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現代に転生した勇者は過去の記憶を取り戻し、再び聖剣を持って戦いへ赴く  作者: 八神 凪


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考察の真理愛


 「お風呂あがったわ、シュウ兄ちゃん、エリク……とマリアさん?」

 「おかえりー、フィオちゃん! ほら、布団ふかふか! スリートもふかふかー!」

 「戻ったか、今日はここで寝泊りを頼むよ。テントよりもマシだろう」

 「ああ、元の世界よりいい布団だ……」


 タオルを首にかけて部屋に入って来たフィオを迎え入れていれると、遊びに来ていた真理愛がアイスドラゴン猫のスリートを押し付け、エリクは枕に頬張りをしながら目を細めていた。


 「もう、何やってるのよ……あ、マリアさんお風呂に入ったばかりだから猫はちょっと……!?」

 「えー、可愛いのにー。それとフィオちゃんの方が年上だから呼び捨てでいいよ! それじゃトランプやろう、トランプ! あいた!?」

 「ちょっと落ち着け真理愛。すまない二人とも」

 「い、いや、いいけどよ……痛そうだな……」


 超がつくほどテンションが高い真理愛に拳骨を食らわし、エリク達に謝罪する。布団に蹲る真理愛を尻目に話を続けていく俺。


 「……ま、とりあえず明日は若杉さんの世話になるからよろしく頼むな。あの人は向こうで言う自警団みたいな職業で、味方なのは結構ありがたいんだ。二人から目を離さないように同行するから安心してくれ」

 「ありがとう、シュウ兄ちゃん。でも、これからどうなるのかしら……」

 「まあ、最悪こっちで生きていくしかないな。まあ、親父たちに会えなくなるのはちょっと寂しいけど」

 「諦めが早いなあ。魔王も国王も諦めてはいないだろうからチャンスはあるって」


 不安げなフィオに対しあっさりとしたエリクに嘆息していると、真理愛が起き上がり口を開く。

 

 「いたた……あ、ごめんスリートさん!? ……わたしはさっき聞いたばかりだからよく分からないんだけど、王様と魔王はどうしてこっちの世界に来ようとしてるんだろ?」

 「魔族からは聞けなかったけど……お前達は国王がここを狙っている理由は知っているか?」


 ようやく落ち着いて来たので改めて聞いてみるが――


 「いや、俺達はイルギットさんやジグさんと一緒にあの魔族とこっちへ来る、という指示だったんだ。行けば分かると言っていたけどまさか魔族と一緒だったとは思わなかった……」

 「その魔族って敵なの?」

 「ええ、勇者に封印された魔王をトップとした種族、それが魔族なの。いつ復活したのか分からないけど、恐らく地上を手に入れるため活動を開始したってところよ」

 「あれは強かったな……」


 エリクがしみじみ口にすると、真理愛が唇に指を当てて首を傾げながら俺達に言う。


 「……んー、国王さん達がこっちに世界へ来るのはその魔王が征服しようとしているからだと思うけど、魔族はどうしてこっちに来るのかな? 向こうを征服したらそれで良さそうだし」

 「あ」


 言われてみれば確かにそうだ。俺達は魔王だからというだけであちこちの世界を征服しようとしていると思っていたけど、魔族は脅威だけど、向こうの世界があればわざわざこっちへ攻め入る理由が無い。

 もしかしたら何か理由があるかもしれないけど、最近復活したのであればこの世界に何があるかもあまり把握できていないはず……


 「……こりゃ魔族も殺さず掴まえて吐かせないとダメだな……」

 「こっちに来れば、だけどね」

 「はあ、とりあえず今のところは出来ることも無い。けど、逆に俺達が油断している時になにか起こるかもしれない。国王サイドはフィオ達が生きていることは知らないけど、魔王は知っている。注意だけは怠らないようにしよう」

 「私も気を付けるね! それじゃトランプしよー!」


 俺が話を締めると、二人はゆっくり頷く。その瞬間、勢いよくふすまが開き、結愛が入って来た。


 「話は聞かせてもらったわ!」

 「な……!?」


 まさかこいつ、ずっと聞き耳を……!? こいつが関わると面倒になるぞ……


 「私もトランプをする! 玲さんが居ないのは残念だけど、四人居れば十分……!!」

 「何時だと思ってんだ!? やる訳ないだろ! ほら、真理愛お前も家に帰るぞ、送っていくから」

 「えー、ちょっと……ちょっとだけ……明日の朝帰ってもいいし……」

 「いいわけあるか、学校だぞ明日は。ほら」

 「うええー……フィオちゃん、エリク君また明日ねー……」

 「じゃあ、私は二人とお話しているねー。はい、アイス」

 「あ、ありがとう……」


 俺が真理愛を引きずると、どこからともなく取り出したアイスを二人に渡しているのが見えた。


 ――しかし真理愛の言う通り、国王サイドより魔王達の方が気になる。もう一度誰か来ないものか、そう思いながら真理愛を家に帰すのだったとさ。

 

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