第8話 ワタシの知らない記憶
いつものように繭の中で目覚めるがワタシは繭の中で見た夢を思い出していた。
長い、とても長い夢を見ていた。
ワタシが龍と戦い、人と戦い、最後には鮮やかな翡翠の龍が目に映り光で全てが埋め尽くされる。
ワタシじゃないワタシが現れる夢、夢だけど実際にあったと感じる夢。
思い出している内に意識がはっきりしていき、鮮明に見えていた映像が薄れていく。
繭越しに差し込む陽の光が眩しい。
夢心地も覚め、慣れた手つきで殻を破る。
自分の体に何か変化がないかざっと見回す。
今回もまた少し変わっている、でも夢の中の姿とは似ても似つかない。
自身の変化も程々に大事な物を吊るした木へ移動する。
眠っていた木から少し離れた所にある吊るされた小さな繭。
傷はなく繭に少し露がついている。
繭についた露を飲み繭から一冊の本を取り出す。
その本は端々が擦れてボロボロになっている。
「あー、あー、謎の声さん、コレは何ですか」
取り出して直ぐ、細長い2本の前足を使って誰かに見せるように空に掲げる。
《回答、コレは本です。》
いつの間にか聴こえるようになった声、謎の声と呼んでいるが、本当に謎なのだ。
ただ今のは今まで聴いていた声と違っていた。
どこがと言うと、なんだか安心できるのだ。
声の正体はさておき、本である事を確認したら糸で自分の体に括り付ける、そして今度は2本の前足を自身にくっつける。
「謎の声さん、コレは何?」
《何って虫...そうね『干渉、成功。情報取得、成功。』
回答、コレは虫型の魔生物です。》
やはり違う、今までも変わってきたけれど、魔生物になったのは今回が初、今は...3回目?
『スキル《干渉》がレベルアップしました』
《あっ、ちょっとこんな時に上がらないでよ》
『回答、対象の変化は6度目です』
頭の中で疑問符を浮かべると、頭の中から連続して声が響く。
一つは無機質で、もう一つは安心する声でそしてもう一つはその2つを混ぜたような声が頭の中に響いた。
呼びかけてもいないのに何故か声は反応して...
『警告、高次元存在に干渉されました。許容量を超過する情報が流入します』
意味のわからない言葉に疑問を思い浮かべた瞬間に張り裂けそうな痛みが頭を襲い、何も感じなくなった。
《あーもう、あとちょっとだったのに。はぁー、スキル化はダメだったかぁ、結構いい線行ってたんだけどなぁ。今度は話せるようになるといいな。じゃあまたね、クロちゃん》
日が降り注ぐ森の中、霞がかった人型の何かが地面に伏したモノの側に佇んでいた。
その手には小さく弱々しく光を抱えていて、光に何かを呟くと霞がかった何かは弱々しい光に吸い込まれ、大きくなった光は近くにあったモノの中に入っていった。
光の入った何かはそのままふらふらと動き出し、森の中を進んで行った。
読んで頂けている方、お久しぶりです。
暫く更新をしておりませんでした、申し訳ないです。
ここ最近、更新はサボってましたが、チマチマと設定を練っていました。
また、ちょっとずつ更新しますので読んで頂けると幸いです。




