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魔弾の錬金術師は復讐に生きる ~亡き最愛の妻は吸血鬼だった~  作者: 結城 からく


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第73話 錬金術師は黒幕を定める

 ほどなくしてテッドは帰ってきた。

 彼は何事も無く食事を始める。


 貪るのは味気ない携帯食だ。

 通りに出れば、もっと美味いものがあるはずだった。

 そう言ったのだが、テッドはこれでいいと答える。


 食事に関してこだわりがないのかと思ったものの、きっとそうでもない。

 彼は酒好きだった。

 単純に仕事中は余計な飲食を好まないのだろう。


 テッドは私と契約を交わしている身だ。

 そして現在は仕事中であった。


 意外と律儀な性格なのかもしれない。

 テッドは仕事意識が高い。

 いや、それくらい徹底しなければ、彼のような強さは手に入らないのか。


 テッドは手早く食事を済ませると本題を切り出す。


「それで、遺骨を求める黒幕はどこのどいつだ。さっさと殺してやろうぜ」


 期待の眼差しに対し、私は小さく頷いた。

 一呼吸を置いて答える。


「――この国の伯爵。国を牛耳る悪徳貴族だ」


 それが拷問で引き出した真実であった。

 私の平穏を壊した元凶はナリア公国の大貴族だった。

 瀕死の店長に何度も確認したので間違いない情報である。


 遺骨を求めているのは伯爵自身とのことだった。

 つまりこれまで繰り返された仲介ではなく、伯爵こそが真の黒幕ということであった。


 それを聞いたテッドは感心したような声を洩らす。


「へぇ、そいつはまた大物だな」


「知っていたのか」


「当然さ。何度か依頼を受けたことがある。逆に伯爵が標的だった依頼も来たな。残らず断ったがね」


 テッドは超人的な能力を持つ暗殺者だ。

 私は専門外だが、その手の界隈では名が知れているのだろう。

 実際の戦いぶりを目にしている身からすると、納得の評判だと思う。

 彼に暗殺を任せれば、万に一つも失敗はあるまい。


 それにしても、テッドの語りに気になる部分があった。

 私は嫌な予感を覚えながらも尋ねる。


「なぜ伯爵暗殺を断ったんだ」


「成功しないと分かっていたからさ。伯爵は重度の心配症でね。いつどんな時だって暗殺対策を講じている。あれは俺でも破れんな」


「それほどまでに厳重なのか」


「ああ、笑っちまうくらいに厳重だ。あれなら国王を殺る方がまだ簡単だな」


 テッドは自嘲気味に呟く。

 言葉の端々に悔しさが滲んでいた。


 彼は自らの暗殺能力の高さを正確に把握している。

 だからこそ伯爵は殺せないと結論付けた。

 本当は殺したいのかもしれない。

 真実を聞いたテッドの目は、爛々と輝いていた。


 彼ほどの達人でも殺せないほどの存在とは、私の復讐相手は相当に厄介らしい。

 しかし、それで臆することはない。

 伯爵の殺害がどれだけ困難でも、私はやるべきことを成し遂げるだけだ。

 どんな手段を使おうと遺骨を取り返さねばならない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! テッドがライリーと手を組んだのは単なる気まぐれでは無く、 テッドなりの思惑が有る事をうかがわせる回だと思います。 [気になる点] テッドをして「あれなら国王…
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