表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キラメキDaughters(ドーターズ)  作者: 千賢光太郎
12話:気が付いたら俺、やっちまった
53/55

愛良ちゃんがあいつに取られた(語り:大和)

語りはまた大和君に戻ります。


挿絵(By みてみん)


~問題の確認~


春はサラダ、シャキシャキと口の中で音がなり、いとをいし。

夏は漬物、キュウリや細長いニンジンを浅漬けでもんで、白身の固さぞをかし。

秋はすき焼き、水分が出るために入れぬ店もあれど、肉のおともにほくほくあつし。

冬は旬、キムチも肉団子スープも魚鍋、様々な調理にべりうまし。

なんと素敵な●●●●よ


「おそらく白菜、8931だ」


愛良ちゃんが8931の順にボタンを押し、スイッチを入れた。


ゴウン、ゴウンゴー。うわ、目の前が真っ暗になる。あ、愛良ちゃん――。


「大和君、大和君」


目を開けると、アスナがひざまくらして、俺の額を撫でていた。


「愛良、目をお覚まし下さい、きゃあ」


ココアが吹っ飛ばされ、俺のあそこを直撃する。痛すぎる。


「だ、大丈夫ですか、大和様」

「い、一体どうなっているんだ? 目を覚ましたら美術館にいて、またこっちに

戻ってきて……」

「くう、この体でもまあいいか」


目の前にいる愛良ちゃん――でなく、愛良ちゃんの形をした醜い男の声。


「貴様たちがいなければ、俺はあそこで一生、王様でいられた。くくく、こいつの体を使って、俺はこの世界で王様となろう。いや、神様となろう。お前たちは俺の奴隷となれ、神の命令は絶対」


王様だの、神様だの……こいつは願望をそのまま口に出している。今すぐ――か、体が動かない。ま、まさか――。


「効いている、はははははは、ならばアルムの世界にいるすべての存在は俺の命令に従う、神の命令は絶対」


空気がよどみ、また曇ってきた。紫と青と黒に覆われつつある。


「ははは、こちらでも俺の言霊は効果があったか。よし、まずは明日谷大和、俺に土下座」


体が勝手に動く。昨日、味わった苦痛をまた味わうのか。動け、抗え。


「お前みたいなやつは一番嫌いだ。少々かっこよくて、女にもてて、なおかつ俺をあの世界へ閉じ込めた。お前みたいなのは俺に踏まれ、醜くなった、お前のせいでな」


奴は俺を強く蹴る。なぜ俺は蹴られなければならないんだ。なぜ俺はこいつの言葉に従わねねばならない?


「お前もこれから醜い呪いをかけてやる、永遠に醜くてひざまずかれて」

「ふざけるな」

「あ”?」


俺は拳を強く握った。


「愛良ちゃんの体を乗っ取りやがって。お、れ……僕が好きな愛良ちゃんの体を」

「好き? うはははははははっははははは、なら貴様の前でこうしてやろう、ほら、ほら、立たないか?」


妖艶なポーズを俺の前で行う変態野郎。


「気に食わなければすぐ人を馬鹿にして、お前はそれしかできないのか?」


カナセのように全部言い切るんだ。ためらうな、体が愛良ちゃんだろうと、あいつは愛良ちゃんではない。


「僕たちがあそこでお前を浄化したとき、誰もお前を助けなかった。グヘ、気に食わないことがあればすぐに蹴る。グホ、一人で王様になって、命令してみんなが思い通りに動く。夢の世界だろうと、それがお前の現実だ」


奴は俺の腹を思い切り蹴飛ばした。感覚がなくなる。


「黙れ」


否定か、効いているんだな。


「う、うぐうう……黙れ、小娘」


奴はもう一度俺の頭を蹴った。しかし痛みはあまりなかった。頭を押さえて苦しんでいる。


「やめろ、言うことを聞け、俺の中にいる体は俺に従え、神の命令は絶対――なぜだ、なぜいうことを聞かない。やめろ、言うな、やめろ」


愛良ちゃんの中にいる怪物が転がって回っている。愛良ちゃんが説得をしているのだろうか?


「愛良……その調子です。そいつにきちんと言ってあげてください」


ココアは拳を握る。アスナが俺の手を強く握った。力がみなぎる。


「愛良ちゃん、負けるな、僕が、ついているから」


は、はっきり言った。僕は、はっきり言えた。ま、間違えた、あんたに語るときは俺だ、僕ではない……ご、ごめん。「落ち着け」と言ってくれてありがとう、あなた。


「大和君、変身」

「輝け、私の希望――」


俺はキラナデシコに姿を変える。


「暗き心に明るい光を、キラアスナ」

「枯れた心に花を咲かせよう、キラナデシコ」

「乾いた心に愛と潤いをもたらす、キラココア」

「我ら、キラメキDaughters」3人合わせて言う。

すぐさま私たちは三角形を作り、アスナが声を上げる。


「いえーい、自分に縛られるな♪ ハッピーラッキーなるりんろーど、いえい☆」

「いえい」

「ある晴れた、女の子~♪」


私たちは歌い始め、体が熱くなる。愛良ちゃんの手を握る。いや、愛良ちゃんの姿をした暴君の手を握る。


「さあ、一緒に歌いましょ、そして楽しく踊りましょ。一緒に楽しめば、私が言っていること、わかるわ」

「やめてくれ、それは」


私は敵である怪物の手を優しく握る。奴はおびえている。


「大丈夫、アスナ、歌を歌って」

「うん、きらめく世界からやってきた娘たち~♪」

「だからやめてくれ、俺はお前たちと一緒になりたくない。お、俺は王様でいたいんだ」


アスナがマイクを偽物愛良ちゃんの口に近づける。


「人はどうして違うのかな~♪」

「どうして? そんなのわからない~♪」

「さ、一緒に歌いましょ。あなたも私たちと同じ。あなたが知りたいものはここにある」


ココアが愛良ちゃんの手を握る。彼女はうなずき、一緒に歌いだした。愛良ちゃんが声を出しているのかもしれない。


「輝け~」

「か、輝け~やめ~輝くの~」


紫の影と声があった。影がどんどん黄色い光の泡へと変わる。


「俺は……俺は……」


光は涙を流し、粒へと消えていった。一瞬、幼い子が見えたんだけど、気のせい?


お読みいただきありがとうございます。

明日で一応、第一部最終回の予定でございます。

(あくまでも予定です)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ