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現代に転生した勇者は過去の記憶を取り戻し、再び聖剣を持って戦いへ赴く  作者: 八神 凪


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八塚へのお願い


 というわけで昼休み。

 八塚を交えた四人で飯を食いながら、他愛ない話に花を咲かせている。もちろん話題は昨日拾ったスリートのことだ。


 「えー! 修君も猫を飼い始めたの! いいわね、今度スメラギと一緒に会いに行っていい!?」

 「ああ、構わないぞ。……って、なんだ『修君』って」

 「え? 真理愛が修ちゃんって呼んでいるし、いいかなって思うんだけど?」

 

 真理愛も名前呼びになっているし、まあいいかと思っていると、霧夜が口を開く。


 「いいなお前は……美少女二人に名前呼び……」

 「お前も呼んでもらえばいいだろ……」

 「自分から『俺も名前で呼んでくれ』なんて言えるか! まあ、別にどっちでもいいんだけどな」

 「なんだよ!?」

 「ねえ、今日行ってもいいかな?」

 「行こう行こう!」


 と、霧夜とアホな話をしていると、八塚と真理愛が身を乗り出して俺の家に来ると目を輝かせていたが、それを手で制して八塚へ言う。


 「……実は八塚の誘拐事件について話したいことがあるんだ。で、それで会って欲しい人がいるんだが今日都合はどうだ?」

 「え……?」


 その瞬間、八塚の顔がサッと翳り、申し訳ないなと思いながら続ける。


 「やっぱ難しいか……?」

 「……ううん、いいわ! 何の話か分からないけど、私を助けようとしてくれた人ってことよね? だったら、もちろん協力させてもらうわ」

 「わたしも行っていい?」

 「ああ、俺達と同い年くらいだし会ってくれると助かるよ」

 「オッケー。なら放課後だな」

 

 霧夜がそう言い、後は猫談義で昼休みを終えた。

 そして放課後になると、俺達は八塚の車は使わずに歩いて例の廃ビルへ行くことに。


 「こ、ここ?」

 「ああ、こっちだ」

 「修ちゃんこういうところ好きだよね、この前も怒られてたのに」

 「まあ男ってのはそういうもんだよ」


 霧夜が謎のフォローをしてくれながら廃ビルの階段を上がっていき、オフィスフロアだった場所へ到着する。

 適当に修繕した扉をノックすると、中からフィオの声が聞こえてきた。

 

 「はーい、シュウ兄ちゃん?」

 「ああ、入っていいか?」

 「いいわよー」


 「……女の子の声……?」

 「……フフ、修ちゃんったらお仕置きが必要かなあ?」

 「ひぃ!?」


 なんか後ろで霧夜が短く呻いたので振り返ったが、真理愛と八塚がニコニコしている姿があっただけだった。


 「どうした? 早く来いよ」

 「おじゃましまーす」

 「あ、お友達も連れてきたの?」

 「ああ、ちょっと話が――」


 中へ入ると、テントの中からフィオが出てきて、笑いかけてくると八塚と真理愛がずいっと前に出て喋り出した。


 「修ちゃんとどういう知り合いなのかなあ?」

 「こんなところでテント生活……もしかして修君を騙していたりしない!?」

 「え? えっと、あなた達は……?」

 「こら!? お前等失礼だろうが!? すまんフィオ、エリクも呼んできてくれ」

 「う、うん……」


 テントに引っ込むフィオを尻目に、俺は鼻息の荒いふたりの肩を引いて落ち着かせる。


 「な、名前……が、外国人さんかな……?」

 「も、もう一人いるの?」

 「どういう知り合いなんだ?」

 

 女子二人が戦々恐々としているところで、霧夜が俺に尋ねてきた。


 「えっと、今の子ともう一人はちょっととある理由で家を出ていてな。あの工場に隠れて住んでいたんだけど、八塚達誘拐された人が運び込まれたことに気づいたんだ。で、あの日誘拐犯が帰って来たところで犯人に見つかり、揉めている最中に爆発事故が発生してな。俺もあの日、近くに居たんだけど、慌てて逃げてきたのを助けたんだ」


 ……少し苦しい話だと自分でも思うが、工場に行っていたのも本当だし犯人が爆発させたのも嘘じゃない。警察があんなに早く動いていたのは正直よく分からないけど。

 

 「そ、それじゃ私が眠っている間……」

 「ああ。気にかけてくれていたらしい」

 「そ、そうなんだ……」


 八塚はびっくりした顔でテントを見ていると、フィオとエリクが出てきた。


 「ふあ……あれ、シュウの兄貴……来てたんだ? それに知らない人が……?」

 「そうだ。こっちがフィオで男がエリク。二人は身寄りもないらしい、八塚の親父さんのツテで家とか仕事、何とかならないもんか?」

 「え? う、うーん、外国人だったらビザとかが必要だし……」

 「すまん! そこをなんとか頼めないか一応命の恩人でもあるんだ」


 するとそこで俺達の後ろで声がかかる。


 「その話、僕も聞かせて欲しいね? あの工場に居たなら、犯人の顔を見ているだろ?」

 「え? ……げ、若杉さん!?」


 入り口を背にして立つ、刑事の若杉さんの姿があった。

 な、なんでこの人がここに……?

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