中国語由来の恐竜の名前
恐竜の名前 (学名) はラテン語で付けるのが昔からのならわしです。「ティラノサウルス」や「トリケラトプス」など、図鑑に載っている名前がカタカナだらけなのは、ラテン語の名前をそのままカタカナ読みしているからです。
ところが、最近はラテン語ではなく、化石が見つかったその場所の言葉を使うことが増えてきました。中国で見つかった恐竜の名前も、まず漢字表記の中国語で付けて、次にそれをアルファベット表記 (拼音) に直して、それをそのまま学名にしてしまうことがあります。
日本ではその中国語にもとづく学名を、さらにカタカナへ直すのですが、その直し方が書く人によっててんでばらばらで、しっちゃかめっちゃかになっているのです。
Dilong が「ディロン」だったり「ディロング」だったりするのは、まだいいほうです。同じ恐竜なのかなと推し量れますから。問題は Zizhongosaurus などの込み入った名前です。「ツーチョンゴサウルス」と「ジゾンゴサウルス」が同じ恐竜だとわかるでしょうか。
私は、中国語由来の単語を含む恐竜の名前は、なるべく中国語に近い書き方にするのがよいと思います。カタカナなら、
1. 漢字一字をできるだけ二拍一音節で読む
2. j/q/x はジャ行/チャ行/シャ行で読む
3. z/c/s はザ行/ツァ行/サ行で読む
4. zh/ch/sh はジャ行/チャ行/シャ行で読む
5. ng はンと読む (後ろに母音が付いたらン+ガ行で読む)
上の5つに沿って書くとよいと思います。漢字なら、
1. 新字体か康熙字典体にする
2. 漢音で読む
上の2つに沿って書くとよいと思います。
私はカタカナ表記でうだうだ揉めるより、漢字で一息に書いてしまった方がいさぎよくて好きです。始祖鳥 Archaeopteryx のように和名のほうがよく使われる恐竜もいますから、そんなにおかしな書き方ではないと思います。
例:
羽暴竜
Yutyrannus (ユーティラヌス)
華陽竜
Huayangosaurus (ファーヤンゴサウルス)
冠竜
Guanlong (グァンロン)
橋湾竜
Qiaowanlong (チャオワンロン)
奇翼竜
Yi qi (イー・チー)
金塔竜
Jintasaurus (ジンターサウルス)
蝴蝶竜
Hudiesaurus (フーディエサウルス)
彩虹竜
Caihong (ツァイホン)
資中竜
Zizhongosaurus (ジージョンゴサウルス)
粛州竜
Suzhousaurus (スージョウサウルス)
叙五竜
Xuwulong (シューウーロン)
諸城暴竜
Zhuchengtyrannus (ジューチェンティラヌス)
西峡爪竜
Xixianykus (シーシャーニクス)
大夏巨竜
Daxiatitan (ダーシャーティタン)
帝竜
Dilong (ディーロン)
天宇竜
Tianyulong (ティアンユーロン)
寐竜
Mei long (メイ・ロン)
蘭州竜
Lanzhousaurus (ランジョウサウルス)