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キラメキDaughters(ドーターズ)  作者: 千賢光太郎
12話:気が付いたら俺、やっちまった
51/55

いきなりアルムの世界に飛ばされた、何が起きているんだ?

語り手は明日谷大和君、

普段の一人称は「俺」人前だと「僕」

ナデシコに変身すると「私」になります。


いつもお読みいただきありがとうございます。

「大和君、どうしてここへ?」


由良と愛良が俺の前にいた。あ、あれ、愛良ちゃんは? 広は?


「由良が連れてきていないのに、どうして?」

「ど、どうしてって、こっちが聞きたいよ。愛良ちゃんらと美術館で絵を見ていた。その一枚が俺たちドーターズをモデルに描いていた。すると愛良ちゃんが絵の中に吸い込まれ、気が付いたら俺も吸い込まれ、ここにいる。ご、ごめん、何を言っているかわからないよね、二人とも」


しまった、つい二人の前で「俺」と言ってしまった。人前だと「ぼく」を使っているのに。

――どうして使い分けているのって? 独り言と人前で話をするとき、言葉の伝え方は違うでしょ。親しい人なら俺でもいいけれど、そうでない人の前で俺なんて言葉を使ったら、なんというか、生意気な少年とみられるんじゃないかって思って。


「一体、そっちで何が起きているのでしょう?」


愛良がつぶやいた。


「愛良、あ、愛良ちゃんは?」

「え、ここにいるわけありませんよ、須田愛良は」


う、うん、そうだよな。頭が混乱する。


「ふ、二人は何をやって」

「これからクスミを浄化しに行くんだよ。大和君、危ない!」


由良が俺を抱きかかえ、飛ぶ。俺の前に紫色の煙が渦を巻いて、こちらにやってくる。


「大和君が帰ってからすぐ、あの竜巻が現れたの。アルムにあんなのあるわけないのに」

「私たちが変身し、歌ったら、すぐに竜巻が消えるのですよ」


空は紫、キラキラ輝いていない。どんより曇っている。


「変身するよ、大和君。輝け、私の希望――」


由良がいい、俺もいい、愛良も言う。俺は私、ナデシコに姿を変えた。


「暗き心に明るい光を、キラアスナ」

「枯れた心に花を咲かせよう、キラナデシコ」

「乾いた心に愛と潤いをもたらす、キラココア」

「我ら、キラメキDaughters」


竜巻が3つに分かれ、勢いよく私たちにぶつかり、別な方へ吹っ飛ばす。


「さ、みんなで歌ってきらめく力を竜巻に与えるよ。ハッピーラッキーなるりんろーど☆、いえい」

「いえい」


アスナの歌に合わせ、私は体を動かす。心のもやもやが消えない。いつもなら誰かに抱かれるような、熱いものを感じるのに、体がかえって冷たくなっている。竜巻がすぐ消えた。消えて泡となった。空はまだ曇っている。


「珍しいね、曇った空なんて」

「ありえないんですよ、あの空は」


ココアは険しい顔を浮かべた。


「アルムの世界で、曇った空を見るのは初めてです。何かよろしくないことが起きている。紫色の影といえば、ヤナミが出すクスミ、昨日のプロキオンで、王様にとりついていた奴。何かが起きようとしています」


ピコンピコン、ココアの胸ポケットから、可愛い音が鳴る。


「マナテ、そっちに現れたの?」

「はい、一つ消えたらまた一つ発生する。誰かがこの世界を憎んでやっているとしか思えません」

「そ、そうかなあ」


ココアが私を見て、作り笑いを浮かべた。


「そうです、こんな怪しい雲など、今まで見たことありません。まさかですが、惑星プロキオンで浄化した、意地汚い奴が浄化しきれずに残っているとか」


寒気がする。あいつに触れられた感覚を、体はもちろん、心も忘れていない。


「それはないよ、マナテ、浄化していなかったら、煙の後がわかるもん」

「そうでしょうか? 状かしたら普通は光り輝くものですが、出ていなかった気がするのです。いずれにしろ、このままではらちがあきません」


一体、何が起きて……な、何?

ちらりと後ろを見ると、真っ黒な丸いものが空から現れ、私を吸い込む。掃除機でごみを吸い込む音と同じ。


「ナデシコ!」


アスナが叫んだ、ど、どこへ飛ばされるんだ……俺。

地球からアルムの夢世界へ飛ばされ、次はどこへ飛ばされるのでしょうか?


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