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第21話 ユウマくんの謎解きタイム。

「さあ、ユウマくん。わたしの事を何処まで知っているか、白状しなさい! ここなら他の人も居ないから逃がさないわよ?」


「アーシャちゃん。それじゃ、まるで悪者だよ? 友達相手に脅迫するみたいな事は辞めようよ」


「そうね、アリサちゃん。貴方、前も植杉くんを問い詰めていたけど、この子達なら言いふらす事も無いから、脅迫はしないでね。加藤くん。ちゃんと話してくれるよね? 状況によったら、情報の漏れたところを塞がなきゃだし」


 夕食後、僕たちは僕の家族で借りているファミリールームに集まっている。

 そして、ユウマくんに対して尋問会になっているのだ。


「皆の衆、そんなに血気に走らぬでも良いでござる。(それがし)、ちゃんと話すでござるよ。それで確認でござるが、マモル殿のご家族はアリサ殿の事を何処までご存じか?」


「アリサちゃんは、わたしの自慢の義娘(ムスメ)なの! この子の事は、ぜーんぶ知ってるわよ」


 母さんが自慢げにドヤって、ユウマくんに(アーシャ)自慢をしている。

 それを見てアーシャちゃんがクスクス笑っているのは、僕も見て安心できることだ。


「それなら安心でござる。某の話でアリサ殿がお母様に嫌われなどしたら、切腹ものでござるから」


「ぜーったいにそんな事は起きないから安心してね、加藤くん。ね、ミワ」

「うん、おかーさん。アリサおねーちゃんは、大好きなおねーちゃんだもん!」


 母さんとミワ、いつのまにかアーシャちゃんに抱きついている。


「……と、言う事だから話してね、ユウマくん」


 身動きできないけど、二人を振り払うなど考えられないアーシャちゃん。

 苦笑気味ながら、笑顔でユウマくんに問いかけた。


「では、話すでござる。一番最初に気が付いたのは、ガス爆発事件でござる。先生、情報操作が雑でござるよ? 某が後から修正しておいたでござるが」


 ユウマくんが言うには、僕とアーシャんちゃんが深夜の学校で出会ったときの事件。

 あの際、先生はガス爆発事件が起きたから、学校が破壊されたという事にした。


「あれ、不味かったの、加藤くん?」


「先生。一番破壊された場所は、何処か知っているでござるか?」


「確か二階の多目的教室だったと……。あ! あそこには!?」


「そう。ガス配管は通っておらぬでござる。上下の階もガス配管が通らぬ普通の教室。これが家庭科教室か理科実験室であれば、誤魔化せたでござるよ?」


 ユウマくん、自信満々の顔で事件の隠ぺいについての問題点を指摘してくる。

 確かに破壊箇所を知らべれば、ガス爆発したはずなのにガス配管が通っていない事はすぐに分かる。


「後は、事件時に夜勤だったのは宗方(むなかた)先生でござる。つまり、先生は事実を知っていたはずなのに、嘘を言った。ここから、先生の周辺が怪しいと思ったのでござるよ」


「あーあ。全部、わたしのミスなのね」


 ユウマくんの謎解きに先生は納得をする。

 確かに不自然な点が見つかれば、気が付く人はそこから事実を把握できる可能性はある。


「後は、工事中の校舎を調査すれば一目瞭然でござる。工事業者の対応がずさんでござったぞ。窓ガラスは先に外して割っておくべきでしたな。弾痕が残っていたら、言い逃れは出来ぬでござろう。あと、こんな物が工事廃棄物に交じっていたでござる」


 ユウマくんがは、ポケットの中から細長い金属物を取り出す。


「7.62ミリくらいのアサルトライフル弾。素材などからロシア製カラシニコフの弾丸でござろう。こんな物が日本で見つかる事はまずあり得ないでござる。ここから、ガス爆発事件ではなく銃撃戦が行われたと分かったのでござる。そしてそれは公安関係、今日も周辺で煩い国際会議関係なのでござろう? 教員の間で噂になってるでござるよ、学園に外交官が来ると」


「ユウマおにーちゃん、すっごいの。まるで名探偵さんなの!」


 僕以上にミリタリー関係に詳しいユウマくん。

 彼なら、弾丸から撃った銃器を判別できるであろう。


「で、一時は先生を疑ったござるが、違和感があったのござる。なぜ学校を巻き込んでまで先生が銃撃戦をするのでござるか? 誰か、生徒を庇ってると見たでござる。後は、先日のマモル殿とアリサ殿が巻き込まれたコンビニ強盗。これで答えが見えたでござる」


「つまり、わたしが犯人を制圧して、マモルくんが身代わりに制圧した事にしたと見たわけね」


「そうでござる。マモル殿は言ってはナニでござるが、戦闘には不向き。爆発事件以降、二人の関係が急接近してるでござる。そしてマモル殿の行動を調べる内に、爆発事件の夜にマモル殿が学校へ行ったのを知ったでござる」


 僕がコンビニ強盗犯を制圧したんだけど、そこは読めないユウマくん。


 ……僕、普段は戦えるのを見せたりしないからね。


「以上より、アリサ殿が公安系の仕事をしており、マモル殿は巻き込まれるも、アリサ殿を愛し守る事にしたでござろう? 何処か『仮面』を被っていたアリサ殿、そこに秘密があったに違いないでござる」


「大体は正解だと思うよ、ユウマくん。でも、それだけじゃアーシャちゃんがカラーコンタクトをしているのが説明できないけど?」


「それは今日の様子でござる。アリサ殿は何回も眼を気にしておったでござるし、眩しそうにしていた際の瞳孔収縮時に下から青い色が見えてたでござる」


 ユウマくんの観察眼には驚いてしまう。

 アーシャちゃんの眼、こと昼間の海での眩しさは虹彩が黒い日本人よりも厳しいそうだ。

 逆に夜目は効くらしいが、昼間では瞳孔が収縮しても蒼い光彩部分から光が漏れだすとの事。


「……ユウマくんのえっち! わたしの何処を凝視してたの!?」


「それは誤解でござる。確かに腰から足回りは綺麗と思うでござるし、胸に関しては将来を期待……、ぎゃ!」


「ゆーまくんのばかぁぁ!」


 一言余分な事を言ってしまったがために、そこにあったカバンを投げつけられてダウンするユウマくん。

 キジも鳴かずば撃たれまい。


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