・ガンガール

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/133

第23話 乱暴に高説を垂れる犯人。動く母さん!

「お前ら、動くな! 動いたら撃つぞ。爆発させるぞ!!」


 爆発を起こさせたらしい犯人、右手に持ったソードオフされたショットガンを振り回し、周囲を威嚇する。

 また左手を上にあげ、持ったスイッチらしきものを見せつける。


「アリサ殿、先生。あの銃は片手で撃てるレミントンのセミオートショットガンでござる。チューブが短いから弾は全4発か5発、残り3、4発でござる。後、爆弾の起爆スイッチでござるが、あれは二回押しで起動するやつ。即死させれば、爆発させないでござるが……」


「ユウマくん、情報ありがと。じゃあ、わたしが……」


 ユウマくん、敵の装備を見抜き、残り弾数まで教えてくれる。


 ……凄いなぁ、ユウマくん。残り弾数が分かれば、対応策も分かるし。


「アリサちゃん、拳銃を隠して! 警察の人が来たわ」


 しかし制服警察官が来たので、アーシャちゃん達は急いで拳銃を隠す。


「銃を下ろせ! 動くと撃つぞ!」


 警官が二人、拳銃を抜き犯人に警告をする。

 しかし、犯人は止まるどころか銃口を警察に向けて無造作に二発撃った。


「ぐわぁ」


 二人の警官は、ばったりと倒れる。

 倒れた体からは、赤い鮮血が流れ出る。


「きゃぁぁぁ!」


 周囲の人々から更なる悲鳴が上がる。


 ……どうしよう? このままじゃ、警官の人も死んじゃうし、僕らも危ない。でも、こんな人だかりの中でアーシャちゃんに銃を撃たせたら、後が……。


 僕は、アーシャちゃんがマスコミやらに追いかけられる姿を連想しつつも、このままでは更に犠牲者が増えるのを考え、どうしたら良いのか自問自答を繰り返していた。


「オマエら、どうして声を上げるだけだ!? デモしても世界は変わらない。愚民どもには力、そう暴力で示すしかないのだ! 『あの方』は、こうおっしゃられていた。『自分を認めない世界など意味がない!』と。デモなどせずに意味も無い会議に来る愚か者など、殺してしまえば良いのだ!!」


 何やら高説を始めた犯人。

 デモをしていた人への文句なのか、無関係なホテル宿泊客への発言なのか?


「先生、わたし……」

「今は待って! 群衆の視点が集まっているから、さっきとは状況が変わってるの。ここで撃っちゃったら不味いわ!」


 悲痛な顔のアーシャちゃん。

 先生が制止するのにも関わらず、拳銃を再び取り出し犯人へ向かおうとした。


「待って、アリサちゃん! 貴方がここで銃を撃てば、事件は解決するかもしれないけれど、貴方の立場が不味くなるの。ここは、お母さんに任せてくれないかしら?」


 そんなアーシャちゃんを手で制し、にっこりと笑いかける母さん。

 ミワを先生に託し、また僕やアーシャちゃんへ笑みを浮かべた母さん。

 表情を切り替えて、興奮している犯人に向かって呼びかけた。


「あら、残念。てっきり、自分の考えでテロしたのかと思ったら、他人の意見コピーしただけの愚か者なのね」


「何を言う! このくそばばぁが! オマエのようなババァが世の中をおかしくしているんだ! 俺の母親もダメ親だった。俺は親のせいで何も出来なかった。だから、思い知らせてやったんだ!」


 母さんの挑発に反応して、母さんに銃口を向ける犯人。


 ……母さん! いくら、合気道が僕よりも強いって言っても無茶だよぉ!


「貴方、まさか自分の母親に手をかけたの!? 自分の愚かさを親のせいにするなんて……」


「ああ、そうさ。ここに爆弾を仕掛ける前に、両親とも殺してやった。『あの方』もおっしゃられている! 親や老人という旧世代はすべて排除すべきだと」


 すっかり狂信者になっている犯人。

 両親や多数の人々を傷つけ、それは世界が悪い、親が悪いと、自分では無く他者に原因を求める。

 心地よい誰かの言葉に酔いしれ、殺人への禁忌すら簡単に乗り越えてしまう愚か者。


 ……こいつ許せないよ。早く無力化しないと犠牲者が増えちゃう。撃たれた警官の人も死んじゃう!


 倒れている警官二人。

 かすかに身じろぎする彼らが倒れ伏すアスファルトに、どんどん鮮血が広がる。

 救急隊の人も迂闊に動けない為、倒れている警官を助けに行けない。


「……もう、手加減なんて要らないわね。病院のベットで身動きできない自分を後悔しなさい!」


 母さんは、いつのまにか犯人へあと5メートルくらいまで近づいていた。

 また銃口射線が向いている母さんの背後には、誰もいない。


 ……母さん、すごい! 射線まで計算して動いてるんだ。


「クソババア! お前も死ね!」


 犯人はショットガンの引き金を引いた。

 パンという音と共に銃口から白い煙が噴き出し、散弾が飛び出す。


「お義母様(かあさま)!」

「母さん!」

「おかーさん!」


 アーシャちゃん、僕、ミワの母さんを呼ぶ声が重なる。

 ショットガンが撃たれた瞬間、僕は母さんが傷つく恐怖から目を閉じてしまった。


「え? お義母様?? す、すごい……」


 しかし、アーシャちゃんの疑問の声で目を開くと、想像できない状況が目の前にある。

 僕は、一瞬目を疑った。


「ぎぃぃ! ど、どうしてぇぇ!」


「射線やトリガータイミングを読むのは容易なのよ。後は、いかに意識の空白を突くかね」


 犯人はショットガンや爆弾のスイッチを手放し、両手を後ろにねじ上げられて悶絶していた。

 そう、母さんの手によって。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ