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「満月の夜、僕は学校で一番の美少女に拳銃を突き付けられた。~クラスで隣の席に座るアノ子は、超絶凄腕エージェント~」  作者: GOM
第1部 ボーイ・ミーツ・ガンガール

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第17話 夏休み開始! 僕とアーシャちゃんのホリデー。

「マモルくん。わたし、しばらくお休み貰えそうなの? 一緒にどこか行かない? お義母様(かあさま)達も一緒にお誘いして?」


「え、良いの? そういえば、テスト後に何日か休んでたけど、その時に『仕事』したんだ」


「ええ、何の『仕事』かは言えないけど、悪い人たちを懲らしめて、全員警察に渡してきたの!」


 今日は、試験後の土曜日。

 僕の家で、お勉強会という名目のお泊り会である。


 ……今日、父さんは仕事で居ないけど、母さんとミワはアーシャちゃんをずっと待ち構えていたからね。


 来週からしばらく補習授業があるものの、僕らの高校一年の夏休みが開始しようとしている。


「そうだね。う、海とかも行ってみたいな?」


「あ、マモルくんのエッチぃ。わたしの水着姿を見たいのかしら?」


「あ、アーシャちゃんの水着は、が、学校の授業で見たけど……」


 華奢な四肢と体躯。

 しかし、しなやかで鍛えられた筋肉に支えられ、背筋がピンと伸びた姿。

 脚から腰にかけて、まるで芸術品の様な優美なライン。

 長い黒髪は水泳帽に隠されているものの、アラバスタでところどころが薔薇色に染まる綺麗な肌。

 女の子達とコロコロ笑いあう笑顔。


 野暮ったいはずのスクール水着も、アーシャちゃんが纏えば大理石製のギリシャ女神像にも、僕からは見えた。


「えっちぃ! 男子って、すぐに視線を胸に向けるんだから」


 アーシャちゃんは、つつましやかな胸を腕で僕の視線から隠す。


「ぼ、僕。ありのままのアーシャちゃんが好きだよ!」


「ま、マモルくん!」


 僕の発言に顔を真っ赤にするアーシャちゃん。


「おにーちゃん達。イチャコラは適度にね。おかーさん、今台所で悶えてたから」


 一緒に遊ぼうと、僕の部屋に3人分のジュースを運んでくれた妹ミワ。

 母さんの状態を報告しながら突っ込んでくるので、僕の顔も酷く熱くなってしまった。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「海なんて泳ぎに来るの、わたし始めてー!」


「アタシ、何回も海には来たよー!」


「なんか(それがし)のみ、場違いではないでござらんか?」


「引率のわたしが大丈夫って言っているんだから、大丈夫よ。加藤くん?」


宗方(むなかた)先生。今回はご無理を申してすいません。主人が仕事でなければ、お手数をお掛けしませんでしたのに」


 話がトントン拍子に進み、学校で話し合っていたから、ユウマくんや宗方先生まで巻き込んでの「お泊り海水浴」になってしまったのは想定外だった。


「アリサちゃんは、お父様が遠くでお仕事をなさっているから保護者が近くに居ないの。だから、わたしが保護者代わりを頼まれているわ。アリサちゃんが楽しめるのなら、最大限協力しちゃうよ!」


 十人まで乗れる大型バンを乗りこなす宗方先生。

 アーシャちゃんが僕と海に行きたいという話を聞いて、自分が自動車を出してくれると言い出した。


 ……後から聞いたけど、僕がアーシャちゃんの本当の姿を見た夜。僕をアーシャちゃんのセーフハウスまで運んでくれたのが先生。袋を頭に被せられて簀巻き状態で運ばれたとはいえ、丁重には運んでくれたものね。


「あ。海が見えてきたよ、おねーちゃん」


「いっぱい人が居るのね、ミワちゃん。わたしが生まれたところは海が近くになかったから、泳いだのは日本に来てからなの」


 アーシャちゃんの、このところの発言。

 そこから、彼女の生い立ちがなんとなく見えてくる。


 ……多分共産圏で生まれて、お母様とは幼少期に死別。お父様はお仕事、たぶん軍とか諜報部関係の仕事をしてて、一人だったアーシャちゃんは、保育所代わりの施設で育った、という感じかな?


 おそらく施設では、子供たちを優秀な兵士にでもする訓練をしてたに違いない。

 まるで、映画や漫画の世界みたいだけれども。


 どうやって、アーシャちゃんは施設から逃げられたのか。

 お父様は、今どこにいらっしゃるのか。


 まだまだ謎は多いけれども、それは僕にとってアーシャちゃんを大事に思う以上の情報ではない。


「これが潮風なのね。しょっぱいわ」


(ひいらぎ)殿。海に入って塩辛いので驚くではないでござるよ?」


「加藤くん! わたしだって、海が塩味なのくらいは知ってますからね? 馬鹿にしないでよぉ」


 僕を通じて、馬鹿話できる友達になったアーシャちゃんとユウマくん。

 二人の漫才を見ながら、僕はこの平穏がずっと続くことを祈った。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「ま、マモルくん。わたし、変じゃないかしら?」


「おにーちゃん。アリサお姉ちゃんに、どう言ったら良いかくらいは分かってるよね?」

「マモル、ここが勝負所よ?」

「マモル殿、ファイトでござる!」

「植杉くん。ここで失敗したら二学期早々に宿題を倍増よ?」


 しずしずと更衣室から出てきた女性陣。


 その中で、ひときわ白く輝く美少女、アーシャちゃん。

 日焼け防止の純白なパーカーを羽織るが、開いた前から綺麗な水着姿が見える。

 アーシャちゃん、華奢ながら綺麗なラインの身体をソフトピンク色のセパレート水着で纏い覆っている。


 ……なんで、外野が賑やかに僕へプレッシャー掛けてくるの?


 胸元をフリルで覆い、アーシャちゃんの可愛い胸をフォロー。

 布の間に見えるアラバスタなお腹、僕が始めて見た綺麗なおへそがちょこんとある

 ローレグカットの水着ショーツ部分から伸びる御身脚は、すっきりと伸び、恥ずかしさから擦り合わせた両太ももの間、鼠経部には三角形な隙間も見える。


「……とっても、き、綺麗だよ。アーシャちゃん。ぼ、僕……。きゅぅぅぅ」

 

「きゃぁ! マモルくん。大丈夫!?」


「ま、マモル殿。しっかりするでござるぅ。衛生兵、衛生兵はいずこやぁ!」


「これはダメね。我が息子ながらピュアすぎるわ」


 僕は、あまりに衝撃的なアーシャちゃんの水着姿に鼻血を出してダウンしてしまった。


「うーん、70点かな。おにーちゃん」

「そうかしら、気絶しなきゃ80点はあげらえたと思うけど?」

「お二人は身内に御厳しいですね。わたしなら90点は上げましょう。恥じらう美少女、それを見て褒めながらも鼻血を吹き出してダウンする純情少年。テンプレとしては満点です。まあ、古典的ではありますが」


 気絶しそうな僕を放置して、好き勝手言う女性陣。

 僕はユウマくんとアーシャちゃんに介抱されながら思う。


 ……これも大切な日常なのかなぁ。


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