第41話 洞窟に入るの。
エルダの家から歩くこと一時間、レイニィ達はスライムが棲息する洞窟の入り口に着いた。
「えー。皆んな注目。洞窟に入る前に幾つか注意点があるから、心して聴く様に」
エルダがレイニィ達の前に出て注意事項の伝達を行った。
レイニィ達は真剣に聞いている。
「最後になるが、これが一番大事なことだ」
レイニィ達は緊張して次の言葉を待つ。
「レイニィは魔法の威力をよく考えてから使う様に。考えなしに使えば、洞窟が崩落し、私達は生き埋めだ。
レイニィ、わかりましたか」
「はいなの。気を付けるの!」
「よろしい。では出発」
アイス、護衛、エルダ、レイニィ、残りの護衛の順に洞窟へ入る。
洞窟の中は暗い、護衛の二人が松明を翳している。
(松明か。懐中電灯とまで言わないが、せめてランタンが欲しかったわ。透明なガラスがないのだもの無理よね)
レイニィは洞窟の中を進みながら、灯りをどうにか出来ないか考えていた。
(光魔法ってないのかしら。魔力を光に変えればいいのよね。
熱を上げていけば、副次的に光も出るけど、洞窟の中で蒸し焼きになりかねないから却下ね。
前世で、電気を光に変えるには電球を使ってたわね。
フィラメントに電気を流せばよかったはず。
フィラメントには確か、竹炭を使っていたんだっけ?竹ってあるのかしら。
あ、でも駄目か。フィラメントが高温になって燃えない様に、不燃性のガスで覆っていた筈。つまり、ガラス瓶とか管の中でないと燃えちゃうという事だ。
結局ガラスか。お姉ちゃんには頑張ってもらわなければ)
「レイニィ、ぼーっとするな。ちゃんと探索しているか」
「はいなの。だけど、洞窟の中は探索しづらいの」
「岩の壁が少なからず魔力を遮るからな。少しだけなら、能動探索を使っても構わんぞ」
「了解なの。弱目に使うの」
レイニィは能動探索魔法を使った。
「ん、この先、右に曲がった方が、何か一瞬光ったぞ」
先頭を歩いていたアイスが、仄かな明かりに気付く。
「そっちの方にスライムがいるの」
「スライムは魔力を受けると光る性質があるからな。その光だろう」
「そうか、なら慎重に右に進むぞ」
アイスは剣を構えながら、松明の灯りを頼りに、スライムを探す。
それを見て、レイニィは考えた。能動探索を掛け続ければ、アイスでもスライムを簡単に見つけられるのではないかと。
「能動探索を、連続して掛けるの」
アイスの少し先でスライムが赤く光出した。
「お嬢様、ナイスだ。これなら簡単に倒せる」
アイスは、素早く踏み出すと、剣を一閃、スライムを一刀両断にしたのだった。
核を切られたスライムは、グズグズと崩れていく。
「赤いスライムなの」
「レッドスライムだな。火を飛ばしてくるぞ」
「不意打ちされなければ避けられます。お嬢様、次も頼りにしてますよ」
「任せるの!」
「こらこら、余り安請け合いするな。アイスもレイニィに頼り過ぎるなよ」
「はいなの」
「わかりました。気を引き締めていきます」
その後もレイニィ達はサクサクとスライムを倒して進んだ。
「銀スライム、なかなか出ないの___」
「そう簡単に出てくるものか。滅多に目撃例がないんだぞ。一週間、いや、一月掛かるかも知れん」
「えー。そんなになの」
「レイニィが探索で、スライムの種類が見分けられる様になれば、見つけ出すのも早いかも知れん」
「赤に、緑に、青、この辺は区別出来る様になったの」
「まあ、その三種類が一番多いからな。それを弾けば、だいぶ絞れるんじゃないか?」
「赤、緑、青って、RGBなの」
「なんだ、RGBって」
「光の三原色なの。・・・。ひかり。スライムは魔力でひかる。電球を通り越して、LEDが出来るの。あ、駄目なの。ガラスがないの。結局ガラスが必要なの!」
「レイニィ、どうした。大丈夫か」
「お嬢様、しっかりしてください」
レイニィが、突然独り言を言いながら考えだし、大声を上げたので、周りが心配をした。
大声を上げて切れた息を整えながらレイニィは言った。
「ハア、ハア、ハア。銀スライムが見つからないから、今日は、赤、緑、青のスライムを持って帰るの」
「それで、気圧計に代用が効くのか?」
「気圧計でなくて、他の使い道を思い付いたの」
「そうか、なら、サッサとその三種類を捕まえて家に帰るぞ」
エルダの号令で、スライムを三種類倒すと、それを壺に詰めて持って帰ったのだった。




