大きなお花に食べられたお姫様とキラココア登場
お読みいただきありがとうございます。
明るくあなたの疲れを癒す話を描いていきます。
大和君が語っています。
あなたと話をするときは「俺」
人前だと「僕」
変身してナデシコになると「私」
ではよろしくお願いします。
「さて、ここから本題です」
愛良は一段階低い声を出した。現実世界の愛良ちゃんと夢世界の愛良。顔が似ているものの、別人だ。そこで夢世界において、彼女を呼び捨てにする。
「私たちが起こさねばならない士鶴お姫様、彼女は悪い魔女によって大きな植物に飲み込まれ、外から出られません。彼女を外から出すのが私たちの役目。その上、眠っている彼女を起こすために、キスをしなければなりません。今からお姫様を助けに行きましょう。マナカナ、私たちを乙女惑星スピカへ」
双子はうなずき、魔法を唱える。愛良と由良はそれぞれ俺の手を握り、異世界に入った。乙女惑星スピカはたくさんの乙女がいると思ったが、違うようだ。あたりはひまわりだらけ、太陽がまぶしい。正面にとても大きなヒマワリの花が咲いており、茎の一部が大きく膨らんでいた。あそこにお姫様がいるな。
ぐわり、ぐわり。
俺と同じ背丈のひまわり植物が根っこを足として、襲い掛かってきた。カナセがそいつを殴る。
「みなさん、変身を。ザコは私たちにお任せください」
「大和、二人の足を引っ張るなよ」
マナテはけりを、カナセはアッパーで、動くヒマワリ怪人を吹っ飛ばす。
「由良、大和様、楽しみましょ」
「だね、愛良。大和君、変身だよ」
あの言葉を言わなければならないのか――。
「「「輝け、私の希望――」」」
俺、由良、愛良の三人で同時に叫んだ。え、愛良も?
体が輝き、俺は「私」となった。愛良は由良と色違いの服装だ。ふっくらかつむっちりしたおなか。シアンを基調とし、黄色が混じったフリルの半そでにジャケット、スカート、ルーズソックス。髪の毛についている美香好きヘアバンド。
「暗き心に明るい光を、キラアスナ」
「枯れた心に花を咲かせよう、キラナデシコ」
「乾いた心に愛と潤いをもたらす、キラココア」
「我ら、キラメキDaughters」3人合わせて言う。
大きなヒマワリは私たちを見つめる。ぬるぬると枝が動き、葉っぱで中に包んでいるお姫様を守ろうとする。
「ひまわりに陽気な気持ちを与えましょう」
ココアが鳴子をならす。真っ暗な雲を吹き飛ばすような声を出した。
「よいさ、よいさ、パン・パン・パン。さあ、一緒に踊ろう。キラキラ星降る夜でだーんす」
アスナや私もココアに従い、踊り始める。大きなヒマワリの幹が少し揺れた。
カンパンカンパンカンパンパン。
いつの間にか私は微笑んでいた、好きな人に全身をなめられる感じだ。好きな人、誰だろう。愛良ちゃん?
何を言っているのかしら、私は女なのに、どうして同性を思ったのかしら。あら嫌だ。愛良ちゃんが私をなめる。一人、二人、三人……もう、これ以上私をなめないで。
「アスナ」
「はーい、ハピ☆ラキ!!な~る。ハッピーラッキーなるりんロード、イエイ!」
私とココアは由良に合わせて歌いだす。ひまわりは大きな葉っぱで花びらを閉じた。耳をふさいでいるようだ。別の枝を使って、アスナをつかむ。
「どーしてーーーー」
枝で彼女を縛る。脚、胸、腹、手、特に口。葉っぱがアスナの体をくすぐっている。口の中に透明な液を入れ、
「やめなさい、キラウィンドカッター」
ココアが鳴子を使い、剣で一振りするように思いっきりふると、風圧によって枝が切れた。アスナは「はぁ、はぁ」口を開け、イっちゃっている。
「どうやらアスナの歌はお気に召さなかったみたい。私の踊りで、植物は踊ってくれた――ということは」
ひまわりは私たちをにらむように、茎をうじゃうじゃと動かし、近づいてくる。後ろではマナテとカナセが小さいひまわり怪人を殴り、蹴り、魔法を使って倒している。双子は微笑んでいた。
私は扇子を持ち、散る桜の花びらを思い浮かべながら踊る。ひまわりは動かない。
「ナデシコ、私の後に踊って。さあ、お次はサンサカサンバ、太陽ふりそぎシェシェシェイ」
ココアが踊りだす。すると植物は花を咲かせ、ココアの後に従って踊りだした。
「あの花、将来は良いダンサーになれそうね」
私はうなずく。ココアに合わせて踊れば、体がじんと熱くなる。ジュクジュク。何かに触られ、なめられる感じだ。尻から背筋、首筋、脳に伝わってくる気持ちよさは何? 脳が得体のしれない快感に満たされている。はぁ、はぁ、私、どうしよう。息ができない。苦しいはずなのに、とても気持ちいい~~。
「美しい、ナデシコ」
ココアが顔を赤く染め、キラキラな瞳で私を見る。ぎゅっと抱き着くココア。私もぎゅううっと彼女を抱きしめる。
「私、体がはじけそうで我慢できない。私たちがキラメキの神様から授かった力は踊り。踊りは人の気分を高める。高まると理性が吹っ飛び、ヒトとしての本能だけが残る。ナデシコ、おいで、ほら、私はナデシコを求めている」
口と口がくっつきあう。アスナとはまた違う舌、冬ミカンのようなあつい唇。私は何か言いたいことがあるけれど、出てこない。気持ちよく、もっと気持ちよくなりたい。今、私は何をしているのだろう。体が勝手に動く、踊る、おどる、お……。
ゴハッ。
植物も回りだした。すると枝が絡まって、苦しみ始め、ひまわりの花から女の子が現れた。快楽が一気に消え、理性が戻る。すぐに私がお姫様を抱きしめた。ココアはアスナをだっこした。アスナはよだれを垂らし、眠っている。よほど気持ちよかったのだろう。
「アスナったら、どんな夢をみているのかしら。ナデシコ、今のうちにキスをして」
「え?」
「早く」
私はうなずき、士鶴姫に口づけをする。なんと柔らかい。アスナ、ココアとはさらに違う柔らかさ。生クリームをなめる感触だ。お姫様が目を開けた。にこりと微笑んだ。
「ありがとうございます。キラメキDaughters。さて、今、ひまわりさんをなだめますね」
お姫様は静かに手を合わせ、祈った。すると大きなヒマワリが眠りについた。何があったの。
「さあ、アルムの世界へ戻りましょう」
「士鶴姫、今、私がキスをするからね」
アスナは目を閉じたまま、ココアの唇に口をつけ、目を開けた――。
お読みいただきありがとうございます。
お姫様はアルムの世界における重要な人です。
では次回、現実の話に戻ります。