嵐の後に咲く向日葵
あるところにお金持ちだが、生まれつき身体が弱く病を患っていた少女がいた。その少女の病は酷く、ベッドからほぼ動けなかった。
その少女は夏になると窓から見える向日葵畑が楽しみだった。少女の家の向日葵畑は広く、白い塀までずっと続いていた。
向日葵畑を管理していたのは、無口な庭師でよく自分の、花を作品だと言って、自慢にしていた。そんな庭師は少女のために花を育て、少女に見せて少女を喜ばせていた。
向日葵畑の向日葵が散る頃、少女の病が悪化した。少女は食事も取れぬほど衰弱し、
「この向日葵畑の向日葵が全て散る頃には私の命も散るでしょう。」
と、向日葵を見る度に言っていた。咲いている向日葵の数が3分の1程までに減ると、少女は頻りに向日葵畑を見て、向日葵がまだ咲いていると安堵していた。
向日葵畑の向日葵の数が更に少なくなった日に、時期外れの嵐がきた。向日葵が心配になり庭師が様子を見に来たときにはもう、向日葵全部倒れていた。それを見た庭師は急いで部屋に戻り、筆とパレットを持ってきた。そうすると庭師は白い塀に絵を描き始めた。
少女が目を覚まし、不安を抱えながらも向日葵畑を見ると、遠く白い塀のところに向日葵が咲いているのを見つけた。それを見つけた少女は涙を流し、まだ生きていられると安堵した。
その向日葵は少女が見た中で一番美しかった。