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キラメキDaughters(ドーターズ)  作者: 千賢光太郎
12話:気が付いたら俺、やっちまった
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最後のミッション:いざ、告白

おはようございます。

語り手は明日谷大和君、一人称は「俺」ですが……

今度こそ、影は浄化した。何者だったのか、私たちにはわからない。わかっても重大な問題ではない。私は変身を解いて、俺に戻る。愛良ちゃんが目を開けた。


「愛良ちゃん」

「大和君、ここは?」

「ここは夢の世界ですよ、愛良」


愛良ちゃんは自分そっくりの愛良に対し、ただ口を閉じてみている。


「すぐお別れになりますけれど、あなたを陰から支えてよかったと思います」

「あ、あなたですか。私がピンチな時に声をかけてくださったのは」

「ええ、そしてこちらにいる由良」


由良は手を振る。


「お姉ちゃんと違う」

「君のお姉ちゃん、確かに、私に似ているもんねえ。あ、でも君を守っているんだからね、後はそこにいる大和君も」


由良が俺を指さす。


「や、大和君」

「あ、愛良ちゃん……」


俺たちの間に温かい風が流れ込む。汗をかく、僕も、愛良ちゃんも。由良が俺に抱き着こうとするが、愛良に止められた。


「大和君、あ、あのね。私、何かに乗っ取られながらも、ずっと聞いていたよ。大和君が怒って、私を呼んでいた」

「愛良ちゃんには怒っていないよ」

「わかってるよ。大和君、みんな、ありがとう」


愛良ちゃんが僕に抱き着いた。顔が真っ赤だ。ものすごく震えている。熱い。言いなさい、言うんだ。カナセから馬鹿にされるぞ。


「あ、愛良ちゃん、お、僕は」


好きだと、言え。


「大和君、わ、私は」


あ、愛良ちゃん? 震えている、もしかして……。


「「好き」」


痛みが取れた、気持ちが大きく跳ね上がり、花火がなった。僕は、とうとう告白したんだ!


「愛良、やったね、とうとう告白できたね」

「これで遠慮なく、大和様とお付き合いができますわ」


由良に愛良が、愛良ちゃんに抱き着いた。わさわさと後ろから音がする。振り向くとマナテにカナセ、なぜか姉に美鈴までいた。

「やるじゃん、大和。みんなドキドキしてみていたのよ」

「姉ちゃん、美鈴、どうしてここに」

「私が連れてきたのです」


し、士鶴姫が忍び姿でいらっしゃる。


「この環境を解決するために、留奈さんに美鈴ちゃんにも手伝ってもらいました」

「大和さん、これで私も堂々と告白できますわ、大好きです」


マナテがくっつく。


「マナテ、須田愛良がいる前でやめろ、そ、それに大和ごときをみんなが好きになるなんて、う、浮気するだろ」

「かわいいこというんだね、カナセ」


美鈴がカナセのわき腹を軽くつっついた。


「ぼ、僕はかわいいことをいっているんじゃない。現実を言っているんだ。ったくみんなして大和に甘い考えを持ちすぎだ。こいつを浮気野郎にしたいのか? 僕は見たくないぞ、あっちこっちにうかうかするこいつの顔など」


カナセは僕をにらみ、頬をつねる。顔が桃色だ。


「な、ならないよ」

「今はそうでも、将来はわからないだろ。せっかくぼ、僕の中で好感度は高くなったのに、下がっちゃったよ」


カナセは親指と薬指の間を広げた。


「カナ君、まさかあんた、大和を好きなの?」


姉が言うと、彼女の顔が真っ赤に染まり、固まった。


「とりあえず、まずは美術館前に戻しましょう。待っている人もいますし」


姫がおっしゃると、由良たちはうなずき、僕と愛良ちゃんを元の世界へ戻した。手をつないでいた。


「お前ら……ふう、よかった。戻ってこれたんだな」


広が焦った顔を浮かべ、目の前に立っていた。


「広、お前、大丈夫だったか?」

「俺は大丈夫だよ、お前と愛良ちゃんが絵の中に吸い込まれたときは驚いて、色々やったんだけどな……まあ、戻ってこれてよかったよ。後、お前ら付き合ったんだな」


広が笑う。僕らは手を握ったままだ。お互い、離そうと全く思わない。広が深く頭を下げる。


「ど、どうしたんだよ、頭を下げて」

「お前らには本当にありがとうと、英ちゃんが言ってさ」

「英ちゃんって英子? どうして?」


広は頭を上げる。


「俺にもわからない。英ちゃんは大和と愛良ちゃんが付き合うの、嫌だったみたいだけどな。でも付き合ってもらわないと、英ちゃんにとって良くないことが起きるらしいんだと。俺にもわからないけどね」


広は俺たちに背を向けた。


「じゃあ、俺もちょっと用事ができたから帰るわ。デートの邪魔をする奴は誰もいないからさ」


広は走って帰った。俺と愛良ちゃんは互いの目を見る。恥ずかしい。


「愛良ちゃん」

「大和君……」


後ろの絵はにこっと微笑んでいた。

お読みいただきありがとうございます。

明日で一部最終回となる予定です。

告白って、命を使いますよね。

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