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『ワタシ』と『私』は魔物と人  作者: Libra・ventus
第一章 新たな世界
5/8

第5話 遭遇する召喚者

遠征から帰った後。

僕等は王国の貴族が所有する、平原に建てられた屋敷に集まった。


ここは春になると平原を覆いつくすほど花が咲き誇る、花好きの貴族が何代もかけて作り上げた名所だ。


ある事をキッカケにここを所有する貴族と親しくなり、花が咲く季節でない今は遠征後の療養地として使わせて貰っている。


辺り一体は平原で、遮蔽物もなく王国から少し離れたこの場所は僕達にとっても都合が良く、秘密の会談場所でもある。


そして集まった僕達4人は、ついこの間帰ってきたばかりの遠征について振り返っていた。


2週間程前、諜報部隊がある情報を持ち帰った。


それは帝国へ向かった使節団が森で消失し、消息不明になっている事、使節団の進行ルート上の森の一部が消失しているというものだった。


消失した場所は王国領土ではあるが、大きな問題があった。


その場所は大陸の3分の1の広さを誇り世界樹が存在すると言われるエンバーシア大森林の一部。

大森林には世界樹を守護する龍が居り、過去に森を侵略した国は大きな損害を受けている。


今回の森の消失を国の所為にされてはどんな被害が出るか想像もつかない。

その為、原因究明と対策の為に急遽調査部隊が結成された。


僕達4人も、というより僕と華が王命により調査部隊に編成された。


僕達召喚者は召喚の際に何らかの力が発現していてそれぞれが優れて秀でた力を持っている、それで調査向きの能力の僕と治癒に優れた能力を持つ華が召喚者の中で選ばれた。


有事の際、戦闘能力の無い僕に代わって守りに秀でた能力を持つレンを加え、3人で行動する予定だったが出発前に烏羽さんも加わった。

本人曰く「私の能力の一部を開示して、誰でも使えるようにする代わりについて行く事を了承させた」だそうだ。


そうして僕達召喚者4人と王国兵6人、王国魔法士4名の総勢14名が森林調査として王国を出発した。


出発してから2日間馬を走らせ森に着き、目的の近くに行くまで更に2日要した。

5日目の昼に漸く目的地に到着し、そこで見たのは想像を絶した。


*****


「なんだってんだ、この森。危険な場所じゃなかったのか?」

「確かに身構えてたよりは、だけど。あっ、また来ます。4いや、5匹です」


ガサガサと茂みが揺れ、ウサギの様な魔物が飛び出してい来た。

だが飛び出してきた魔物は、前にいる兵士に簡単に倒されていった。


森に入ってから、先行する兵士が軽く相手出来るほどの弱い魔物しか現れていない。

とはいえ、それだけでも十分異常と呼べる程の数と遭遇していた。 


「はー、もう歩き疲れたんだけど、いつになったら着くのー」

「うーん、そろそろのはずなんだけどねぇ、どうなんですか?」

「うむ。目的地まではもう少し、既に四層が見えていてもおかしくないが、目印になっている木が見当たらないのだ。英雄様方、もう少し堪えていただきたい。着き次第休憩致しますので」

「だってさ」

「はーい」「へーい」

「分かりました」


気の抜けた返事をする2人をよそに、周囲の警戒をしながら部隊は森の中を進んでいく。


そこから少しして、漸く目的地に辿り着いた。


ただ、目的地で目にした景色は異常だった。

徐々に森が深まっていく中で着いたその場所は言葉通り森が消えていた。

地面には一切の草もなく森の中に広大な荒野が広がっていた。


全員が目にした光景に驚いている最中、一部あるものに気付いていた。


「おい、あれを見ろ」


いち早くある物に気付いたレンは、瞬時に盾を取り出し構えながら、ある地点を指差した。


レンが指差した地点は周囲に比べ凹んでいてその中央に虫の様な人の様なナニカがいた。


「鑑定します、《鑑定(アナライズ)》」


----

種族:未定義

名称:無し

クラス:不明


ステータス:鑑定失敗

※※※※※:鑑定が拒否されました。

スキル:鑑定失敗

称号:鑑定失敗

----


「な...んだあれ」


予想外の鑑定結果に一瞬判断が遅れた。

鑑定をした瞬間、確かにこっちを見ていたのだ。


「しまっ、構えて‼︎」

「全員、対未知戦闘防御陣営、展開‼︎」


鑑定の内容を伝える間もなく、僕の言葉に反応した隊長さんが号令をかけた。

号令を受けた兵士は一様に戦闘態勢を取り始め、手際よく防御結界を展開する。

そして、その号令の瞬間と同時に、視線の先にある地面が爆ぜた。


バリンッ

「...‼︎」


視界から怪物が消えた直後、展開した防御結界が壊れ、僕の目の前に手が伸びていた。


「離れやがれ‼︎」

「《超解放30%オーバーブースト・サーティ》‼︎」


結界が割れたと共にレンが大楯で突撃し、態勢を崩した所を烏羽さんが間髪入れず回し蹴りを入れ、ガラ空きの胴体を捉え怪物は吹き飛...ばなかった。


怪物はガラ空きだった筈の胴体を新たな2本の腕で防御していた。


「クソッ、アイ‼︎《攻守変換》‼︎」

「分かってるわ、《開花する才能(ブルーム・アビリティ)》、《超解放70%オーバーブースト・セブンティ》‼︎」


先程の攻撃で相手の強さを感じ取ったレンと烏羽さんは瞬時に戦闘態勢を整えた。

レンは防御を捨て、攻めに転じ烏羽さんはレンの潜在能力を引き出させ、更に自身の肉体が耐え得る限界以上の力を解き放った。


「守りは我々に任せてくれ、英雄達に傷一つ付けさせん、全員防御魔法展開‼︎」

「「「エンチャント《プロテクトシールド》」」」

「ダブルキャスト・エンチャント《ヘイスト・ストレングス》。《魔力共有》、《演算加速》。華‼︎」

「"我は天の使徒、魔に穢れし汝に浄化の炎を与えん。"《天の浄火(ソル・フレア)》」


魔力が減っていく感覚と共に華の魔法のよって小さな太陽を思わせる火球が上空に現れ、ゆっくりと落ち始めた。


この魔法は華が使える魔法の中で最も威力の高い魔法だ。

本来は複数人で発動する魔法を、僕が補助に徹し2人の魔力で一気に発動させた。


レンと烏羽さんが2人掛かりで何とか敵の動きを止めているが、相変わらず敵の腕に攻撃を阻まれ続けている。


それに対し敵の攻撃は、一撃でコチラの防御結界を破ってくる。

なのでその都度貼り直す事しか出来ていない。


「アオ、やって‼︎」

「《転移》‼︎」


ハナの指示が出た瞬間、雷爆の魔符と2人の位置を入れ替える。

入れ替えられた魔符は、火球の熱によって即座に起爆、辺りに雷鳴を思わせる爆発が起きた。


「いっけぇぇえええ‼︎」


爆音に負けずと放たれたハナの咆哮と共に、火球は落下速度を速めズドンという音を立て落ちた。


黒煙と共に焼けた土の匂いが周囲に広がっていく。


「やっ...」

たか、と続けそうになって言葉を噤んだ。

こういう時、コレを言うのは良くない。


緊張感を保ったまま注意深く煙を見続ける。


すると突然左腕に痛みが走った。


「キみ、ダね」

「...⁉︎」


煙の方ではなく、真横に突然怪物が現れた。

咄嗟に逃げようとするも上手く体が動かず倒れてしまう。


「ゴめん、ヨ、もラ、うネ」


ギリギリ言葉として聞こえる声を発した怪物の手には何故か人の腕が握られていた。

怪物が発した言葉の意味が理解できず、体と頭が動かない。


「アオ‼︎」

「アオ! クソッ、こんの野郎‼︎」


離れた位置から華と漣の声が聞こえる、2人とも何故か心配そうな、そして漣は声に怒気が篭っていた。

 

「漣、華と一緒に碧くんを!隊長さん撤退指示を‼︎」

「全隊、撤収‼︎帰還せよ」

 

全員が慌てる中、冷静に指示を出す烏羽さんの声が聞こえる。

レンがやってきて僕を抱き抱え、怪物から距離を取った。


「はぁぁああああ」


すぐさま烏羽さんの気迫のこもった一撃が地面に打ち込まれ、辺りを土煙で包んだ。


レンに担がれ逃げる最中見た光景は、怪物はコチラを見据えながら、腕を丸呑みにした。


あぁ、アレは僕の腕か...


飲み込まれる寸前、腕の火傷跡が見えた。

手首にある手で掴まれたような火傷の跡、最近付いたばかりのソレを見て漸く、自分の左腕がない事に気付いた。

その瞬間、忘れていた痛みが全身に走り、薄ぼんやりとしていた意識が閉じた。


次に目を覚めた時は既に馬車の中だった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

思ったより長く書いてしまいました。

リアルが結構忙しかなりますが、今月はあと一話はあげようと思います。

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