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魔弾の錬金術師は復讐に生きる ~亡き最愛の妻は吸血鬼だった~  作者: 結城 からく


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第85話 錬金術師は共闘する

 冷静さを取り戻した私は、テッドとの共闘を意識した。

 即席ながらも連携を組んで対抗していく。


 伯爵が大剣による刺突を繰り出す。

 豪快ながらも洗練されていた。

 暴風を伴う一撃だ。

 まともに受ければ只では済まないだろう。


 私は身を捻って接近する。

 刃が脇腹に刺さり、肋骨と肉と削り飛ばした。

 切っ先が背中へと抜けていく。

 私はそこから強引に踏み込むと、精霊銃を持ち上げた。


 装填されているのは貫通の魔弾だった。

 躊躇いなく引き金を絞る。


 伯爵は驚異的な反応速度で上体を反らす。

 弾丸が鎧の胸部を掠めていく。

 一部分が割れるも、伯爵を傷付けるまでには至らなかった。


 すぐさま反撃の大剣が襲いかかる。

 私は後退して回避――いや、失敗した。

 斬られた腹を一瞥する。

 血が溢れて臓腑がはみ出していた。

 私は片手で押し込んで無理やり治癒する。


(再生が追いつかなくなりそうだ)


 私は精霊銃の残弾を確認する。

 装填されているのは一発で、身体強化の魔弾のみだ。

 他は撃ち尽くしたので装填し直す必要がある。


 その間に伯爵が高速で迫る。

 大上段に構えた愛剣を叩き付けようとしていた。

 いくら吸血鬼とは言え、肉体を縦に割れるのは不味い。


 私は精霊銃を自らの顎下に当てて発砲する。

 撃ち込まれた身体強化の魔弾が作用し、肉体の軋みが加速した。

 膨れ上がる激痛が力へと変換される。

 私は肥大化した黒い腕を振りかぶると、振り下ろされた大剣に殴りかかった。


 爆発と見紛わんばかりの衝撃。

 分厚い刃が私の拳を切り裂き、そのまま肘まで割り込んでくる。

 血飛沫が噴き上がって私と伯爵を濡らした。


「む」


 伯爵が短く唸る。

 刃が追撃のために引き抜かれようとするが、びくともしない。

 傷を塞ごうとする筋肉が刃を巻き込んで固定していた。

 勢いを失った大剣が逃れる術はない。


「……貴様」


 伯爵が眼光を鋭くなる。

 その背後にテッドがいた。


 彼の刃が振るわれるのと、伯爵が振り向きざまに蹴りを放つのは同時だった。

 高々と宙を舞ったテッドは回転しながら着地する。

 何度か咳き込み、仮面の隙間から血が垂れた。


 一方で伯爵は片腕が垂れ下がっていた。

 手は大剣の柄を離しており、肘の部分から出血している。

 テッドのナイフが鎧の関節部に突き込まれたのだろう。

 蹴り飛ばされながらも反撃は成功したようだ。


 テッドは吐いた血で服を汚しながら呻く。


「は、はは……割に合わねぇ仕事だな。まあ不老不死のためなら力を尽くすがね。あんたも踏ん張っていけよ」


 最後の言葉が私に向けられたものだった。

 私は無言で頷くと、飛び退いて伯爵から距離を取る。

 そして、右腕にめり込んだ大剣を掴んで引き抜いた。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ライリーもテッドもかなりのダメージを負っているが、 伯爵も無傷では済んでいない。 形勢はまだ伯爵の方が有利か? [一言] 続きも楽しみにしています!
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