3人の男達の話
あるところに3人の男がいました。ここでは彼らをA、B、Cと呼ぶことにします。
AとBはごく普通の男でした。AもBもそれぞれ別のグループに所属しており、2人にはあまり関わりがありませんでした。話しかけたりすることもなく、かといって仲が悪いというわけでもありませんでした。
Cは乱暴な男でした。しょっちゅう誰かをそそのかしては気に入らないやつを攻撃していました。自分勝手ではありますが信念を持っていて人を言いくるめるのが上手い男でした。
ある日Bは盗みを犯しました。それを知ったAは驚きはしたものの深入りすることはしませんでした。しかしCはそうではありませんでした。どうしても盗みを許せなかったのです。そこで彼はAに話しました。一緒にBを懲らしめようと。Aは乗り気ではありませんでしたが仕方なく付き合うことにしました。
CはAを後ろ盾にしてBを責め立てました。CのBに対する憎しみはあまりにも強く、果てにはBを殺すに至ってしまいました。これを受け、人々はCを責め立てようかと思いましたが、AがCの味方をしていると知り、ほとんどの人はCが正当であると感じました。
時間が経ち、Cを責める人々は今やもう一人もいません。同時にBという犠牲がいたことは皆忘れてしまっていることでしょう。
A、B、Cにはそれぞれ「善」、「悪」、「正義」という名前がありました。
2作目です。説教くさいお話になってしまったかもしれません。読んで下さりありがとうございます。