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第30話 首都シャインなの。

 レイニィは、シャイン国の首都シャインの街を歩いていた。


 スライム狩りのため、エルフの里がある北の森を目指すことになったのだが、港町ライズからは、山道を通って直接行く方法と、街道を通って、首都シャインを経由していく方法があった。

 エルダが来る時には時間優先で急いで山道を通ってきたが、今回は急いでいる訳ではないので、安全な首都シャイン経由で行くことになった。


 スライム狩り行きを父親にお願いした際、折角首都シャインを通るなら、首都シャインに数日滞在し、その様子を学び、国主にも挨拶する様にと父親のゲイルに言われた。

 そのため、今は街並みを眺めながら、国主の住むお城を目指している。


 首都シャインの街は、全体が白壁の木組みの建物が整然と並んでいた。

 赤煉瓦を使った建物が煩雑に立ち並ぶ港町ライズとは印象が大分違う。

 町の規模も港町ライズの三倍以上あるだろうか。

 沢山のおしゃれな商店が軒を連ねていた。


 レイニィはそんな商店を一つ一つ覗き込みながら歩いていた。

 エルダはそんなレイニィに業を煮やして話しかけた。


「レイニィ、余りのんびりしていると城に着くのが遅くなるぞ」

「うーん。でも目を引くお店ばかりなの」


「エルダ様の言う通りですよ。お嬢様。街を見て回るのは挨拶を済ませてからにしましょう。それに、よそ見をしていると転びますよ」


 スノウィにも窘められてしまう。


「そうだぞ、常に注意していないと、どこで、誰が狙っているか分からないからな」

「それから、お嬢様を守るのがあなたの役目でしょう」


「なんだと、そんなのは当然だ。そのうえでお嬢様自身にも注意してもらうのが安全のためには必要なんだ」


 スノウィとアイスが言い争いを始めてしまった。

 いつもの事ではあるが、ここは街中だ。目立ち過ぎる。

 レイニィは呆れて止めに入る。


「はいはい。わかったの。二人とも大きな声を出さないの。あたしが注意しながら真っ直ぐ城に向かえばいいの」

「ほら、あなたのせいでお嬢様に注意されたわ」


「お前のせいだろ」

「二人とも注目されてるぞ」


 エルダも二人を注意する。

 実際、通りにいた何人かがこちらに注目していた。


 その中の一人の女性がレイニィは気になった。


「あれ、あの女の人、どこかで見たことがあるような気がするの?」

「なに。知っている人?」


「うーん。見たことがあるような気がするけど、思い出せないの」

「そう。似たような人はいるからね」


「そう言われると、そうなの___」


 レイニィが気に留めた女性の方も、こちらの騒ぎが収まると、興味をなくしたのか歩いて去っていった。

 レイニィも少し気になっただけなので、深く探るようなことはなかった。


 レイニィは街並みの散策を諦めて、真っ直ぐ城に向かった。

 城は城壁に囲まれた白い石造りの立派な建物だった。


「うちの屋敷とは大違いなの」


 レイニィは城を見上げながら呟いた。

 レイニィの住む屋敷が小さいという訳ではない。

 領主の住む屋敷というだけあり、ライズでは一番大きな屋敷だ。

 しかも、ライズの街からは少し離れた高台に建てられ、眺めは最高である。


 一方、こちらの城は、街の真ん中に建てられ、城を中心に首都シャインに街が発展したという感じだ。

 実際、首都シャインは、東の港町ライズ、西の城塞都市セット、エルフの住む北の森、ダークエルフの住む南の森の丁度中間地点にあり。その交易の拠点として新たに作られた街なのである。

 歴史的に見ても大変新しい街であるが、その分、計画的に考えられた街並みとなっている。


 アイスが、城門を警備していた衛兵に許可を取り、レイニィ達は城の中に通された。

 城の内装も落ち着いているが豪華なものだった。


 レイニィ達は応接室に通される。そこには一人の男性と一人の女の子が待っていた。



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