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キラメキDaughters(ドーターズ)  作者: 千賢光太郎
2話:僕の片思いする女の子が夢の世界にもいた
6/55

大きなお花に食べられたお姫様とキラココア登場

お読みいただきありがとうございます。

明るくあなたの疲れを癒す話を描いていきます。

大和君が語っています。

あなたと話をするときは「俺」

人前だと「僕」

変身してナデシコになると「私」

ではよろしくお願いします。

「さて、ここから本題です」


愛良は一段階低い声を出した。現実世界の愛良ちゃんと夢世界の愛良。顔が似ているものの、別人だ。そこで夢世界において、彼女を呼び捨てにする。


「私たちが起こさねばならない士鶴(しずる)お姫様、彼女は悪い魔女によって大きな植物に飲み込まれ、外から出られません。彼女を外から出すのが私たちの役目。その上、眠っている彼女を起こすために、キスをしなければなりません。今からお姫様を助けに行きましょう。マナカナ、私たちを乙女惑星スピカへ」


双子はうなずき、魔法を唱える。愛良と由良はそれぞれ俺の手を握り、異世界に入った。乙女惑星スピカはたくさんの乙女がいると思ったが、違うようだ。あたりはひまわりだらけ、太陽がまぶしい。正面にとても大きなヒマワリの花が咲いており、茎の一部が大きく膨らんでいた。あそこにお姫様がいるな。


ぐわり、ぐわり。


俺と同じ背丈のひまわり植物が根っこを足として、襲い掛かってきた。カナセがそいつを殴る。


「みなさん、変身を。ザコは私たちにお任せください」


「大和、二人の足を引っ張るなよ」


マナテはけりを、カナセはアッパーで、動くヒマワリ怪人を吹っ飛ばす。


「由良、大和様、楽しみましょ」

「だね、愛良。大和君、変身だよ」


あの言葉を言わなければならないのか――。


「「「輝け、私の希望――」」」


俺、由良、愛良の三人で同時に叫んだ。え、愛良も?

体が輝き、俺は「私」となった。愛良は由良と色違いの服装だ。ふっくらかつむっちりしたおなか。シアンを基調とし、黄色が混じったフリルの半そでにジャケット、スカート、ルーズソックス。髪の毛についている美香好きヘアバンド。


「暗き心に明るい光を、キラアスナ」

「枯れた心に花を咲かせよう、キラナデシコ」

「乾いた心に愛と潤いをもたらす、キラココア」

「我ら、キラメキDaughters(ドーターズ)」3人合わせて言う。


大きなヒマワリは私たちを見つめる。ぬるぬると枝が動き、葉っぱで中に包んでいるお姫様を守ろうとする。


「ひまわりに陽気な気持ちを与えましょう」


ココアが鳴子をならす。真っ暗な雲を吹き飛ばすような声を出した。


「よいさ、よいさ、パン・パン・パン。さあ、一緒に踊ろう。キラキラ星降る夜でだーんす」


アスナや私もココアに従い、踊り始める。大きなヒマワリの幹が少し揺れた。

カンパンカンパンカンパンパン。

いつの間にか私は微笑んでいた、好きな人に全身をなめられる感じだ。好きな人、誰だろう。愛良ちゃん?

何を言っているのかしら、私は女なのに、どうして同性を思ったのかしら。あら嫌だ。愛良ちゃんが私をなめる。一人、二人、三人……もう、これ以上私をなめないで。


「アスナ」


「はーい、ハピ☆ラキ!!な~る。ハッピーラッキーなるりんロード、イエイ!」


私とココアは由良に合わせて歌いだす。ひまわりは大きな葉っぱで花びらを閉じた。耳をふさいでいるようだ。別の枝を使って、アスナをつかむ。


「どーしてーーーー」


枝で彼女を縛る。脚、胸、腹、手、特に口。葉っぱがアスナの体をくすぐっている。口の中に透明な液を入れ、


「やめなさい、キラウィンドカッター」


ココアが鳴子を使い、剣で一振りするように思いっきりふると、風圧によって枝が切れた。アスナは「はぁ、はぁ」口を開け、イっちゃっている。


「どうやらアスナの歌はお気に召さなかったみたい。私の踊りで、植物は踊ってくれた――ということは」


ひまわりは私たちをにらむように、茎をうじゃうじゃと動かし、近づいてくる。後ろではマナテとカナセが小さいひまわり怪人を殴り、蹴り、魔法を使って倒している。双子は微笑んでいた。

私は扇子を持ち、散る桜の花びらを思い浮かべながら踊る。ひまわりは動かない。


「ナデシコ、私の後に踊って。さあ、お次はサンサカサンバ、太陽ふりそぎシェシェシェイ」


ココアが踊りだす。すると植物は花を咲かせ、ココアの後に従って踊りだした。


「あの花、将来は良いダンサーになれそうね」


私はうなずく。ココアに合わせて踊れば、体がじんと熱くなる。ジュクジュク。何かに触られ、なめられる感じだ。尻から背筋、首筋、脳に伝わってくる気持ちよさは何? 脳が得体のしれない快感に満たされている。はぁ、はぁ、私、どうしよう。息ができない。苦しいはずなのに、とても気持ちいい~~。


「美しい、ナデシコ」


ココアが顔を赤く染め、キラキラな瞳で私を見る。ぎゅっと抱き着くココア。私もぎゅううっと彼女を抱きしめる。


「私、体がはじけそうで我慢できない。私たちがキラメキの神様から授かった力は踊り。踊りは人の気分を高める。高まると理性が吹っ飛び、ヒトとしての本能だけが残る。ナデシコ、おいで、ほら、私はナデシコを求めている」


口と口がくっつきあう。アスナとはまた違う舌、冬ミカンのようなあつい唇。私は何か言いたいことがあるけれど、出てこない。気持ちよく、もっと気持ちよくなりたい。今、私は何をしているのだろう。体が勝手に動く、踊る、おどる、お……。


ゴハッ。


植物も回りだした。すると枝が絡まって、苦しみ始め、ひまわりの花から女の子が現れた。快楽が一気に消え、理性が戻る。すぐに私がお姫様を抱きしめた。ココアはアスナをだっこした。アスナはよだれを垂らし、眠っている。よほど気持ちよかったのだろう。


「アスナったら、どんな夢をみているのかしら。ナデシコ、今のうちにキスをして」

「え?」

「早く」


私はうなずき、士鶴姫に口づけをする。なんと柔らかい。アスナ、ココアとはさらに違う柔らかさ。生クリームをなめる感触だ。お姫様が目を開けた。にこりと微笑んだ。


「ありがとうございます。キラメキDaughters。さて、今、ひまわりさんをなだめますね」


お姫様は静かに手を合わせ、祈った。すると大きなヒマワリが眠りについた。何があったの。


「さあ、アルムの世界へ戻りましょう」

「士鶴姫、今、私がキスをするからね」


アスナは目を閉じたまま、ココアの唇に口をつけ、目を開けた――。

お読みいただきありがとうございます。

お姫様はアルムの世界における重要な人です。

では次回、現実の話に戻ります。


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