あれから20年後……終わりと新たな始まり
ここまでお読みいただきありがとうございます。
語り手は明日谷大和君、一人称は「俺」です。
第一部エンディングとなります。
「……すごい話ですね、お父様、お母様」
あんたに昔話を語り、あれから20年以上がたった今。俺の娘、沙良と萌香にも昔話を語る。
「どうしてママの名前は愛良でなく、由良なの? 別れたわけじゃないんでしょ、パパ」
長女の沙良が尋ねる。
「それはまたややこしいんだ。おそらくこの話が、お前たちが求めている話だと思う」
娘二人はこくりとうなずく。彼女たちは学校でとてもモテて、ファンクラブ(親衛隊)が作られているそうだ。
「あんたたちも想像できなかったでしょ。まさかお父さんが女の子になるなんて」
妻の由良――今は愛良ちゃんでない――は笑顔を娘たちに振りまく。
「ええ……ちょっとかわいいですわ、お父様」
末っ子の萌香が頬を桃色に染める。は、恥ずかしいなあ。
「愛良ちゃんが『愛良であり由良』でもあるようになったのは、俺が彼女に告白をしてから数か月後だ。俺は――」
この話は長くなるから、いったん休もう。
次は……愛良と、じゃなくて愛良ちゃんと付き合ってからの話だ。つい空を見上げると、月から虹がかかっている。ああ、士鶴姫あたりがまた、才能を見つけたのだろう。
そういえば……俺は大切なことを忘れている。普段はすっと出て来る、とても大切なことなのに、どうして今、それが浮かんでこないのだろう。感じてはいる。誰かが俺の名前を呼んでいる。でも姫でもなければアルムの世界いる愛良ちゃんでもない。
……誰だろう?
ありがとうございます。
初めて「長編」を書いてみましたが……行き当たりばったりなうえ、
色々試せてよかったと心から思っています。
次の話はキラメキDaughters