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転生幼女が魔法無双で素材を集めて物作り&ほのぼの天気予報ライフ 「あたし『お天気キャスター』になるの! 願ったのは『大魔術師』じゃないの!」  作者: なつきコイン
一年目、五歳

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第17話 クィーンアントは誰のものなの。

 アント狩りから帰った翌日、今日もレイニィは温度計を作れずにいた。

 それというのも、巨大な透明クィーンアントを馬車に乗せて帰って来たため、それを目撃した商人達が、アントを売ってくれと屋敷に押し掛けて来たからだ。


 レイニィは脚だけあればよかったのだが、出来れば完全な形で買い取りたいという商人がいるため、それを使ってしまうわけには行かなくなった。

 なにせ、その商人は完全な形なら白金貨百枚で買うと言い出したからだ。

 因みに、白金貨一枚百万円相当だ。つまり、白金貨百枚は一億円になる。


 とはいえ、所有者が売りたくないと言って仕舞えばそれまでの筈であったが、アントを仕留めたのが領主の娘のレイニィであったため、話が複雑になっていた。


「レイニィ、父さんが呼んでる。例の話みたいだぞ」

「ぶー。あれをやっつけたのはあたしなの。あたしのものだって、お兄ちゃんも言ったの」


「まあ、そう膨れるな。父さんにも立場というものがあるんだ。さあ、一緒に行こう」

「仕方ないの___」


 レイニィは不貞腐れた顔のまま、父であるゲイルの執務室に入った。

 そこにはゲイルの他にも、母のウインディ、執事のクラウド、護衛のアイスが待っていた。


「レイニィ、すまないな。父さんが不甲斐ないばかりに不愉快な思いをさせて___」

「そうですよ。あなた。交渉人のジョブが泣きますよ!なんなら私がその商人を闇に葬りましょうか?」

「奥様、そこまでする必要はないかと考えますが」


 母親のウインディはかなりご立腹だ。何やら不穏な事を口走っている。


「お父さま、どういうわけなの?説明してなの!」

「うむ。本来であれば、あのアントは倒したレイニィの物になる。だが、レイニィが幼いため、誰もレイニィが倒した事を信じない」


「あたしが倒したの。本当なの!」

「私もレイニィ様が倒したところを見ましたから、間違いありません」

「そうだ、俺も見た。レイニィの魔法は凄かったぞ!」


「アイスが一緒にいたことも問題を複雑にしている」

「護衛がいたことのどこが問題なんだ?いない方が問題だろう」


「アイスがいたことで、倒したのはレイニィでなく、アイスだと思われている」

「本当にレイニィが倒したんだが。アイスが倒したとしても問題ないだろう?」


 ドライは疑問に思い、首を傾げる。


「それがそうもいかんのだ。アイスが倒したとなると、護衛中だったため公務で倒したことになる。個人的に倒したのならアイスの物になるが、公務中となると、倒した物の所有権は雇主の物となる。この場合、私だ!」


「それでも別に問題ないだろう。父さんが売らないといえば済む話だろう?」

「普通のものであればそれで済んでいただろう。だが、あのアントには白金貨百枚の値が付いてしまった。

 これをレイニィに渡すとなると、白金貨百枚の玩具を渡す馬鹿親。白金貨百枚の玩具を強請るわがまま娘。と世間から見られてしまう。

 流石に領主としての立場上それはできない。そして、レイニィが悪く言われるのも我慢ならん!」


「ぐ、それは流石に・・・」


 ドライにとっても妹が悪く言われるのは我慢ならないようだ。


「あたし、わがままじゃないの!」


「そんな訳で、レイニィには、アントを倒した事を証明してもらわなければならない」

「証明?」


「具体的には二週間後、商人達の前で魔法を使って見せなければならない」

「でも、あの時は必死だったから使えただけなの。また使えるかわかんないの」


「二週間後までに使えるようにしてくれ」

「何で二週間後なんだ?」


「商人の中には、首都シャインに本店がある者もいるのだ。その者は、首都シャインの本店に、どこまで金を出せるか確認しなければならない。そんなこともあり二週間後になった」


 港町ライズから首都シャインまでは片道徒歩で一週間かかる。徒歩で行くと往復二週間はギリギリである。


「えーそんなー。いきなり二週間では無理なの。あ、そうだ。魔術の先生は?」

「探すように頼んであるけど、二週間以内には難しいでしょうね」


「ううう。あたしの物だったのに___。悔しいの!」

「レイニィ、諦めるな。一度使えたんだ。特訓すれば使えるようになるはずだ。俺も手伝うから頑張ろう」

「お嬢様、私も協力しますから頑張りましょう」


 ドライとアイスの応援に、レイニィは少しやる気が出てきた。


「そうなの。ここで諦めたら試合終了なの!」

「ん。試合はしないぞ。魔法は見せるだけでいいからな」

 ゲイルはレイニィに諭すように言った。


(うーむ。この言い回しはこちらの世界では通じないか)

「うん。わかったの。あたし頑張るの。頑張って殲滅するの!」

「頑張るのはいいけど、殲滅するのはやめてくれ!」

 ゲイルは先程より危機感を感じ、少し声が大きくなった。


 欲しい物のためなら、過激になるレイニィであった。



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