表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キラメキDaughters(ドーターズ)  作者: 千賢光太郎
3話:夢からいきなり現実に戻されたら、運気が落ちてひどい目にあった
8/55

アイドルとしてライブを開くことになったのだが

今日から3話です。

語り手は明日谷大和君、普段の一人称は「俺」です。


「やっほ、大和君、いい夢見れた?」


俺は目を開けた。現在、午後11時。ちょうど寝ようと布団にもぐったときだ。


「どこから出てきているんだ」


なんと、布団の中から由良が顔を出した。いつもの衣装。ニコニコ微笑み、俺の手を握る。


「大和君を驚かせようと思ったの」


――あなたから一言


いやいや、あんたは何を言っているんだ。俺に何を期待しているのさ。


「大和君、どうしたの、お月様と話をしているようだけど」

「なんでもない」


由良が俺の手を引っ張り、アルムの世界へ連れて行った。


「大和様」


愛良が俺に抱き着いた。愛良ちゃんと俺の手が偶然触れたあの時を思い出す。しかしそれだけだ。愛良ちゃんと違い、愛良からドキドキした感情がわかない。うれしいはずなのに。


「大和様、いきなりですが30分後に私たちはライブを行います」

「ライブ?」


俺は由良を見ると、彼女はマイクを持って歌いだした。張り切った声で、空も黄色く輝いている。


「大和君も出るんだよ、私たちと一緒に」

「え?」


俺はもう一度聞いた。由良は同じ答えを返した。


「もちろん、私も出演します。後、マナテやカナセもダンサーとして手伝います」


愛良が自分の胸に手を当てた。


「僕は何を歌うか知らないし、何を踊るかもわからないのだけど」

「大丈夫ですよ、大和様が変身をすれば、勝手に踊りますから」


愛良も踊るしぐさを始めた。由良が歌い終えて、俺を見る。


「準備運動を終えたし、ライブをしなければ。大和君、行くよ。愛良、先に行っているから」

「由良、会場についたら変身をしなさい。じゃないと」


愛良が何かを言ったが、聞こえなかった。由良は俺の手を握り、足をタイヤのように回し、大きなコンサートホールへ連れて行った。うわあ、ぶつかるぶつかる。


「ぶるるるうるるるわああぁぁぁ~」


時速100キロで走る。頼む、由良、俺に少し考える時間をちょうだい。あんたはこの展開についていける? 俺は全くついていけない。せめて制限速度に従って走ってもらいたいものだ。


「ついたよ」


由良がぴたりと止まる。コンサートホールは大きかった。すまない、頭の整理が未だに追いついていないんだ。白い壁に太陽をかたどっている。屋内でやるらしい。


「大和君、疲れている?」


俺は答えない、由良が俺をじぃっとみる。由良がいきなり抱き着いた。胸の谷間に俺の顔が挟まる。


「大和君、い、今だけだからね。私が大和君に元気を与えるためだからね」


う、うれしいが息も苦しい。


「由良、あ、ありがとう。由良の気遣いはとてもうれしいよ」


彼女が俺の頭をなでる。


「さ、大和君、ライブだよ」


彼女は『アイドル専用入口ドア』を開けた。自動ドアではない。ドアノブもない。ただ、白く光り輝く扉があり、鳥居をくぐるような感覚で、部屋に入った。眼鏡をかけた金髪の女性が頭を下げる。


「由良アスナ様ですね」

「うん」


由良アスナって、確か由良のアイドル名だったはず。じゃあ愛良は愛良ココアになるのか。俺は大和ナデシコ……お、いいじゃないか。いやいや、恥ずかしい。


「そちらが由良アスナ様のパートナーですか。まさか、男?」


女性の質問に俺がうなずく。


「なんで男を連れてきたんだ」


低い声に由良と俺は驚いた。心臓を抜き取られ、握られた気分だ。


「や、や、大和君はそ、その、私のパートナーで」

「お前、ここに来る客層はみんな女目当てだ。そこに男がいて、お前とイチャイチャしていたら、どうするのよ。店の信用はがた落ちだし、何よりお前たち、殺されるぞ」


由良は泣き、俺に抱き着いた。気づけば俺も涙が流れていた。女性は指を鳴らす。


「男は消えろ」

お読みいただきありがとうございます。

続きは大和君が現実に戻されます。

戻った後、色々不幸な状況に合うみたいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ