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どうして貴女がここに?


「……失礼します」


 私は何度も転んだウルさんと、あと何故かついてきたオトハさんと一緒に、保健室の扉を開けました。


 転びまくったせいであちこちに傷ができており、流石に消毒くらいはしよう、という話になったからです。


 そうしてウルさんと行こうとしたら、向こうで全ての人を薙ぎ倒してきたらしいオトハさんが、わたしも行く、と言ってこちらに来ました。


 チラリ、と向こう側を見てみると、何故か味方の筈のシマオまで目を回して倒れていたので、私は華麗に理解を放棄して、はい、と応えました。


「……あら、アンタ達。何しに来たのよ?」


「「ブーーーーーーーーーーーッ!?」」


『な、な、何でいるのお母さんッ!?』


 中で出迎えてくれたのは、いつもの物腰の柔らかいお婆ちゃん……ではなく、なんとフランシスさんでした。


 吹き出した私とウルさんの隣で、オトハさんが慌ただしく魔導手話をされています。


「何でって。腰をやったお婆ちゃん先生の代わりに私が臨時で入ったからに決まってるじゃない」


『聞いてないからッ!』


「そりゃそうよ。だって周知されるの明日の予定だし、今日は荷物置きにきただけよ」


『あとどうして学校でもその格好なのッ!? ウルちゃんッ!』


「はいよッ!」


「ぎゃぁぁぁあああああああああああああああああああああッ!」


 そして私が男の性に従って、下着の上に白衣しか着ていないフランシスさんの魅惑の生足に目がいっていた所で、ウルさんから目潰しを喰らイッたぁぁぁあああッ!!!


「ちょっと。怪我増やさないでよ、仕事が増えるじゃない」


「大丈夫です、ボクの指細いんで」


「あらそう?」


「いや大丈夫じゃないですからァッ!」


 目に入れられた指をこう、クイっと動かされたような気がするのですが気のせいでしょうか気のせいじゃないわめっちゃ痛いんですよコレェェェッ!!!


 あと何でフランシスさんはすぐ納得してるんです!? あの説明、因果関係が迷子でしたよ!? 仮にも保健の先生がそんなんでいいんですかッ!?


『……それで、お母さん。学校もそうだけど、そもそもどうして人国にいるの? エルフの里にいる筈なんじゃ……』


「ああそっち? 私、人国に亡命してきたのよ」


「『「えええええええッ!?」』」


 またしても衝撃的な事実が。本当にこの人と会うと、驚かされてばかりです。


『な、なんで……?』


「何でって、こっちの方が待遇が良かったからよ。うるさい輩もいないし……ま、こっちはこっちで生計立てなきゃいけないのは面倒くさいけど」


 色々と聞いてはみますが、適当にしかお返事してくれないので、イマイチ詳細が掴めません。


 とりあえずオトハさんのお母さんである彼女が、保健室の先生になったことはわかりました。


「んで、何しに来たのよ? 冷やかし?」


「い、いえ、その……私とウルさんが結構擦りむいたりしたので、消毒をと……」


「あっそ。なら、そのままそこに立ってなさい」


 すると、フランシスさんは手際良く私達の傷口を確認、消毒等を行ってくれました。ささっと終わってしまい、あっという間、という単語を肌で感じます。


 あと彼女が近づいた際に、白衣の隙間から色々見えそうと目を動かそうとしたら、オトハさんとウルさんの手で顔面を真正面に固定されたので、何も見えませんでしたガッデム。


「はい終わり。んじゃ、さっさと行きなさい」


「ど、どうも……」


「あ、ありがとう、ございました……」


『……お母さん』


 さっさと私達を追い出そうとするフランシスさんに対して、オトハさんが話しかけます。


「……なに?」


『……ううん。何でも、ない……』


「……そ」


「オトちゃん……」


『……行こう。二人とも』


「……わかりました」


 何か伝えようとしたオトハさんでしたが、結局何も言えないまま、私達は保健室を後にしました。

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