第101話 杖なの。
レイニィ達は世界樹の天辺にある十六本の木から、杖の材料となる枝を採取し終えた。
「やっと取り終わったの」
「レイニィ様は二本目以降うわの空だったじゃないですか」
「あははは、ごめんなさいなの」
「しかし、本当に色々だな。どうせなら、これ全部を一本の杖にまとめられればいいんだろうけど___」
「本当なの。そうしたら最強の杖になるの」
「天使のスノウィならできるんじゃないか?」
アイスはレイニィと軽口を叩きながら、軽い気持ちでスノウィに振ってみた。
「そんなことできる訳ないでしょう」
「いや、スノウィ。天使の力があればできるかもしれない。試しにやってみたらいいわ」
スノウィは無理だと思ったが、エルダに可能性があるから試してみろと言われてしまう。
「そうですか、エルダ様がそう言うならやってみますが・・・」
「スノウィ頑張ってなの!」
「レイニィ様、わかりました。頑張ります!」
スノウィは乗り気ではなかったが、レイニィに応援されて、本気を出すことにした。
レイニィは、一旦神の封筒にしまってあった十六種類の枝を、一本づつ取り出し揃えてスノウィの前に並べた。
「それではいきます!」
準備ができるとスノウィは気合を入れる。
『十六新木合体!』
十六本の枝が光に包まれて一つになっていく。そして一本の杖に形を変える。
「おお!」
「やりましたレイニィ様!」
「凄いの。流石スノウィなの」
「本当にできるとは、天使の力はすごいな」
「レイニィ様、これをどうぞ」
「ありがとうスノウィ」
スノウィは出来上がった杖を手に取るとレイニィに渡す。
レイニィは世界最強の杖を手に入れたのだった。
目的を達成したレイニィ達は、登る時に使った昇降機に乗り地上に降りた。
降りたところには牧師が待っていて、降り立ったレイニィに祈りを捧げていた。
「おお、神が天使を連れて御降臨あそばされました」
「降臨って、戻ってきただけなの」
「あれ、牧師さんには天使だとわかっちゃうんですね?」
「スノウィ、天使の輪と羽が出てれば誰でもわかるぞ」
「あれ、いつの間に?!」
スノウィは、下りの昇降機の制動力に耐えるため、勝手に天使モードになっていた。
負荷がかかると自動で天使の力が発動するようだ。
その後、牧師のもてなしを受けた後、レイニィは教会を後にした。
フリージィが用意していた宿に戻ると、フリージィは仕事でいなかったが、部屋はいつ戻ってもいいように用意されていたので、そこで休むことにした。
夕方になるとフリージィが戻ってきた。
「レイニィ様、随分と早いお戻りでしたね。目的は達成されましたか?」
「無事、杖を手に入れたの。これも世界樹の島まで連れて来てくれたフリージィのお陰なの」
レイニィはお礼を言って、杖をフリージィに見せる。
「そんな、畏れ入ります。レイニィ様のためなら、例え地の果てであろうとお連れします。ところで、これは何の木ですか。見たことがないのですが」
「これは、世界樹の天辺にあった十六本の木を合体させた物なの」
「世界樹の天辺まで行かれたのですか?ということは、これは新木の杖なのですか___。正に神であるレイニィ様に相応しい杖なのですね」
普通の人が行けない世界樹の天辺に生えている木は「新木」と呼ばれ、大変貴重な物で、普通には流通しておらず、幻の木とか伝説の木などと呼ばれている。
そんなこともあり、フリージィの信仰心がまた一段上がったのだった。
その後、レイニィ達はフリージィの用事が済むまでの十日間、ゆっくり観光することとなった。




