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魔弾の錬金術師は復讐に生きる ~亡き最愛の妻は吸血鬼だった~  作者: 結城 からく


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第71話 錬金術師は情報を得る

 その日の明け方。

 私は廃屋の階段を下りて外に出た。

 血みどろの両手を外套で拭うと、前方に視線を向ける。


 廃材に腰かけるのは暗殺者テッドだった。

 彼は仮面の隙間から頬を掻くと、これ見よがしに欠伸を洩らす。


「随分と時間がかかったな。見かけに違わず陰湿ってわけかい、はは」


 慣れ親しんだ皮肉。

 別段、悪い気はしなかった。

 これが彼の平常通りの言動であると分かっているからか。

 協力関係となったことで、ある程度は寛容になっているのかもしれない。


 私が無反応なのを見て、テッドは少し残念そうに話題を変える。


「死体はどうしたんだ?」


「部屋に捨ててある。いずれ誰かが見つけるだろう」


 別に隠しているわけでもない。

 このスラム街なら、浮浪者のうち誰かが発見するはずだ。

 そして持ち物を漁ろうとする。

 死体は指輪等の装飾品を身に付けていた。

 売ればそれなりの価格になるだろう。


 言うまでもないが、私が殺したのは商会の店長である。

 長時間に渡る拷問の末に始末した。

 元から逃がすつもりはなかった。

 依頼された形とは言え、彼が策略を巡らせた結果、私の平穏は壊される羽目になったのだ。

 当然の報いだろう。


「まさかレドナリア商会の責任者が、こんな惨めな死に方をするとはな。悪いことをはするもんじゃない」


「暗殺は悪行に入らないのか」


「俺はただ契約に従って仕事をこなすだけだ。そこに善も悪もない」


 テッドは冷めた調子で述べる。

 仕事をこなすという観点では、店長も一応はそうだろう。

 ただ、それを指摘する者はこの場にいなかった。


 私もテッドも善悪など興味がないのだ。

 互いに自己利益を優先して行動している。

 そうでなければこのような凶行に走るはずもなかった。


 立ち上がったテッドは、朝日に目を細めながら問いかけてくる。


「ところで、情報は吐かせられたのか」


「必要なことはすべて知れた」


「そうかい。澄ました顔でよく言うぜ。俺がいなけりゃ、早々と店長を殺してたってのに」


 テッドが肩をすくめて言う。


 確かに彼の言う通りであった。

 私の力加減が悪すぎたせいで、何度か店長を殺しそうになった。

 もしもテッドが応急処置を施さなければ、情報を得る前に死んでいただろう。

 途中からは冷静になったものの、あれは明確な失敗だった。


 だから私は素直に頭を下げる。


「感謝している」


「その気持ちが本当なら、報酬を上乗せしてくれよ」


「考えておく」


 軽口を叩くテッドに、私は無表情で応じた。

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