表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/101

第5話 記憶が戻ったの。

 教会に着くと、レイニィ達は牧師により礼拝堂に通された。

 礼拝堂では、レイニィが祭壇の前に膝を付き、その横に牧師が立ち、細かな指示を与える。

 両親や護衛達は、少し離れて、後ろからレイニィを見守っている。


 牧師の指示通りレイニィが祈りを捧げると、天から光が差し込み、一通の封筒が舞い降りてきた。

 レイニィは、牧師の指示通り両手の平を上に差し出すと、その封筒が手の平の上に落ちてきた。


 すると、どうしたことだろう。レイニィが光り輝いた!


「これは・・・!」


 天から封筒が舞い降りるのは、いつものことであるが、それを受け取った者が光り輝くことは珍しい。

 予定になかったことに、牧師が思わず声を漏らす。

 離れて見守っていた家族たちもざわついている。


 それでも牧師は平静を装いレイニィに指示を与えた。


「ちゃんと自分のものであるか、中身を確認してください」


 レイニィは少し困った。


「あの、私まだ文字が読めません」

「大丈夫ですよ。神の文字で書いてありますから、文字を知らなくても誰でも読めるのです」


「そうなのですか。・・・流石ファンタジーですね」

「なんと言いましたか?」


「いえ、何でもありません。封を開けますね」


 レイニィは、ファンタジーと言ったことを誤魔化して封筒を開けた。

 そして中身を取り出した。


「え?!えーーー!!!」


 レイニィは思わず声をあげた。

 それというのも、普通サイズの封筒から取り出されたのは、二枚の便箋と百枚は超えるであろう紙の綴りだったからだ。


 どう考えても入りきるはずがない。


「これは、これは___」


 牧師は紙の綴りを見て、驚いているというよりは感心していた。


「先ずは便箋を確認してください。便箋は二枚入っていましたか?」

「はい、二枚入っていました」


「では、便箋の一枚目は、名前と仮職(プレジョブ)、それに、賞罰が書かれているはずです。自分の名前が書かれているか確認してください」

「はい。えーと。名前は間違いありません」


「そうですか、それは良かった。その紙は身分証明書になります。一生使いますから、失くさないように、大切にしてくださいね」

「はい、分かりました」


「もっとも、失くしても戻ってきますけれどね」

「そうなのですか___。流石・・・」


 レイニィは、今回はファンタジーと言うのを思い留まった。


「名前の下に仮職が書かれていると思いますが、それは、あなたに一番適性がある(ジョブ)が書かれています。

 そして、その紙の綴り。

 それにはその職を得るために、あなたが達成しなければならない試練が書かれています」

「これ全部ですか?」


 レイニィは、紙の綴りをパラパラと捲ってうんざりした。


「そうです。普通はそんなに多くはないのですが。頑張って努力してください。そして試練以上に努力すれば上級職を得ることもできます」

「はあ___」


 レイニィは、もう空返事をすることしかできなかった。


「仮職の下に書かれているのが、賞罰です。良いことを重ねれば、そこに賞として、悪いことをすれば、罰として書かれますから、悪いことをしてはいけませんよ」

「はい」

(身分証明書に書かれてしまうのか、前科者にならないように、注意しなければ)


「次に、便箋の二枚目です。私の考えが正しければ、それには、あなたに与えられた神の祝福について書かれているはずです」


 そう神父に言われて、レイニィは二枚目の便箋に目を通す。

 そこに書かれていたのは女神の加護だった。


 女神の加護:前世の記憶(異世界)、魔力無限、自己再生


(これ、そのまま伝えたら不味い事になるかもしれない)


 不都合な事態になりそうな予感もあり、レイニィは考えた末、女神の加護を受けたことだけを伝えることにした。


「えーと。女神の加護を受けていますね」

「それは、おめでとうございます。神の祝福を受けられるのは非常に珍しい事なのですよ。それで、どのような加護です?」


「えー、それはちょっと言えないかな?」

「そうですか。きっとそれだけの試練を達成するための加護でしょうから、加護に驕ることなく努力してくださいね」


「はい、肝に銘じておきます」

「おや、随分と難しい言葉を知っているのですね?」


「え、そうですか?」

(不味い、不味い。前世の記憶が戻ったのがばれてしまう。暫くは気を付けて子供らしくしていなければ)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ