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魔弾の錬金術師は復讐に生きる ~亡き最愛の妻は吸血鬼だった~  作者: 結城 からく


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第18話 錬金術師は蹂躙に介入する

 遠くの人々を認識した途端、私は走ってそちらに向かう。

 無視してもいいが、なんとなく見逃せなかった。


 些細な善行が人間性を繋ぎ止めている。

 そんな気がした。

 いや、自分に言い聞かせているだけだろうか。

 はっきりとした結論は出せない。


 私は片目に巻いた包帯に触れる。

 街を出発するために行った処置だ。


 走りながら包帯を解く。

 視界は僅かに霞んでいるが、ほとんど全快していた。

 弾丸に穿たれた箇所は治癒が済んだようだ。


 怪物になった私は、優れた再生能力が働いている。

 これくらいの傷は問題にならないらしい。

 同じく千切れ飛んだ指も回復している。

 まだ少し短いものの、動かす分には不自由もなかった。


 私は止まらずに全力疾走する。

 身体能力に任せて加速し、何の苦も無く彼らに接近していった。

 そのうち状況の詳細が見えてくる。


 逃げる三人の男女は、装いからして旅人に近かった。

 ただし、軽い武装はしている上に魔術らしき者もいる。

 おそらくは駆け出しの冒険者だろう。


 それを追いかけるのは男達の集団だ。

 暗い色合いの服で、サーベルや銃や酒瓶を掲げていた。


 数人は馬にも乗っているが、わざと速度を緩めている。

 下卑た笑い声からして、旅人達を追い詰めて楽しんでいるようだ。

 おそらくは盗賊と思われた。


 冒険者達は疲弊していた。

 あれではいずれ追いつかれる。

 人数差で勝てるとは思えないので、悲惨な結末が待っているだろう。


「…………」


 無言の私は、両手に握る拳銃とナイフを意識する。

 巡る思考は戦うためのそれへと切り替わりつつあった。

 静かに冷え切って、この状況の打開へと移っていく。


 さらに加速した私は、盗賊達の背後を取った。

 追うことばかりに夢中になっているせいか、彼らはやはり気付いていない。


 私は拳銃から改造散弾銃に持ち替えると、狙いを付けて発砲した。

 散らばった弾が前方の盗賊達に炸裂する。


「うおおあああああっ!?」


「痛ぇっ!」


 被弾した数人が転倒した。

 馬が嘶いてひっくり返り、慌てる乗り手を落ち潰す。


 さらに転倒した盗賊達が燃え上がった。

 悲鳴を上げて悶絶し、全身が焼け焦げて黒くなっていく。

 ほどなくして力尽きた。


 残る盗賊達は足を止めて私を見る。

 さらに前方では冒険者達も停止し、不安げにこちらを眺めている。


(温存すると決めたのだがな……)


 私は散弾銃の再装填を行いながら思う。

 淀みなく動く手は、燃える魔弾を込める最中だった。

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