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魔弾の錬金術師は復讐に生きる ~亡き最愛の妻は吸血鬼だった~  作者: 結城 からく


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第8話 錬金術師は新たな手がかりを知る

 帳簿には手がかりがないと見切りをつけた私は、次に店長の部屋へと赴いた。

 今夜は不在らしいので、扉を破壊して遠慮なく侵入する。


 そこ店員と共に資料類や私物を漁っていった。

 妻の遺骨に繋がる何かを探すうちに、隠し帳簿が見つかった。

 しかし、無関係な物品のやり取りばかりが記載されており、何の手がかりにもならない。

 残念ながら別件の犯罪行為のようだ。


「吸血鬼の骨なんて、ここ十数年は取り扱っていないはずよ。滅多に手に入らないもの」


「そうか」


 私は店員の言葉に応じながら考察する。

 隠し帳簿にも遺骨について載っていなかったということは、よほど不味い情報なのか。

 ここまで来て商会がまったく関わっていないとは考え難い。

 関与を否定するにしても、とりあえず可能な範囲まで調査してからだろう。


(責任者である店長なら、何か知っているのではないか?)


 私は小型の金庫を踏み潰しながら思う。

 中から出てくるのは、金貨や宝石ばかりだった。

 違法な蓄えかもしれないが、やはり私には関係ない。

 当面の資金として、金貨だけ貰っておく。


 一旦手を止めた私は、散らかった室内を見渡す。

 整理されていた部屋が、見るも無残な状態となっていた。

 懐は潤ったものの、肝心の手がかりは一向に見つからない。


 部屋の端では店員が捜索作業を手助けしてくれていた。

 だが、同じく成果は無さそうだった。


(徹底して証拠を残していないようだ)


 少なくとも商会内部には存在しない。

 どこか別の場所にあるのか。

 もしくは別の方面から手がかりを探った方がいいのかもしれない。


 たとえば襲撃に関わっていた傭兵達だ。

 案内役の二人組は既に殺したが、実行犯は他にまだ残っている。


 商会に所属しているとのことなので、彼らの行方を掴んでそこから遺骨を探すのがいいかもしれなかった。

 一見すると遠回りのように思えるが、こういう時こそ焦らず冷静にいくべきだ。


「商会に所属する傭兵達はどこにいる」


「ここの支店では傭兵なんて雇っていないわ。そういえば、別の支店から派遣された傭兵はいたけれど……」


「その傭兵達だ。まだこの店にいるのか?」


 私は思わず店員に詰め寄った。

 店員は後ずさりながら慌てて答える。


「も、もういないわ! 急いで元の支店に戻って行ったの! 店長とだけ話していたから、詳しいことは本当に知らないわ」


「なるほどな……」


 店員の証言からだんだんと話が見えてきた。


 こことは別の支店から傭兵達が派遣されてきた。

 目的は吸血鬼の骨で、ここの店長が中継役として支援した。

 そこから現地の傭兵を引き連れて、私を襲撃した。


「別の支店とは具体的にどこだ?」


「それも知らない。店長がそう言っていただけだから……」


「本当だな?」


「嘘なんてつかないわ! 殺されたくないもの!」


 店員が必死になって主張する。

 彼女は向けられた銃口を恐れながら論じていた。


「店長はどこにいる?」


「……自宅にいるはずよ」


「では、店長の自宅の場所を教えてほしい」


「彼を殺すつもり?」


 店員はじっと私を見て問いかけてくる。

 私は少しの思考を挟んで首を振った。


「そのつもりはない。ただ骨の行方を知りたいだけだ」


「あ、あなたにとって吸血鬼の骨は――」


 店員がさらに疑問を口にしようとしたその時、部屋の扉が蹴り開かれた。

 私は片手を伸ばすと、咄嗟に店員を引き寄せる。


「何をしている!」


 そこに立つのは屈強な体格の男だった。

 この店の警備員だろう。

 手には拳銃が握られており、しっかりと私を狙っていた。

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